見出し画像

"少"論文007:オチから作る創作術(未購読の方も全文お読み頂けます)

こちらの記事は、定期購読をしていない方でもお読み頂けます。

現在、ボイスドラマを作っています。
制作中の作品なので、いわゆるネタバレ要素を回避しつつ、今回の作品の脚本執筆を通じて見つけた「オチから作る」という創作術について書きます。


現在制作中の「マリンスノー・トパーズ」は恐らくトータル60分超えとなる長編のボイスドラマです。
僕はこれまで、ここまで本格的な脚本の執筆をした事がありませんでした。
では、なぜ今回の作品が作れているのか……。


「マリンスノー・トパーズ」の脚本は、
「逆算」と「消去法」をきっかけに書き上げました。

【前提】
数年前、「nana」という音声投稿アプリを使い始めました。
誰かが投稿した音声に、自分の声を多重録音する形でコラボすることが出来るのが特徴です。
コントグループのラーメンズが好きで、ネタの一部分を抜粋した音声を暇つぶし的に投稿したのが、今回のボイスドラマを作り始めた全てのきっかけです。
僕の投稿にコラボしてくれたのが「すのまる。」ちゃんでした。
当時、彼女はまだ学生でした。
何気なく投稿したものにコラボしてくれたのが嬉しかったのもありましたが、めちゃくちゃ演技が上手くて何度も再生していました。
すのまる。ちゃんが投稿している他の音声も聴いてみると、やっぱり演技が上手い!
nanaでのコラボを通じた交流がしばらく続きました。

数年前、今回のボイスドラマとは別の作品ですのまる。ちゃんにオファーを掛けたことがありました。
すごく忙しくしていたようで、オファーは叶いませんでしたが、「いつかすのまる。ちゃんと一緒に作品を作りたい!」とその頃からずっと思い続けていました。

【発端】
更に時間は流れて、数年前のコロナ禍。
ふと思い立ってWordに向かって文章を書き始めました。
『救われる』って何だ、と。
同時期、創作資料を整理していた時のこと
・「アメイジング・グレイス」を題材にした作品を作りたい
・対極的な要素を含んだ作品を作りたい(白と黒、裏と表など)
といった内容を書いていたのを思い出しました。

「救いとは何か」
「アメイジング・グレイス」
「対極的」
この3点を踏まえて、脚本の大まかなフローチャート(どんな人物がいて、どんな事が起こって、どんな結末を迎えるのか)を書き始めました。

ここで、今回のタイトルです。
「オチ」から書き始めたんです。

「何かに絶望した人が救いを求めてもがいて、ようやく前に進めるようになる話にしたい」

この段階で作品の外壁というか、枠組みが出来ました。
次に、「オチ」に必要な要素を考えていきました。

・何に絶望するのか(主人公の身に何が起こるのか)
・主人公はどんな境遇にあるのか
・主人公の身の回りにはどんな人物がいるのか
・ハッピーエンドと取るかバッドエンドと取るかは、受け手によって変わるものがいい(経験、価値観など)

こうしてまとまったのが……

・2人の主人公(気弱な人と衝動的な人、正反対の性格)
・主人公の名前が「うみ」と「ゆき」(夏の「海」と冬の「雪」)
・物事の「表舞台」と「裏社会」

という、対極的な要素です。
ここで思ったのが「2人の主人公は同じ人に演じ分けて貰いたい」という事です。
2人の役者がそれぞれの人物を演じるよりは、敢えて同じ役者の人に演じ分けてもらった方が、2人の主人公に共通点や一貫性を持たせられると思ったんです。

真っ先に頭に浮かんだのが、すのまる。ちゃんでした。


【始動】
数年前にnanaで何度も聴いたすのまる。ちゃんの声を思い出しながら、脚本を書き始めました。
序盤の内容が書き上がった時、「あ、これすのまる。ちゃん以外有り得んわ」と直感で思いました。
本人に連絡を取り、出演OKを頂きました。

それからは、毎日のように脚本を書き進めました。
わんわん泣きながらキーボードを叩き、ロクに執筆が進まなくなってしまう日もありました。(自分でもびっくりしてました)
かと思えば、2〜3チャプター分を一気に書き終えた日もありました。
全ての内容を書き終えるまで「迷う」とか「悩む」という壁にぶち当たる事は、殆どありませんでした。
逆算して先に「オチ」を決めておいたので、そこに向かって必要な要素を詰めていけばいいからです。
大まかな背景や人物設定だけでは、書けなかったかも知れません。
すのまる。ちゃんの声からイメージを膨らませ、入れたいシーンや会話のやり取りなども自然と思い浮かべることが出来たので、知らず知らずのうちに消去法で無駄な要素を排除出来ていたんですね。


作品の可能性は無限大にあります。
可能性の幅広さは自由に作ることが出来る安心感でもあると同時に、かえって作り手の首を絞める要素でもあるのです。
そこで、先に「オチ」を決めておくことで、可能性をある程度制御することが出来るんです。
「これ以上お話を広げると作品に合わない」
「この要素はこの作品に必要ない」
というように、外堀を固めた上で作品作りが出来るようになり、とてもスムーズに創作が進められるようになります。



冊子型2枚組CDアルバム「晏ノ运(unknown)」
及び
作中ボイスドラマ「マリンスノー・トパーズ」は
現在制作中の作品ではありますが、少しずつ情報公開を行っています。
今年の1月にはボイスドラマの序盤エピソードを公開しました。

▼「マリンスノー・トパーズ」Chapter1(お試し版)▼


そして、今月6月29日(木)の21時より
新たなエピソードを公開予定です。

▼「マリンスノー・トパーズ」Chapter2(予告)▼


Chapter2(お試し版)の待機所は
◆こちら◆


アルバムの完成までは、もう暫くお時間を頂戴致します。
今回の作品は、Amazonでの委託販売の実施を目指してクラウドファンディングへの挑戦も計画中です。
また、「マリンスノー・トパーズ」本編の後日譚であり、プロローグ的な位置づけでもあるスピンオフ作品も準備しています。
更に更に、イラストレーター玲愛さんのご協力のもと、作品の登場人物達の日常を描いた四コマ漫画も展開予定です。

ぜひ、お楽しみ頂ければと思います。
応援よろしくお願い致します。

ここから先は

0字
音楽、テーマパーク、カードマジックなどを通じて見出したアイデアやヒント。 作る人だけでなく、見る人や聞く人にもオススメな「エンターテイメントをより深く味わうため」のスパイス。

"少"論文

¥500 / 月 初月無料

独学だからこそ見出せた作品作りのノウハウ、拘り、閃き、気づき。 少年(しょーや)の論文、略して"少"論文。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?