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「ジャムの旅 〜うずしおベリー〜」

徳島県鳴門市。
「ジャムの旅」としての訪問は昨年4月以来2度目だ。

今回もお世話になるのは、苺と梨の栽培をされている「フルーツガーデンやまがた」の山形文吾さん。
もう7年くらいの付き合いになるな…。月日が流れの早さに時々驚く。

生産者の山形文吾さん。常に攻めてる男です。


果実の収穫直後、そのまま現地でジャムにして新鮮な香りを閉じ込めるのがコンセプトの「ジャムの旅」。
朝一の瑞々しい苺を収穫すべく、銅鍋はじめジャム作り道具をスーツケースに詰め込み、前日の夜に徳島入りをした。

前回もそうであったように、今回もビニールハウスの横でテントを張り、翌朝の収穫に備えることにした。

苺のビニールハウスの横にある梨園にテントを張った。


「夜も遅いですから挨拶は明日の朝でいいですよ。前回と同じ感じでテント張ってもらっていいですよー。では明日の朝に!」

と山形さん。

勝手知ったる仲という感じで嬉しくなる。

東京では徐々に春の陽気が近づいてきていた2月末。
瀬戸内の徳島も暖かいだろうと考えていたが、やはり甘かった…。
朝方5時頃には氷点下の寒さでテントを飛び出し車に逃げ込んだ。
(1月の岡山でも同じ失敗をしていたにもかかわらず。とほほ…)

朝7時、震えながら山形さんとの再会を喜び、さっそく苺の収穫だ。
収穫させていただくのは「うずしおベリー」という苺で、フルーツガーデンやまがたさんのオリジナルブランドだ。

鳴門海峡で獲れた牡蠣の貝殻などを肥料に混ぜ込み、ミネラルたっぷりの苺だ。
地元で獲れた食材をまた違う食材の肥料や餌に活用する。
素晴らしい取り組みだ。
こうした循環型の農業は「ジャムの旅」で訪れる日本各地でも結構行われている。

今風で言うとSDGsかな。
でもこうした循環は大昔から行われていて、高度経済成長で大量生産、大量廃棄が続く中で見失われてきたんだろうな。
そして現在また注目されている。歴史も循環するのか…。

夜中の氷点下でビニールハウスについた霜が、強烈な朝日に溶かされる。
溶けた霜の水が頭上からぽたぽたと落ちてくる中、せっせと苺の収穫をした。
広いビニールハウスに僕一人だけ。なんて贅沢な時間なんだ。

苺も目を覚まし始めたのか、甘〜い香りを放っている。
朝一の苺は実が締まっていて、食感はシャキシャキしている。
そして甘酸っぱくて旨い!

1時間ほどで収穫を終え、さっそく加工場へ移りジャム作り開始だ。
このスピードが大事。
収穫直後から香りは逃げていくので、なるべく早く新鮮な香りを閉じ込めたい。

苺も冷たいから手がかじかむ…。


山形さんがお持ちの加工場を使わせていただくのも2回目なので、昨年よりもスムーズに仕込みが進んだ。
またこの場所に帰ってこれた嬉しさが込み上げてきた。
生産者をはじめ、地元の方々に本当に感謝しなければいけない。
ありがとうございます!

苺の果肉感を残し、最高の香りを逃さないため、最小限の火入れをした。
いい仕上がりだ。


今回も結構な弾丸旅なので、ジャム作りの最後の工程に入ると同時に、片付けと掃除の作業に取り掛かる。余韻に浸る時間はない。飛行機の時間が迫っているのだ。

「ジャムの旅」も回数を重ね、段取りがつかめてきているので、現地入りから収穫、加工、片付けまでのスピードがどんどん上がってきている。(慌ただしい…)

現地で素材を見てレシピを決め、毎回違う加工施設で仕込みをするというパティシエとしての「たくましさ」みたいなものも感じてきている。

時間が迫って焦ったり、道具が足りなくて知恵を絞ったりと毎回スリリングだが、素材と真っ向勝負できる醍醐味がある。

それがめちゃくちゃ楽しいのだ!

朝はあんなに寒くて震えていたのに、仕込みが終わる15時頃には春のぽかぽか陽気になっていた。やっぱり春はいいね。

これからやってくる暖かい季節の果物たちを想像し、ワクワクしながら徳島を後にした。

前回の徳島編はこちら↓

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