翔太鈴木

芸人もどき、役者くずれ、噺家的存在、小説家きどり。 小説を販売しております。 noteでは短いお話を載せていこうと思っています。 どうぞ、よろしくお願いします。 https://syo-ta131suzuki.wixsite.com/syoutasuzuki

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    マガジン

    • 研究室。

    • さいしょはグー。

    • 小さな雑貨屋。

    • オレンジペコー。

      翔太鈴木の一作目の長編小説「オレンジペコー」の番外編の短編です。

    • ファイト!

      翔太鈴木2作目の長編小説「ファイト!」の番外編の短編小説です。今後もアップしていく予定です。

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    お弁当。

    都内の少し大きな公園に、一台のワゴン車が止まった。すぐに若い女の子たちが集まる。 「お弁当ください!」 女の子たちの目的は、そこで売られるお弁当だった。車内の、二十代半ばほどの女性の店主がお弁当を売る。 「かわいい!」 お弁当を差し出すたび、女の子たちはそう言う。その笑顔はとても可愛い。 そして、女の子たちはスマホを取り出す。 友達同士で集まって写真を撮ったり、撮った写真をSNSに上げたり、自分の撮った写真を見せあったりしている。店の前は、とても盛り上がっていた。

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      • なんでもレーダー。

         「よし、出来たぞ」 研究室。窓から空を眺めていると、背中からそう声が聞こえた。 「博士、完成ですか?」 この人は発明家で、自分は助手だ。自分の上司とも言うべき人だが、「鉄腕アトム」を読んで発明家になったこの人は、自分を「博士」と呼ばせる。 「おう、やっと出来たよ」 「今度は何をつくったんですか?」 「レーダーだ」 「レーダー?何を探せるんですか?」 そう聞くと、博士は自信満々な顔を向けた。 「なんでもだ」 「なんでも?」 「あぁ。どんなものでも、なんでも探せる。お前、何か探

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        • 理の夏休み。

           理の額を、汗がしたたる。尻のポケットからぶら下げたタオルを抜き出し、汗を乱暴に拭った。 「…ふぅ」 ビルの清掃のアルバイト。夏休み中のこの時期は繁忙期で、地獄のような忙しさだった。  換気のために開けている窓も部屋の片面しかなく、風通しは悪かった。そして、その窓から直射日光が容赦なく部屋に入ってくる。しかも、電気代をケチったビルのオーナーから「冷房をつけるな」とお達しがあり、まさに蒸し風呂状態だった。加えて、ホコリを吸い込まないためにマスクをしているので息苦しく、何度も気が

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          • ジンの夏休み。

             夏休み。ジンが美緒と一緒にハンバーガーショップに入る。二人で宿題をするのが、ほとんど毎日の日課だった。  「今日は、私に払わせてくれる?」 美緒がそう言う。ジンは、「いや、そんな、いいよ」と遠慮した。 「ううん、ちがうの」 美緒が首を横に振る。 「おかあさんがね、『今日はご馳走しなさい』ってお金くれたんだ」 「なんでまた?」 「本当ならね、夏期講習とか行かなきゃいけない時期なのに、ジン君のおかげで行かずに済んでるから」 「そんな」とジンが笑う。 「学校入ったぐらいの時はね

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          • 小さな雑貨屋。

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          • オレンジペコー。

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            翔太鈴木の一作目の長編小説「オレンジペコー」の番外編の短編です。

          • ファイト!

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            翔太鈴木2作目の長編小説「ファイト!」の番外編の短編小説です。今後もアップしていく予定です。

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          • さいしょはグー。

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            翔太鈴木の一作目の長編小説「オレンジペコー」の番外編の短編です。

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            翔太鈴木2作目の長編小説「ファイト!」の番外編の短編小説です。今後もアップしていく予定です。

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            • 宗悟の夏休み。

               夏休みの、学校のグラウンド。夏の大きな太陽が容赦なく照りつけていた。  空手部の朝練が終わった。宗悟の額を、大量の汗が流れる。水場で顔を洗い、汗でへばりついた服の気持ち悪さに耐えきれずにTシャツを脱いだ。露わになった宗悟の上半身を、突然、冷たい水が襲う。 「うわぁ!」 思わず、大きな声をあげた。 「わははははは!」 声のした方を見ると、空手部の部長が水の出ているホースを握りしめて笑っていた。 「ちょ、なにすんすか!」 「気持ちいいだろ?」 「つめてーっすよ!」 「わはははは

