美味しそうな表情って?
思わず「美味しそう!」って声が出てしまう食べ物ってどんな表情だろう?
熱々の鉄板に乗せられたハンバーグから溢れる肉汁だったり、
七輪で焼かれている秋刀魚から滴り落ちる脂だったり、
熱々のりんごタルトの上にのせられた溶けかかったバニラアイスだったり…。
やっぱり「美味しそう!」って感じて「食べたい!」っていう順番かな。
パティシエという物作りの仕事をしていて、時々間違いそうになる。
「綺麗に美しく」に気が行き過ぎて、美味しさを置き去りにしていないか?
もちろんある一定の綺麗さ、美しさは商品にする以上必要だけれど、
行き過ぎると「美味しそう!」「食べてみたい!」にはならない。
繊細なグラスに泡とビールが2:8の完璧な姿より、
キンキンに冷えて霜がついたジョッキから、泡が溢れる生ビールはやっぱり美味しそうだ。
完璧な温度管理で火通しされた、フレンチレストランのお肉も素晴らしく美味しいが、
自分が心惹かれるのは、少々端が焦げているガッツリ焼かれた洋食屋のステーキだ。
フランスの一流パティスリーでも、日本のケーキほど完璧に並べられていない。
あっち向いたり、こっち向いたり…。
でもなんであんなに美味しそうに見えるのか?
無表情なものより、笑ったり怒ったりしている表情豊かな食べ物が好きなのだ。
そう思う。
勘違いしてほしくないのは、
「綺麗な仕事は美味しさにつながる」
と思っている。
逆を言えば、
「汚い仕事からは美味しいものは生まれない」
と言うことだ。
ややこしい言い回しかもしれないが、
綺麗な仕事をしながら、あえて少し崩した仕上がりにしている。
「美味しそう!」って感じてもらうために。
とはいえ、この感覚を若いスタッフたちに浸透させるのはなかなか難しいのだ…。
若いスタッフからしたら、
綺麗に仕事はしなくちゃいけないけど、出来上がりは綺麗すぎちゃダメって…。
混乱するよね。(笑)
「ジャムの旅」でのジャム作りも、noteでの物書きも、人間関係でも…。
作り込み過ぎない方が、個性や人間味が出てきて相手に感情が伝わりやすいのではないか?
言い方は雑かもしれないけど、不完全な部分がある方が食べ物も人も好きになってしまう。
そう思いませんか?
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