お庭には。

ＧＷがきたら、したかったことその２。
それは、その生命力に任せきりになっているお庭の手入れ。
（ちなみに、その1はこちら👇）

暖かさと、豊かな雨に、ぐんぐんと草がのびている。芝生もボサボサ、芝生のフリをした草もしれっと伸びている。
花壇も、ありのままの緑がモッサリと溢れはみ出している。

その中に、勢いよく道路にまではみ出したすこぶる元気な緑は、野薔薇だった。

「あ、薔薇があるね〜、これ薔薇だよ」

と通りかかった友達が、ふとそう言うまで、私はただの雑草と思っていたのに。野薔薇。
お隣の奥さんも、

「これ、アーチみたいにしてあげたら。かわいい花が綺麗に咲くよ〜」

と教えてくれた。お庭の手入れをしたかったのは、この野薔薇の支柱を立てたかったからだ。なんせ、ほら、蕾がたくさんついているもの。

軍手と庭ハサミ、草刈りと竹ぼうきを装備し、大きな草からズンズン抜いていく。
この時期は、スギナも多い。カラスノエンドウは、植えてあるユーカリやミントに絡みつき、根っこから抜くと、一株でかなりのボリュームだったことに気がつく。

カラスノエンドウは、子どもたちが小さな頃、お気に入りの草花だった。
「はい、ごはんですよー」と持ってくる器の中には、カラスノエンドウのサヤが、こんもりと美味しそうによそってあった。おままごとで一役かっていたあのエンドウたちの子孫だ。まぁまぁたくさん増えたものだ…。

黄色のカタバミも、ウフフと生えている。小さく可憐なその花も、抜こうとすると、種子のつまった房をパンッと弾けさせる。ただでは抜かれたりしないのだ、ちゃっかり種を落としていく。ウフフ、あざとい笑顔で。

私の住んでいるこの団地は、サブタイトル（キャッチコピー？）に『ガーデンシティ』と付いている。建築条件に、庭に花壇を作ること、というのがあったほど。
なるほど、近所をぐるりとお散歩すると、素敵なお庭がたくさんある。機能的なエクステリアで、雑草対策をしながら花壇を楽しんでおられるお庭、本格的なイングリッシュガーデンのようなお庭、家庭菜園を楽しんでいらっしゃるお庭、青々とした芝生の綺麗なお庭…。季節ごとに、色んな花が咲きみだれ、
「そろそろあそこのお庭の薔薇園が見ごろになってくるはず」
と、勝手に見どころスポット的な楽しみも、今ではあるほど。

私がお庭にしゃがみ込んで、草花と格闘している間にも、お散歩のおばさんが
「綺麗になるねぇ〜」
とニコニコ通っていく。いろんなお庭を眺めながらのお散歩は、私だけの楽しみではないのだな、とお手入れにも張合いが増す。

この間、ラジオで恐ろしいことを聴いた。
植物の根や種は、地中に何億と埋まっている、という。発芽していないものもたくさんあり、タイミングや発芽条件が揃うのをじっと埋まって待っているのだ、と。根っこが地下深くに残っているものもあり、抜いても抜いても、奥深くに根を残して絶やさなという賢い植物もあるのだ、と。その深さたるや。

本当だ。我が家の花壇にもそれはいる。
葛だ。この団地中、葛が生えてくるのだ。
どうやら古くから自生していたもので、どれだけ深くボーリングで整地しても、どこからか生えてくる。まるでゾンビのように。
抜いても抜いても、気がつくと同じようなところから生えてきている。つる性で、這うように、クルクルと巻きついて。

「もー、おまえはぁー、またぁー」

と、今ではもう、慣れ親しんだ手のかかる子どもみたいなあつかいで抜き取る。土の中で、プチッと茎が切れる音がして「チッ」となる。また１ヶ月もすれば出てくるつもりだ、こいつ。強かなやつめ。

雑草を大方抜き取ると、あの野薔薇が、実はかなりツルを伸ばして大きくなっていたことに気がつく。支柱を三本、ピラミッド型にたて、そのツルを絡ませ縛ってゆく。
蕾がたくさん、白い一重の五枚の花弁が1つ2つ咲き始めている。可愛らしい。

ふと、ムラサキのセージも出てきているのに気がつく。3年前くらいにホームセンターで買って植えたセージ。毎年こうやって、ひょこっと生えてきてくれている。「Hi！」と。

ユーカリはどんどん大きく成長していて、風にわっさわっさと揺れている。その隣には、イルミナーレ。黄色の大輪の薔薇が咲く。
いつか庭の花壇に、薔薇を植えてみたいと、3年前くらいに植えたもの。大きな株になり、隣のユーカリに守られながら、今年も蕾をちょこちょこつけている。
5月の終わり、6月のはじめごろ、シトシトふる雨の中、ガーゼのハンカチのような、ほのかな黄色の花をゆっくり開く。
咲き始めは濃く、開き切るとやわらかな布のようにふんわりと。
小さなアリや、虫から、ちゃんと守ってやらないと。

休み明け。
いまいちエンジンのかからない頭と体で、外に出る。

あ。 蕾がふくらんできてる。
野薔薇の花も増えてる！

ＧＷにしたかったこと、その２。
お手入れされたお庭に、可愛らしい蕾たちにゆらゆらと見送られ、小さくワクワクしながらエンジンをかける。