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チェコ買い付け日記⑮「金の穂書店」

今日はホテルから中心部とは反対方向へ歩きます。
平日の午前中。歩く人はまばらで静かです。

途中、ピカチュー仕様のベンツを発見しました。
不意に出くわす日本。
ポケモンは世界共通です。

ピカチュー の車

古本屋でかわいい本を見つけました。
配色が素敵です。
何の本かと中を見るとイタリア語の辞書でした。
またしてもイタリア語。(詳しくは日記⑥ をお読みください)
イタリア語を勉強する、チェコ語に堪能な人しか必要ない本。
しかも1981年出版です。40年前の辞書…。
でもかわいい。
少し迷ったけれど買うことにしました。

見返しには昔の図書館で使われていた貸し出しカードのような紙が貼られています。
図書館の蔵書だったのかと思ったのですが、紙の裏面には本屋の名前が印刷されています。
Knihkupectví u zlatého klasu。
Knihkupectví は書店、zlatého klasu は金の穂、だそうです。
簡単に調べてみると今はない書店のようです。

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書店ですが自費出版などもしていたようで、チェコの国立図書館にはこの書店の出版として10冊ほどが登録されています。
『修道院の歴史』や『プラハを経済危機から救え』など、堅い本ばかりで、研究者の論文を製本出版していたのかな、と推察しました。(本のタイトルはGoogle翻訳です。)

「金の穂書店」で出版した本が数年後に他の出版社から出されているケースもあります。
『古い教授のノートから』という本は「金の穂書店」から1940年に出版されて無料で配布されています。
しかし1944年には、今もあるVyšehradという出版社から第3版が出版されていて、こちらには「配布」と書いていないので販売されています。
古い教授のノートが面白くて、みんなが見たがったのでしょうか。

「金の穂書店」があったのはプラハの一番の繁華街で、今はTommy Hilfigerがある場所。
少し歩くとヴァーツラフ広場や天文時計台です。
難しい専門書などを扱う本屋だったのか、新刊だけでなく古本も扱っていたのでは、などと勝手な想像を膨らませます。
「金の穂書店」がいつなくなってしまったのかは分かりませんが、少なくとも私が買った1981年出版のイタリア語の辞書が店に置かれるまではあったのでしょう。
プラハの古い地図を探して…などと司書のオタク心が頭をもたげますが、はっと気づくと「チェコ買い付け日記」からだいぶ逸れてしまいました。

ジャケ買いしたイタリア語の辞書。
イタリア語→チェコ語、チェコ語→イタリア語、どちらも大丈夫。
どなたか欲しい方はいませんか?
https://syslovbooks.stores.jp/items/631601b12e745229035ae56e
(辞書は売れてしまいました。まさかこの本がこんなに早く売れるとは…。面白いものです。)

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