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もちづき夫妻のざわついた一夜〜夫の一時帰国編

夫がバリ島から日本へ一週間ほど帰国中だ。

日曜日の夕方、パソコンで作業していると、
ピコン!とメッセージが届いた。

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「ん?なんだろう?」

よく見ると、夫への連絡らしかった。(PCが同期しているせいか)
んんん? 夫が見知らぬ携帯番号と、滞在していないホテルで夜20時に待ち合わせ???

これって・・・これって・・・あやしくないか?

いやーーーー待て待て待て待て。
何かの間違いかもしれないし、夫宛だと決まったわけじゃない。
冷静に、まずは夫へ確認してみることに。

ほどなくして、夫から返事が届いた。

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夫宛だったんかい。

たしかにライブ2daysスタンディングは辛かったろうよ。
2日経っても足がつりやすいお年頃なのもわかる。

でもさ、フットマッサージって、お店いっぱいあるやん。
わざわざホテルで? 待ち合わせして?フットのみ?
夫の言葉がどんどんクロに染まってゆく。
もはや言い訳としか思えない。

やっぱり、これって・・・アレってことーー!?

そうこうしているうちに、メッセージにあった待ち合わせの20時。
返信がないまま、夫のスマホのオンラインは切れた。
私の中で自動的にクロが当確となった瞬間だった。

バリ島で、私は子どもたちとの晩ごはんタイム。
三人で話しながらも脳内は妄想がとまらない。

私というものがありながら・・・
幼い子どもたちがいるというのに・・・
日本で今頃コソコソと・・・
もうここに愛はないのだろうか・・・

そんなことをぐるぐる考えてはニラもやし炒めの味がしないほどに怒りが湧き、
子どもが味噌汁をひっくり返してもメソメソしてしまうほどに悲しくなり、
テーブルを拭きながら泥沼の愛憎劇を迎えるのだろうかと途方に暮れた。

そうして、みるみるうちに気力がしぼんでいくのもわかった。
あぁ、すべて、マボロシだったんだヨネ・・・
どこからともなく森田童子の「ぼくたちの失敗」が流れて、
涙とため息で胸がいっぱいいっぱいになっていた時。

向こうで息子の叫ぶ声がした。

「ヘ〜〜〜び〜〜〜〜〜!!!」


はっと我に帰ると、4歳の息子が泣きながら、
「へび〜へび〜へびがいた〜〜〜!」と走ってきた。

一気に血の気が引いた。

「ええええええ! 大丈夫? 噛まれてない?」

幸い息子は噛まれておらず、
黒と黄色のシマシマの長〜い蛇が廊下にいて、
くねくねしゅるると玄関の方へ行ったと興奮気味に話してくれた。
私と7歳の娘も怖くなったが寝室に行くには蛇のいた場所を通らねばならず、
そこは壁もないのでまた蛇が戻ってきたらどうしよう!
猛毒の蛇だったら大変だ!と慌てふためき、3人で震えあがっていた。

しかも、こんな時にかぎって、
日本で買ってきた蛇つかみ棒は故障してるし、
虫除けスプレーじゃどうにもなるまいしで、
とにかく抱きついてくる子ども二人を背後にやり、
ライトを照らしながらいざ進まんとスマホを手に持った瞬間。

ピコン!スマホが鳴った。
チラと画面を見やると、夫からだった。

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・・・・・・t ?

え、この大ピンチの今?
こちとら生命にかかわる危機だというのに??
「 t 」って、小文字って、いったい何の暗号やーーー???

もう謎すぎて、正直、夫のソレどころではない。
私は子どもたちを囲いながら、足早に寝室へと逃げ入った。

「はぁ〜〜もう大丈夫よ〜〜こわかったね〜〜」

三人で胸をなでおろし、くっついて寝転んで、
日本昔話の続きを読んでいるうちに子どもたちは寝てしまった。

蛇から逃げ切り、子どもたちを守ることができてホッとしたのだろう。
私はだいぶ落ち着きを取り戻し、夫へメッセージを送った。

少しして、夫から返信が届いた。

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夫は足が不調で、スマホも不調だったのだ。

ひとまず、t の謎は解けた。

とはいえ、やっぱりショックだったし、
いったん森田童子まで行き着いた胸のもやもやは正直に伝えた。

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文面からも伝わる通り、夫はとても誠実だ。(私はだいぶテキトーだ)

足がつって(スネとふくらはぎ両方らしい)、
銀座の真ん中で藁にもすがる思いで検索したマッサージ店。

まさか、ホテルの前から電話をかけるシステムだなんて、思いもよらなかったろう。

さらに、ひょんなきっかけで妻から激情されることも。

私はといえば、思い込みというものはこわいな、とつくづく実感した。

妄想の暴走。
負のスパイラルがどこまでも止まらず、悲劇のヒロインめがけて全速力だった。

今思えば、そこまで夫を疑う必要もないのだけど。
このところトラブルが重なったし、
ワンオペで疲れが溜まってたし、
子どもたちのケンカにうんざりしてたし、
生理前でホルモンバランスもね・・・
慣れてきたバリ暮らしとはいえ、やっぱり心細かったのかもしれない。

私なりに落ち込みやすい理由があったのだなぁーとも思う。

とはいえ、どっぷり浸っていた悲しみが、蛇の出現により、あっさり吹っ飛んだのも事実。

生命に危険が及ぶと(そう感知すると)、たいていのことはどーでもよくなる! というのも、身を以て知った。

今回の件で、危険な蛇はどれか調べたし、
自分の落ち込みやすいポイントも、思い込みも、
そんなときのBGMは決まって懐メロということも、
なんだかんだいって私は夫が好きなんだなぁーということもわかったので・・・まぁ良しとしよう。

そういえば、去年の夏にもざわついた一夜〜赤い衣装の女編があったことを思い出した。笑

夫がこのブログを読んで、どんな日本土産を買ってくるか楽しみだ。イヒヒ

ちなみに、蛇はまだ捕まっていない。(バリ島だもの、仕方ないね)


※トップの写真は夫念願のU2ライブで撮影したもの。


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