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クゥ。

忘れられない夏、というのが誰しもにあると思う。
それは子供時代の思い出であったり、恋人同士や家族での思い出であったり。この夏、僕はこのnoteにそんな思い出のいくつかを書いてきた。なんでもないようなことばかりだったけど。
それでも、どうして夏の思い出というのはこんなにも記憶の中に居続けるのだろう。

「河童のクゥと夏休み」を観た。
クレヨンしんちゃんの映画作品「オトナ帝国の逆襲」と「戦国大合戦」という名作を監督した原恵一氏の作品で、ずっと前から観たいと思いつつなかなか観れてなかったものを半ば無理やりに観た(そんな作品がいっぱいあってこまる)。

この作品は先に挙げたクレヨンしんちゃん的な感動作を期待してはいけないな、と思った。いや、感動もするのだけど、いわゆる大衆映画的な大きな展開やアクションシーンがあるわけではないから、それを期待すると肩透かし感があると思う。
もちろん、そういう大きな盛り上がりが無いのは計算の上だろう。
だから「河童のクゥと夏休み」は、とてもクールな作品なのだと思う。

あらすじを引用してみますね。

夏休み前のある日、小学校からの帰り道に上原康一は大きな石を拾った。
持ち帰って水で洗うと、中から何と河童の子供が!!
第一声は「クゥ?!!」。康一はこの河童を「クゥ」と名付ける。
クゥは康一たちと同じ言葉を話し、何百年もの間、地中に閉じ込められていたことがわかる。
最初は驚いた家族もクゥを受け入れ、クゥのことは秘密にしようと決めるが・・・。

このクゥの描写はとてもファンタジックなのだけど、それを受け入れる家族や世間のリアクションがとてもリアル。このちぐはぐ感に違和感を感じる。
例えば同じような構図に「シン・ゴジラ」があると思うのだけど、あれはゴジラという存在のファンタジックさをこれでもかとリアルに描いていた。ゴジラがいるようなパラレルワールドがほんとにありそうな気がした。そこに心を奪われるのだと思う。
とはいっても、シン・ゴジラと河童のクゥとではメッセージの方向性が違うから比べるのも違うのかなぁとは思うけど。

その、クゥとそれ以外…つまりファンタジーとリアルのバランスに覚えるちぐはぐ感が気になってしまって、観てて少し入っていけない感じがあったかな。

でも、あの家族にとっては、クゥがいたあの夏の時間というのは一生忘れられない思い出になると思う。
長い目で見ればほんの刹那的な時間になってゆくだろうけど、それでもいつまでも頭の中でキラキラと輝き続けるような、忘れられない夏に。
なんだかそれは、とてもいいなぁと思う。

ただ、冒頭に書いたように僕らの頭の中にもそんな思い出があるはずで、それはキラキラしているものばかりではないかもしれないけど、大切にしておきたいな。
そしてそんな夏の思い出は、きっとこれからだって出来ていくはずだし。

なんだか映画の内容とはずいぶん離れてしまったけど、そんなことを考えました。なんだかんだ言いつつ、夏のこと好きなのかもしれない。笑

原恵一監督はこのあと森絵都原作の「カラフル」を映画化するのだけど、これは文句なしに素晴らしい作品。ぼろぼろ泣きました。未視聴の方がいたら、おすすめしておきます。

ああ、映画の感想書くのってほんとに難しいな。笑

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