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「ジャムの旅」〜高知編〜

岡山から東京に戻り、余韻に浸る暇もないまま高知への「ジャムの旅」の準備。

もうスーツケースのパッキングも慣れたもので、銅鍋とテントなどを適当に詰め込んでも、飛行機の手荷物制限20kg以内に収まるようになりました。
今回は19kg。見事ニアピン賞。

10月初旬、高知県四万十町の名産「しまんと地栗」を求めて、羽田空港から出発。

今まで様々な果物をジャムにしてきたけど、栗を扱うのは初めてなんです。
行きの機内で、どういうふうに加工しようか、ちゃんと製品化できるのか、なんて考えながら、いつもよりかは少々緊張気味のフライトでした。(とはいえやっぱりすぐ寝た…)

高知龍馬空港 (岡山は桃太郎で高知は龍馬か…) に到着。
四万十町へはここからが長い。車を飛ばして約2時間半かかります。

「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川に沿って、どんどん山間部へ入っていく。
車窓からも澄んだ川の水が見えて、ちょっと下へ降りてゆっくりしたいな、と思ったけど、そんな時間の余裕はないのが今回の旅。明日には東京に帰らなければいけない。ひたすら四万十の奥地へ。

まだまだ収穫量が多くない「しまんと地栗」。
今回は自分で収穫するのが収穫工程やスケジュール的にも厳しかったので、地元の会社「四万十ドラマ」さんにお願いすることとなりました。
過疎化や生産者の高齢化が進む四万十町を、地元の食材で盛り上げていこうという取り組みをされている素晴らしい会社です。

それでも「収穫したての新鮮な素材の香りを瓶に閉じ込めたい!」
という僕のわがままを理解していただき、当日の朝収穫した立派な栗を用意していただけました。ほんとに感謝です!

四万十ドラマさんから新鮮な栗を受け取り、さらに山奥の加工場に到着したのが13時前。途中、ほんとにこんな山奥に加工場があるのかな?と思うほど、どんどん道が細くなっていくので不安だったけど、小さな集落にある立派な一軒家に辿り着いた。家の隣に加工場が併設されている。

加工場を提供してくださったのは、椎茸加工をされているサカイさんという75歳のお母さん。昔は旦那さんとパン作りやジャム作りもされていたようで、山奥とは思えない広くて立派な加工場でした。大きなオーブンもある。
着いたら挨拶もそこそこに、さっそくジャム作り開始だ!


栗は圧力鍋で蒸してホクホクの中身を取り出し、シロップと一緒に煮詰めていく。
この「しまんと地栗」、大きくて甘くてホクホク。美味しくてつまみ食いが進む。ダメだダメだ、貴重な栗なのだ。
仕上げにバターを加えて栗バタースプレッドにしてみました。
立派な加工場なので作業は順調に進み、次々に瓶詰めできました。
何よりも終始サカイさんとの楽しい会話で、穏やかな時間を過ごすことができました。

事前に連絡はしてあったのですが、
サカイさん「窪川から来た〜さんやんね?」
僕「いえいえ違います、東京から来たコクボです(笑)」
旦那さん「やっぱりな〜、全然顔が違うやないか〜(笑)」
“クボカワ“と“コクボ“、似てるからねー。

サカイさん「どう?ジャムできました?」
僕「あと1時間半くらいですかね。」
サカイさん「じゃ、裏庭に草むしりに行ってるからね。ゆっくり作ってね。」
東京とは時間の流れが違いすぎる。

サカイさん「東京からこんな山奥まで大変ね。東京にも栗あるでしょ?」
僕「あるんですけど、四万十の栗を使いたくて…」
ジャムの旅のコンセプト…、知りませんもんね(笑)

ジャム作りも終盤に近づいた頃、
サカイさんから「裏庭に柚子あるよ。好きに使っていいよ。」
なんと!完全無農薬な自然の柚子。まだ青いけど爽やかな香りがする。
こういう出会いは絶対に形にしたいので、最後の仕込みはシンプルな栗のジャムに柚子の香りを添えてみた。栗餡のような絶対にここでしか作れないジャムに仕上がった!楽しい‼︎

片付けが終わる頃には、もう辺りは真っ暗。
名残惜しくサカイさんに別れを告げて、山を降りる。
帰りの山道は本当に真っ暗で心細かったな…。サカイさんとの時間が楽しかったから余計に。
東京にいる時は「あ〜静かな自然に行きたい。」っていつも思ってるのに、いざ真っ暗闇な自然に身を置くと「都会の明かりが恋しい…」ってなる。

そうか、どっちも好きなんだ。それでいいか…。

街からは離れているので、近くのキャンプ場でテントを張る予定だったけど、真っ暗すぎて諦めました…。だって何も見えないし、闇が怖い。
ここから高知市内の宿までまた2時間半の運転…。

めちゃくちゃ疲れてたけど、日本の原風景が残る四万十町での楽しい時間の余韻に浸りながら、心地いい夜のドライブになりました。

次回、四万十町へ来る時は100%遊びで来たいですね。きれいな川のそばにテントを張って、カヌーなんかして、夜は満点の星空を眺めて…。
本当に素敵な場所でした。
また来ます!


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