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「ジャムの旅 〜紅まどんな〜」

宇和島でブラッドオレンジを収穫して、そのまま瀬戸内海の岩城島へ向かう。

高速に入る前に愛媛のご当地セルフうどん店「大介うどん」を発見。
そういえば4〜5年前に食べたな。
よし、腹ごしらえしておこう。

うどん2玉を自分で湯だまりで温めて、好きなトッピングをのせて、レジで出汁をかけてもらうシステム。面白いな…。

トッピングの肉ごぼうと甘めの出汁、コシのある讃岐うどんとは違う柔らかめのうどん。山の斜面で冷えた身体に沁みた。

はやい。安い。うまい。これで680円。


松山を通り越して、今治からしまなみ街道へ入り、因島からフェリーに乗ってようやく岩城島に着いたのは午後5時すぎ。

宇和島を出てから車で3時間半。
愛媛県は東西南北に長〜いのだ。

そのおかげでフェリーのデッキから瀬戸内海に沈む夕日を見ることができた。

フェリーからの夕日。


今回も「ブルーレモンファーム」の古川夫妻にお世話になる。
2か月前に来た時は青レモンと洋梨を組み合わせてジャムを作った。
あの時青かったレモンもずいぶんと色づき、きれいな黄色になっていた。
これから暖かくなるにつれ、酸味が和らぎまろやかになるのだ。

「ぜひ紅まどんな使ってみてよ!」

古川さんに言われた時は一瞬ドキッとした。

紅まどんなはすでに完成されている高級果物だ。
さくらんぼの「佐藤錦」、苺の「あまおう」、ぶどうの「シャインマスカット」のように、某高級フルーツ店のS屋に一箱数千円で売っているような大スターである。

「こういう果物はそのまま食べるのが一番なんですよ。」
長年そう言って高級フルーツを加工するのを避けてきた。(いや、逃げてきた…)

しかし今の僕に逃げ道はない。
前回も旬のレモンをたくさん使わせていただき、素晴らしい加工施設も手配していただいている。

やるしかねえな…。

これも大切なご縁だ。
誠心誠意、真っ向勝負すると決めた。

ゼリー状のとろけるような果肉が特徴の紅まどんな。
下処理をしながらも、気がつけば3個くらい食べていた。

いや〜もうね…。美味いよ。当たり前だけど。

外皮も薄皮も極薄なので、火入れも最小限にして大切な旬の香りを逃さないように…。

紅まどんなからの豪速球をホームランにはできないけど、なんとかヒットゾーンには打ち返すことができた。
うん、美味しい。うまくできた。

ぷるっぷるやで。


仕込みが終わったのが午後4時半頃。
まだ間に合うな…。

加工施設の裏にある積善山の頂上に行こう。
瀬戸内海に沈む夕日が見れるはずだ。

無人の頂上は結構な寒さだ。10分くらいで引き上げよう。

と思っていたのだが、あまりの夕焼けの美しさに動けなくなった。
言葉も出ない。ありきたりの表現だけど…綺麗だ。

途中から立派なカメラを持ったおじさんも上がってきた。
最高の夕暮れの瞬間を納めるため、ひたすらシャッターを切っている。
二人とも言葉は交わさず、ただただじっと夕焼けを眺め続けた。

そしておじさんがそっと僕に向かって、

「感動ですね…」

と言葉を漏らした。

素敵なおじさんだなぁ…。

旅の最後にこんなご褒美がもらえるなんて。
ずっとここにいれたらいいのに。
それくらい素敵な時間だった。

この先の「ジャムの旅」でも、たくさんの素敵な景色に出会えるはず。
そう思うともう次の旅のことでワクワクしている。
次はどこだ…。

ひたすらシャッターを切るおじさん。
ちょっと言葉じゃ表現できない景色だ。


前回の岩城島はこちら↓


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