「専門性がない」「何者にもなれない」んじゃなくて、自意識過剰だったことに気づいた話
30代専門性コンプレックスのみなさん、元気ですか?
私は元気です。こんにちは、ジェネラリストのお嬢です。
「私には専門性がない…今後のキャリア、どうしたらいいんだ…」とかんがえてしまうこと、ありませんか?
この間、『「名前のない仕事」ができる人は強い』という記事を読んで感銘を受けたので、少しだけ私の専門性コンプこじらせと悩んだ末の結論について書きました。
この記事で専門性コンプに悩むひとが少しでも救われたらいいなと思います。
お嬢の仕事
お嬢の仕事は業務改善です。DX、IT、AI活用の企画、要件定義、PM、PMOをやっています。得意なことはSaaSの導入の空気作りです。
あとは昔、DXメディアの編集長、DX認定の取得、社内プロダクトのUXリサーチやPdM、組織のマネジメントも経験しました。一時期は20人強のメンバーのマネージャーをやってました。詳しくはbentoを見てね。
専門性コンプレックスって何
私は以前から専門家やプロフェッショナルに憧れる傾向にありました。
ほら…インフラエンジニアとかデザイナーとかピアニストとか、かっこいいじゃないですか…。名前がつく職業っていいな。人に誇れる名札がほしかったんです。何者かになれないけれど、何者かになりたい人でした。
私はプロフィールの通り、ジェネラリストでそこそこの仕事はできますが、評価されても心の奥底ではいつも、自分のやっている仕事には専門性がない、半端でプロフェッショナルではない、あの人はあんなにすごいのになんで自分はこんなにだめなんだ…と思っていました。
PdMを担当すれば、部内のAさんはUXもPdMもチームビルディングもすごい…かなわない…と存在がちらつき、
PMを担当すれば、部内のBさんはもともとプログラマーで知識があってPM力がすごい…かなわない…と存在がちらつき、
企画を担当すれば、自分はとりまとめるだけで手を動かしてくれるのは周りの人だし私の価値ってなに…と思い、
組織マネージャーを担当すれば、自分よりメンバーの方が専門性が高いしそんな人たちのマネジメントをするなんてどうしよう…と思っていたわけです。
アサインされたら勉強したり、AさんやBさんのやっていることを真似してみたりするんですけど、やっぱりどこか突き抜けられないんです。器用貧乏です。
組織マネージャーで「課長」とかの肩書がついて一瞬安心してみても、しばらく経つと、他の課長と比べて自分は素晴らしいといえるだろうか?他部署の課長さんは週1でメンバー全員と1on1して真剣に向き合ってメンタリングしてるらしい…、私も真似しなきゃ!課長として、メンバーにできることをしなきゃ!となり、向いていないことやできないことをできるようになろうと必死になってみるのです…つら…。
そう、比較は不幸の始まりです。
完全に自意識過剰だった
私は元来評価されることが好きで、自己肯定感も高い人間でした。
1年に1回順調に昇格して管理職になり、管理職としてのランクも上がり調子に乗っていました。謙虚さが足りませんでした。
そんな中、「評価してもらっている!もっとがんばらなきゃ!メンバーからも頼られる存在でいたい!」みたいな自意識の高い気持ちが、本当に悪い方向に突っ走り、誰に言われたわけでもないのに、勝手に周りから「お嬢さんって、愛想いいし、良い評価されてるけど、専門性ないよね」と思われているのではないかと負の世界で盛大に悩むことになってしまったのです…。完全に自意識をこじらせていますね。
私の自己肯定感は承認欲求からくる諸刃の剣だったのです。
調子が良くて評価されてるときは勝手に承認欲求が満たされており、「楽しい!仕事がサクサク進む!結果的に評価もされる!」という気持ちを持ちながら仕事ができるのに、なんかモードにはいって悩みだすと、「自分の理想とかけ離れたスーパーマンじゃない私はダメだし、周りからもそう思われてるかも…」という状態になってしまいました。
「評価と期待をされているはずなのに、私はこんなに仕事ができない」とギャップに苦しむことになり、自己肯定感がどんどん下がっていくのを感じました。
そんな時に限ってWantedlyの他社のPdM募集!PM募集!といった求人情報が目につき、必須スキルの記載を読んで、私にはできないことばかりだ…と落ち込んでいました。市場価値がないと絶望しました。悩んでるときに市場価値なんて気にするな。本当にバカ。
そこで私がどうしたかというと、しばらく落ち込み、自分だけでは整理がつかず無理だったのでパートナーに相談し、友達にコーチングをしてもらい、専門家のカウンセリングなどを受け、全方向から支援してもらい認知の歪みと戦うことになりました。
その結果、ひとかわむけて、認知が丸くなった感じです。
私が専門性コンプや何者かになりたいという気持ちを抱くに至った原体験は、おそらく小さな頃から長いことピアノをやったのに、ピアニストにはなれそうもなくて諦めて音大に行かず、私立の四大に進学したことだと思います。アマチュアのなかではわりと弾けるほうだけど、プロのピアニストにはなれない。あれは突き詰める精神力がないと無理です。
大学でもWebデザイナーのアルバイトをしていましたが、結局プロのデザイナーにはなろうと思えなかった…何度同じことを繰り返しているんだ…人生の選択に、覚悟がなさすぎる…。
大分整理がついてきたので部内の人に打ち明けてみた
実は…半年前こんなこと思ってたんです…と打ち明けてみました。すると、
「まじ!?そんなこと思ってたの!?意外すぎる」
「得意分野が違うだけで、AさんやBさんにできないことがお嬢にはできる」
と言ってもらえました。確かにそうなんです。器用貧乏なジェネラリストである私にも、できることはあるんです。
企画をするときは、いろんな部署の人にお話を聞いて、いい雰囲気にできるようにがんばれるとか(コミュ力)
