「自分は何者でもない」
4年ぶりに海外へひとり旅へ出た。
オーストラリアのキャンベラという街だ。
現地で暮らしているオーストラリア人の友人に会いに来た。
オーストラリアというとまずはシドニー、そしてメルボルンといった大都市へいく人が多いみたいだが。
キャンベラはオーストラリアの首都でありながら、自然に囲まれた静かな街。
人口は約37万人だから、日本の地方都市という規模感かな。
日本の首都東京では考えられないが、キャンベラは自然がすぐ近くにある。
毎朝裏山に登ったり、マウンテンバイクで山道を走ったりして楽しんだ。
週末にはビーチまで車を走らせ、青く澄んだ海で年甲斐もなくはしゃいだ。
山に入るとすぐにカンガルーの群れに出会った。
自転車で街中を走っているとうさぎやカルガモが横切っていく。
平日の昼間でも交通量は少なく、あまり人とすれ違わない。
「静かでいいな…」
鳥の鳴き声がよく響く。
夜は満天の星空を眺める。
友人とビールを飲みおしゃべりを楽しむ。
シンプルで豊かな、人間らしい暮らしがそこにはあった。
街中にある素敵なベーカリーやブリュワリー、オーストラリアスタイルのパブにもよく出かけた。
「素敵なお店だね」
「東京から遊びに来たんだ」
店員さんとの何気ない会話が楽しい、嬉しい。
当たり前だけど海外の知らない土地に来ると、誰も僕のことなんて知らない。
普段どんな仕事をしていて、どんな性格で、何が好きなのか、何も知らない。
それが大事なんだと思う。
「自分は何者でもないんだ」
それを認識できるのが知らない土地への、海外への旅の本質なのだ。
自分が知っている限りの言葉と、ジェスチャーと、表情とで自分が伝えたいことを必死で相手に伝える。
便利になりすぎた母国、日本で僕らは相手に伝えるということを怠けがちだ。
ネットの情報で十分。
連絡はLINEで会わなくても問題ない。
相手に感情がバレないからマスクが楽。
そんなわけないだろう。
ネット、SNSには「本物っぽい」ものが溢れているだけだ。
特に若い人はどんどん外へ出かけて体験するべきだ。
「体験こそが財産」
これは僕が若い頃からずっと意識していることなんだ。
実際に会って話をしてみないとその人のことは分からない。
雄大な自然の景色も自分の目で見て、風を感じて、空気を目一杯吸い込まないと記憶には残らない。
「自分は何者でもない」「自分はまだ何も知らない」
それを知った上で何ができるか、どう生きていくかだ。
それには「旅」をするのが一番ではないか。
僕はそう思う。
これからも日本、そして海外の知らない土地へ出かけて、初めての体験を積み重ねていきたい。
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