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レポート②【今、シリアで暮らす人たちの声】

皆様こんにちは!
運営スタッフの仲原菜月です。

ハルドゥーン フセインさんをゲストに招き、
8月22日(土)に開催された「今、シリアで暮らす人たちの声」
のイベントレポートをお届けいたします!

2020年8月 更新.003

①ハルドゥーンさんについて

ハルドゥーンさん 自己紹介

ハルドゥーンさんは、ダマスカス大学にて日本語を勉強された後、
日本国際協力機構(JICA)のシリア事務所にて勤務されていました。

2010年に来日され、広島大学、大阪大学などで研究に携わっていらっしゃいました。

2020年4月からは東京外国語大学で特任教授を務めていらっしゃいます。

②日本と似てる?シリアの基礎情報

シリアの正式名称は「シリア・アラブ共和国」
 
中東と聞いて砂漠が広がっているイメージがあるかもしれませんが、
海があり平野もあり自然豊かな国なのです。

また、シリアには日本と同様に四季があり、雪も降るんだそうです!
冬はかなり寒いのですね。

ハルドゥーンさん 雪

■ 文化

ハルドゥーンさん ダマシン

この美しい柄は、ダマシンと呼ばれる工芸技術の一つだそうです。
ダマスカスで生まれ、シルクロードを経由して日本にも伝わりました。

江戸時代には京都に職人さんがいて、日本の文化にも取り入れられたそうです!

また、有名なのはモザイク!
壁や天井がモザイクで埋め尽くされていて、
モスクの写真は精巧な模様が一面に広がっていました。


そして、自慢のアレッポ石鹸
参加者の方の中にも、使っている方がたくさんいらっしゃいました!

(9月4日(金)にアレッポ石鹸工場見学ツアーもございます!)


■ 宗教・言語・教育

シリアと聞くと、全員がイスラム教であるイメージでしょうか…?
実は、90%の方がイスラム教、10%の方がキリスト教なのだそうです。

イスラム教の中でも色んな宗派があり「モザイクの国」と呼ばれています。


言語面では、アラビア語、クルド語、トルコ語、シリア語、アラム語など
様々な言語が使われています。
(アラビア語はよく耳にしますが、シリア語もあるんですね!)


教育では、小学校が6年、中学校が3年、高校が3年となっています。
そのうち義務教育は9年間で、日本と同じですね!


日本と同じ、といえば… 
日本のアニメと漫画は広く人気があるそうです。

「キャプテン翼」や「猿飛佐助」が放送されていたそうで、
ちなみに登場人物の名前はアラビアネームに変わっていたり…!


(キャプテン翼が「キャプテン・マジェッド」になっています)


シリアと日本、遠く離れてはいますが、繋がりを感じられて嬉しく思いました。

③私たちにできることって?シリアの現状

現状についてハルドゥーンさんが真っ先に挙げたのは、経済制裁の厳しさ。
結果、停電や断水など、市民の生活に大きな影響を与えています。

ハルドゥーンさん 経済制裁

物価も上昇するなか、シリアの皆さんは
工夫を凝らして暮らしていらっしゃるそうです。


屋上に赤〜い怪しい物体が・・・!?

これ、なんだと思いますか?

ハルドゥーンさん トマト

衛星写真で取ると真っ赤なので、化学兵器だと思われているんだ!
なんてジョークも流行ったりもしているそうですが・・・

実際は、トマトソース(左)、唐辛子(右上)、ザクロ(右下)です!
価格の安い夏のうちに、冬のための保存食を作っているんです。



続いてこちら。

ハルドゥーンさん オレンジ

オレンジじゃない、というのがヒントです!

実はこちら、あんずなのだそうです!
外で乾燥させて、ドライフルーツにしています。


また、少しずつ復興に向けて前進しています。
大聖堂や市場など、遺跡の修復も始まっているようです。

一歩ずつ、ゆっくりではありますが、前に進もうとする強い意志が
伝わってくるように感じられました。

ハルドゥーンさん 遺跡

難民帰還、インフラ復興、経済再生など課題はありますが、
「きれいなシリアに戻るためには、日本の皆さんのサポートが必要です」
ハルドゥーンさんからのメッセージがありました。

こうして必要とされていることを忘れず、
自分にできるアクションを起していきたいと強く思いました。


④ シリアに住む「普通の人たち」の声

ニュースでしか聞くことがほとんどない、今シリアに住んでいる方々の
ビデオメッセージを見せていただきました。


中学生の男の子は、
ウード教室やサッカー、そして友達と遊ぶ時間が楽しい!と話し、
「ドラえもん、ちびまる子ちゃん、ハム太郎を見てるよ!」と教えてくれました。
戦争中でも通えていた学校は、コロナで今は行けなくなっているそうです。

公務員の女性は、
「物価が十数倍に跳ね上がったため、肉は食べられなくなった」と話し、
コロナでシリア政府が様々な対策をしてくれていることについて教えてくれました。
昔のシリアについて、世界で一番治安がよく、安価な生活が懐かしい、と言います。

公務員として働く男性は、
小さな子ども2人がいますが、夫婦共働きでも月40$の収入しかなく、
子どものミルクとおむつ代しかまかなえないため、アルバイトをしているそうです。
それでも、食事は一日一食で、肉やお菓子は贅沢品だ、と伝えてくれました。


シリアで暮らす方々の生の声をお伺いできたことで、
今のリアルな生活の様子を感じ、より深く理解できたように感じました。


先日の、レバノンの首都ベイルートでの爆発についても尋ねると、
シリアとレバノンの軋轢もある中、

「ベイルートの平和を祈っている」
「協力したいと思う」
「強く同情する」

こうした暖かい言葉で平和な関係を望む声を届けてくれました。


イベントを通じ、シリアの人々が諦めることなく、
懸命に生きていることが伝わり、まるで背中を押されているように感じました。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
シリアが皆さんにとって身近な国になっていましたら幸いです。

動画で見たい!という方は、下記からチケット購入していただければ
「見逃し配信」の視聴もできますので、是非ご検討くださいませ。

2020年8月 更新.054


皆さんとオンラインでのシリア旅に出かける日を楽しみにしております!


運営スタッフ 仲原菜月


次回は8月28日(金)「シリア情勢を知る初級編」です!

2020年8月 更新.023