むだに妄想力があるので、経営幹部や他部署からの指摘を想像しながら資料のストーリーを作れるとか(想像力、企画力)
コンプレックスがあるからこそ、他の人のプロフェッショナルな仕事に敬意を払えるとか(嫉妬込みの謙虚さ)
プロジェクトの方針を策定して、それをチームに伝えて鼓舞しようと努力ができるとか(マネジメント力)
メンバーの結果がでたら全力でよろこび、人前で褒め称え、良い雰囲気を作っていこうとしているとか(マネジメント力)
ジェネラリストだからこそ、他のプロ職種の概要は薄く広く把握しており、必要な協力をお願いしにいけるとか(手配力)
悩みの渦中にいるときは、私には専門性がないし、仕事は得意だけど誇れることがない…みたいな歪んだ考えになっていて、なんとか専門性を高めようと迷走していました。迷走中に連絡を取ってしまった皆様各位、本当にすみません。
そして、悩んでいると、頭の回転が悪くなり、今までできていたことができなくなっていくんですよ。物事がうまくまわらなくなって、それでさらに自信をなくしていたところもあったと思います。
まあ、ふつうに自意識過剰すぎましたね…誰もそんなに私の評価と実力なんか気にしてないと思う…
落ち着いて整理して考えてみれば、私ってわりとできること多いのかな…しかもまあまあ汎用的かも…ということに目を向けられるようになりました。
で、会社でもそういうスキルと実績を評価され、期待されて昇格しているわけなので、無いものねだりというか、隣の芝が青すぎると思うのはやめよう、と思えるようになったんです。
もちろん、できないことをできるようにしようとする努力も大事だけど、30代にもなると、できることを伸ばす方が結果的に人の役に立てることが多くなる気がします。
自分が周りにどう思われているかではなく、自分のできることをどう周りに提供するかを考えるべき
自分が、専門性が、評価が、市場価値が、とあっぷあっぷするのではなく、周りに、どう、与えるか。ギブアンドテイクっていうじゃん。まずギブしょ…という気持ちになれました。
結局、専門性がなんでほしいかというと、他者から承認されたいとか、自分のプレゼンスを示したいとか、転職のときに有利そうとか、だと思うんですよね。
そこの考え方を変えて、評価を求めるのではなく、自分のできる仕事を誠実にやればいい、と思いました。
いい仕事をして相手に与えると感謝が返ってきたりするんです。そして、自分の仕事も、名前がないだけで、価値はあることなのかな、と思えるようになります。
で、名前のない誇れる仕事で汎用的なスキルを伸ばしていけば、再現性もありそうだし、まあまあこの先もやっていけるんじゃないか、と今では思っています。
人を採用する立場の人(私が大好きな、営業の偉い人)から
と言われて、深い…そのとおりだ…と思いました。
汎用的なスキルの棚卸しがおすすめ
というわけで、専門性がないと悩んでいる方には、今までの仕事を人に誇れる汎用的なスキルがあるかもという視点で振り返り、棚卸しすることをおすすめします。
あと、それこそプロを頼って整理を手伝ってもらうのも良いと思います。
私は仕事の整理はそこそこできるのに自分自身のこととなると自滅する傾向にあり、1人では無理でした。
パートナーが経験豊富なコンサルで思考の整理がうまく、コーチングの資格を持つ友達がいて、継続的にカウンセリングにも行き、導いてもらいました。
ジェネラリストはジェネラリストなりの生き残り方を模索していくべきです。
専門性が欲しいから、35歳だけど突然思い立ち、一発逆転でエンジニアになろう!とか思わないほうがいいです。プログラミングが何よりも好きとか、エンジニアで本気でやっていこうと思っているのだったら別ですが。
いまでさえ開発はインドに外注してると思いますし、数年後にはプログラミングを義務教育でやった子たちが日本の労働市場に流入してくるのでとうていかないません。
もし、エンジニアになれたとしても上には上がいて、その中で永遠に専門性コンプレックスを抱き続ける妖怪になってしまいます。いつまで経っても幸せになれません。
だったらその、人と比較して落ち込むエネルギーを、専門性のある人たちと一緒に、いかにいい仕事をするかに使ったほうがいいです。
ジェネラリストの価値はマルチなスキルと視野の広さにあります。
専門性のある人は、逆に、自分にはこれしかできない…他のことはからきし…という悩みを抱えています。
自分が持っているマルチなスキルで、専門性がある人を助けるのです。
また、好きなことと得意なことを組み合わせたら独自性が出せます。
「ピアノを27年やってて、今でもピアノがいちばんの趣味」で、「PdMやPMとマネジメントがそれなりで、AIの活用ができて、記事が書けてメディアが作れて、プログラミングやUXやデザインやマーケや事業計画が少しできる、コミュ力で生き残ってきた企画の人」ってあんまりいないと思うんですよね。
なので、本業をがんばりつつも、ピアノレッスンのメディアとか、ピアニストのマーケ支援とかをやろうと思ってます。いまUXインタビューしてます。
専門性コンプをこじらせようとしているジェネラリストの方のお悩みが少しでも軽くなればいいなと思います。一緒に頑張りましょう。
よかったら感想をいただけると嬉しいです。
他社の人事の友達におすすめしてもらった書籍
他人からの評価がきになりがちな人には刺さると思う、とのことです。私も読みます。
追記:反響
結構いろんな人に読んでもらえて嬉しいです。友達から連絡をもらってご飯に行くことになりました。
まじでわかるのよ…
人を採用する立場の方からいただいたコメント
Twitterでトッッッッッテモ勇気づけられたコメントを貼っておきますね。
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