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質問&感想⑥【ヨルダンと腐れ縁~KnK松永晴子が語る遺跡と日常と支援の現場~】

皆さまこんにちは!
運営スタッフの仲原菜月です。

9月5日(土)に開催された「ヨルダンと腐れ縁~KnK松永晴子が語る遺跡と日常と支援の現場~」のアンケートにお寄せいただいた質問への松永晴子さんからの回答や、参加者の方々からのご感想を紹介させていただきます。

           ( イベントレポートはこちらから! ⇧ )

① 質問と回答

Q. 難民の家庭内での大人(特に男性)の家庭内暴力は多いのでしょうか?

A. 基本的に男性の方が多い印象はあります(数字として上がっているのを見つけられていないので正確にはわかりませんが、話として多く聞くのは男性です)。

ただ、特にコロナでロックダウンとなったヨルダンでは、難民家庭だけではなく、ヨルダン人などの家庭でもかなり家庭内暴力が増えたという報告が出ていました。
おそらくヨルダンだけではなく、日本でも見られたことかと思います。
[回答:松永晴子さん]


Q. 奥さん方は暴力をふるう夫たちにどのように接するのでしょうか?

A. 直接話をしたことがないので、正確にはわかりません。
ただ、そもそも声をあげられるような環境にいれば、実家に帰るなり離婚するなりしていたと考えられ、実際にそのような例は少なからず耳にします。
 
一方で旦那さんしか携帯電話を持っていなくて連絡手段がない、という家庭もあり、その場合はただひたすら耐えている、という話も数件ですが聞いたことがあります。
[回答:松永晴子さん]


Q. どんどん子供が生まれるとのこと、明るい家族計画・避妊について伺いたいです

A. 現在の状況ではないのですが、2008-10年、シリアで母子保健のプロジェクトに関わっていたPiece of Syriaの中野から回答をさせていただきます。

当時のシリアは、都会では2~3人ほどの出産でしたが、田舎では10人近い子どもがいる家庭も珍しくありませんでした。
調査ではなく、私の聞いた話になってしまうのですが、どうして子どもを多く産むのかを尋ねたことが何度かあります。
答えは人によるので、印象的だった答え、になるのですが、

「老後、自分の面倒を見てくれるのは子ども達なので。女の子は嫁いでしまうので、男の子が少なくとも1人は欲しい。君達でいうところの年金のよう感覚かもしれない」
「ただ、1人だと事故や病気で亡くなるかもしれない。だから、二人、三人と多い方が良い」
「シリアは今は平和だが、イスラエルにいつ戦争を仕掛けられるか分からない。戦争になると兵士が必要だ。兵士を作り、国を守るために子どもを産むんだ」
という話を聞きました。

こうした状況があったので、「家族計画」(=プロジェクトとしては「出産間隔を空けましょう」というメッセージでした)の結果、彼らの価値観を傷づけてしまわないようにしたかったので、私個人の活動として、宗教学校の先生を訪ねて、イスラムの教えに即した家族計画について教えてもらい、彼らに代弁してもらう形で活動をしました。

(出産間隔を空けましょう、という教えがあると教えてもらったのですが、モスクでお説教をするイスラームを学んだ方々の中でも意見は異なるようで、「そんなことはない」と話す人もいました)

松永さんから「ヨルダンでは一般的に、女性が薬や簡単な手術をして妊娠しないようにするケースが多いです。」ともお聞きしましたが、シリアも同様で、ピルやIUDなどを用いた避妊が主流でした。

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[回答:Piece of Syria代表 中野]


② 印象に残った内容

対話が大切であるということが印象に残った。
国籍・人種を超えて、人と人が通じるためには、コミュニケーションがとても大切であることに共感したからです。

泣いている他人の子どもを遠慮なくあやすアラブのおじさん達や、やたらにプライドと「自己肯定感」が高いアラブの人たちを私たち日本人も少し見習ってもいいのでは、など、そのプライドの高い人たちのプライドを傷つけることなくかかわり支援を行う姿勢が難民に限らずすべてに通ずること。
松永さんの支援者としての業務だけでなく1人の人間としての実感がこもっていました。

子どもたちに関わる仕事をしているので、相手の気持ちを想像できる子どもたちを育む教育環境の重要性や難しさ、というところに共感と再認識をさせられました。

「鈍感でなければポジティブになれない」と「共感能力の欠如」
失業率20%のヨルダン人の現状と同じ土俵で語ることができるのだろうか(と思った)。

難民という言葉が見えなくしてしまいがちな、シリアの方々の文化や人間的な側面が特に印象に残りました。メディアではシリア難民の子供の絵は戦争の絵ばかりかのように報道されることもありますが、松永さんのお話から、モザイク画の素養を垣間見させる絵を描く子や、ヨルダンには少ない緑豊かな自然を描く子もいることを知って、シリアに対してさらに親近感を抱くことができました。

シリア難民、クルド人難民は外国で差別されるのか。
きちんと生計を立てられているのか。
→クルドの方々については9月11日(金)のイベントにて取り扱います!

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アンケートにご協力頂き、誠にありがとうございました!

動画での視聴を希望される方は、下記からチケットを購入していただきますと「見逃し配信」をご視聴いただくことができます。ぜひご検討くださいませ!

シリスタ Peatix見逃し配信

運営スタッフ 仲原菜月