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頭痛に対する解熱鎮痛薬、授乳中の女性に対する販売対応は?

 頭痛は身近な健康問題の一つですが、仕事の生産性や生活の質を低下させるなど、日常生活にも大きな影響を及ぼします(Wong, et al.2020; PMID: 32513174/Lipton, et al.2003; PMID: 12807523)

 頭痛が発生する原因は様々ですが、心理的な要因が影響していることも多い一方で、身体的な要因と相互に関連している場合もあり、心理的な健康問題なのか、身体的な健康問題なのか、明確に区別することは困難です(Brown, et al.2012; PMID: 23024569/Raggi, et al.2012; PMID: 23001069)

 たとえば、ストレスは頭痛の原因になり得ますが、頭痛もまたストレスの原因になり得ます。さらに、ストレスからの解放もまた、頭痛の原因になったりします。ストレスからの解放という意味では、土曜日に頭痛を覚える人が多いという研究データは示唆に富みます(Drescher, et al.2019; PMID: 30636039/Poulsen, et al.2021; PMID: 34281500)

 授乳中の医薬品使用は、一般的に授乳を避けるか、服薬を避けたほうが良いと考えられています。頭痛を抑えるための解熱鎮痛薬も例外ではありません。市販されている解熱鎮痛薬の多くは、添付文書の「相談すること」の項目に「授乳中の人」の記載があります。

 今回は、「イブクイック頭痛薬DX」を例として取り上げながら、授乳中における解熱鎮痛薬の使用について、販売対応時の「ロジック」と「エビデンス」を整理したいと思います。

授乳中における市販薬の使用可否を調べるには……

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