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飲食店の購買(来店)決定プロセスモデル AISDSMAS-T

これまでに発表されてきた購買決定モデルAIDMAやAISAS、AISCEAS、最近のULSSASなどを織り交ぜて、飲食店ならではの購買(来店)決定プロセスモデル『AISDSMAS-T』を考えました。
ちょっとおさらいも含めまして過去のモデルを振り返ったのち、今回の新しいモデルの説明をしたいと思います。

◎まとめ

・飲食店は、認知から来店、予約までが一気に進まない業態である。
それは、飲食店が食事を通じた体験を販売している為、店舗に行かなくてはいけないから。

・また、予約をする際にも、誰といつ、どんなシーンで使うか?が確定しないといけない事もハードルとなっている。

・したがって、お店のことを記憶(Memory)してもらうことが重要。

・再度、これまでのマーケティングモデルを組み合わせてMemoryに着目したモデルを構築した。

・それが『AISDSMAS-T』

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・このA(Attentionn)~S1までで如何にDesire(行きたい、食べたい)と思わせるか?が重要になってきている。

・特にS1にグルメ媒体はS1のポジションではなくなり、S2へ。S1はSNSやMAPに取り替わってきている。この変化に対応した施策を打てない店舗はwebでの集客は厳しくなっていくであろう。

1.これまでの購買意思決定モデルの確認

まずは、これまでに発表されてきた購買意思決定モデルについて振り返りたいと思います。

①AIDMA

Slide 25 of 飲食店のマーケティングモデルを考える

1920年代にはすでに発表されていたという歴史あるモデルです。海外ではMを除いたAIDAが有名だそうです。

こちらのモデルは顧客が購買に至るまでのステップをつくり、その頭文字をとったものです。それぞれのステップは

・A : Attention (注意・認知)
  情報で商品・店舗を認知する
・I : Interest (興味)
  興味・関心を持つ
・D : Desire (欲求)
  感情的に商品が欲しくなる、行きたいと思う
・M : Memory (記憶)
  商品名、店舗を記憶する、記憶媒体にメモリーする
・A : Action (行動、購買)
  購買する、予約する、来店する

となります。

②AISCEAS(AISAS)

Slide 26 of 飲食店のマーケティングモデルを考える

長い間AIDMAのモデルで、マーケティングは考えられてきたが、インターネットの普及に伴って新たなモデルAISASやAISEAS、AISCEASといったモデルが提唱されるようになりました。ここでは、それらを一番包括したAISCEASをここでは取り上げました。
インターネットの普及により、検索という行為が一般的になり、購買活動の中のプロセスの一部となり、検索からの部分が加わりました。また、ブログや評価サイトなども普及してきたことにより個人からの情報発信が徐々にされるようになり、Shareといった概念も加えられました。それぞれのステップは

・A : Attention (注意・認知)
  情報で商品・店舗を認知する
・I : Interest (興味)
  興味・関心を持つ
・S : Search (検索)
商品や店舗を検索する
・C : Comparision(比較)
様々な商品・店舗のスペックやイメージを比較する
・E : Examination(検討)
口コミ情報を参考に検討する
・A : Action(行動)
行動する、購買する、予約する、来店する
・S : Share(共有)
共有する、口コミ、発信する

となります。AISASはCEを、AISEASはCをこちらから省いたものとなります。AIDMAでは存在していたMがなくなっています。スマホの普及によって自身の記憶に入れなくてもよくなったということやネット上だとすぐにActionまでつながってしまう事も多くなったということがあるのだと思います。

③ULSSAS

Slide 27 of 飲食店のマーケティングモデルを考える

ULLSASは、SNS時代のマーケティングモデルとして提唱されているものです。スタートがUGCを起点にしていることがSNSらしく非常に特徴的です。

・U:User Generated Contents、ユーザーが作成したコンテンツ。
UGCを見る。
 ・L:Like (いいね!)
SNSの投稿にいいね!する。興味を持つ。
 ・S:Search1 (検索1)
SNS内で検索する。イメージ検索。
 ・S:Search2 (検索2)
Google、yahoooなどを使っての検索。
 ・A:Action(購買・行動)
購買する、予約する、来店する
 ・S:Spread(拡散)
拡散する。口コミをする。SNS投稿する。

これまでのAIDMAやAISEASのマーケティングはどちらかというとこちら側からプッシュしまくる、アウトバウンドの発想でしたが、このULSSASは完全にインバウンドです。
また、AIDMAやAISCEASがA(認知)から徐々にステップアップさせ続けるモデルに対して、ULSSASはhareされた内容がUGCとなり、サイクルが回ってくれば、販促費用は大幅に抑えることもできます。

 一方で、企業(店舗)側で情報のコントロールができないといった面があります。リスクとしては

 ・意図していない内容が取り上げられてしまう
 ・そのコンテンツの品質レベルがばらばら(写真のレベルや内容の充実度など)

があるかと思います。そういった意味では自社(自店)の強みやオリジナリティー、アイデンティティを含んだ自社(自店)ブランドのイメージの浸透も含んだ集客戦略を考えていかなくてはいけないということがあります。

以上、代表的なこれまでのモデルを説明してきました。それでは、この後、飲食店でのモデルを考えていきます。

2.飲食店の購買プロセスについて考える

Slide 28 of 飲食店のマーケティングモデルを考える

①飲食店におけるMemoryの重要性

飲食店の購買プロセスを考えていきたいと思います。ここで飲食店の特徴について考えていきたいと思います。
飲食店は、『食を通じた体験を店舗で販売』しています。

よって購入(予約、来店)の際に
 ・場所
 ・時間
 ・利用シーン(誰と行く)
が確定していないといけないといった制約
があります。

そのために情報を取得して、そのお店に『行きたい』と思ったとしても、先ほどの条件が確定していない為にその場で『予約』や『来店』につながらないです。

分かりやすい例でいうとインスタで美味しそうなお店の写真を見つけて、行きたいとなぁと思ったとしても、その場では『予約』や『来店』といったアクションまでにはつながりません。

ということは、条件が決まる前の段階での認知は、Memoryされなくては意味がないということがわかります。

他の業界よりもこのMemoryが重要だという事で再度、モデルにM(memory)を加えてモデルを再構築しました。

②AISDSMASとは
①でMemoryの重要性について理解していただけたと思いますので、それを残してこれまでのモデルを融合させ新しいモデルを考えました。

AIDMA、AISCEAS、ULSSASを並べてそれぞれで対応する部分を重ねてまとめまると下記のようになります。

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結果まとめると、『AISDSMAS』になります。意味合いは下記になります。

・A : Attention (注意・認知)
情報で商品・店舗を認知する
・I : Interest (興味)ULSSASのLikeを含む
興味・関心を持つ、好きになる
・S 1: Search1 (検索1)
商品や店舗のイメージを検索する
・D:Desire(欲求)
店舗に行きたい、食べたいと欲する
・S2: Search2 (検索2)CEの意味を含む
商品や店舗を比較、検討する為の検索をする、口コミ確認
・A : Action(行動)
行動する、購買する、予約する、来店する
・S : Share(共有)
共有する、口コミ、発信する


③飲食店の購買(来店)決定プロセスモデル『AISDSMAS-T』とは?
M
(Memory)の概念を加えて『AISDSMAS』モデルを組み立てたのですが、これだけでは足りませんでした。

というのもM(Memory)をされただけでは、アクションに結びつかないからです。インプットされたM(memory)にアクセスするきっかけT(Trigger)が必要です。このT(Trigger)には自分自身が何かを見て思い出すといった事や外部からの刺激がきっかけとなることも含まれています。

という事で、先ほどのモデルにきっかけのT(Trigger)を加えてできたのが、『AISDSMAS-T』モデルです。ちょっと複雑なのですが、流れを下記のような形になります。

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特徴的なのは、最初のS1がイメージ検索に主眼が置かれていることです。人がお店を決めるときのきっかけは、論理ではありません。感情で決めています。単純に『かっこいい』とか『おしゃれ』とか『美味しそう』で決めています。すなわち文章でなく、写真や動画できっかけは決めています。
そこで欲しい(お店に行きたい、食べたい)になったら、その他のものと比較したり、自分の抱いているイメージは正しいか?を判断する為に口コミ等をS2では検索しているのです。

過去に集客の効果のあったグルメ媒体は、ここでいうとS2にあたります。すなわち来店の意思決定を行うためのものでなくなってきてしまったという事なんです。ですから、これまでと同じ集客方法をしたら集客ができなくなっていくという事です。

力を入れるべきポイントがAttentionからS1にあたる部分で、いかにDesire(欲しい)と思わせることができるか?が重要になってきています。一昔前であればS1にポジショニングしていたのがグルメ媒体でしたが、現在では、SNSやMAPにとって代わられてきています。

その変化に対応ができないお店は、今後webでの集客はかなり厳しいものになっていくでしょう。

◎参考:

◎お問い合わせ先
 ・店舗の販促戦略、ブランディングをどうしたらいいか?お悩みの方
 ・UberEats等のこれまで取り組んでいなかった業態での販促についてお悩みの方

は、下記までお気軽にお問い合わせください。
(AISDSMAS-Tに関わる部分にはすべて対応いたします。)



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