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              • 雨ニモマケズ。

                 とある高校の教室。朝の始業を告げるチャイムが鳴った。それと同時に、背の高い男子生徒が慌てて駆け込んできて、すでに教室に入っていた国語担当の女性教師と目が合った。 「…優太、アウトー!」 そう言って、先生は野球の審判のように親指を立てた右手を高く上げた。優太は、「ちょっと待ってください、訳があるんです!」と抗議した。 「…よし、言ってみなさい」 先生は、両手を腰において、優太の言葉を待った。 「学校へ来る途中に…東に病気の子供がいたので看病してやって、西につかれた母があったの

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                • めげない人。

                   とある研究室。助手の男が資料室でデータをまとめていた。隣の研究室では、助手の上司とも言うべき発明家の男が研究に没頭している。 「ドカン!!」 その、隣の研究室から大きな爆発音がした。 「博士!?」 助手が、慌てて研究室に駆け込む。発明家は、助手に自分を「博士」と呼ばせていた。 「大丈夫ですか!?」 部屋には黒い煙が充満してて、博士の姿は確認できなかった。 「たすけて~」 かすかに聞こえた博士の声は、積みあがったガレキの中から聞こえていた。助手は、ガレキをどか

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                  • 雨。

                     雨が激しく降っていた。 駅に向かう道の途中。 公園の前で、ふと足を止めた。 公園の真ん中に、姉と弟であろう小さい兄弟がいた。 ひとつの傘を二人で分け合って、寄り添って立っていた。 弟は、姉の手をしっかりと握りしめていた。 その手はとても力強くて、何かを我慢しているように見えた。 「泣いてもいいんだよ?」 姉が弟に言った。 弟は、何も言わないまま、首を横に大きく振った。 「どうして?」 弟は、また何も言わぬまま、首を横に大きく振った。 姉は、困ったように微笑むと、空

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                    • 親子晩酌。

                          「…ただいま」 夜遅くに大学から帰ってきた息子を、父親が「おう、おかえり」とビールをグラスに注ぎながら迎えた。息子は「…うん」と力なく答えた。その息子の様子に「なんだぁ、元気ねーな」と半分酔っ払って言った。息子は「…うん」と、また力なく言うと父親の対面に座った。息子のその様子を見て、「なんだ?何かあったのか?」と聞いた。 「…『優しくないね』って言われちゃってさ」 息子が、ぽつり、と言った。父親は「誰に?」と聞いたが、息子は答えなかった。父親は「…まぁ、いいけどよ」と

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                      • カギ。

                         街の、小さなカギ屋。普段は、合鍵を作ったり、カギを失くした人からのSOSを受けて駆けつけたり、保存されていた古い金庫のカギを開けたりというような仕事を受け持っている。  ある日、そのカギ屋に一人の女性が訪れた。成人済みではあるものの、年頃の男子であるそのカギ屋は、美人の登場に楽しくなった。 「いらっしゃいませ」 そう、笑顔で出迎える。 「あの、どんなカギでも開けてもらえるんですか?」 女性がそう尋ねる。 「どんなカギでも、とはいかないですけど、出来る限り頑張ります」 そう

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                        • 傘。

                           「…ふぅ」 仕事終わりの帰り道。ひとつ、息を吐く。空は曇っていて、夕焼けは見えなかった。  効率良く仕事を終わらせ、帰る。残業なんてしない。寄り道もしない。飲み会も女子会も、断り続けたら誘われなくなった。  それで良かった。無駄なことは嫌いだった。無駄を省いて効率よく動き、時間もお金も、自分自身も最大限に有効に使いたかった。  少し、早歩きで帰る。出来るだけ早い電車に乗りたい。歩きながら、頭の中でこのあとのスケジュールを確認する。家に帰って仕事の整理をしたあと、部屋を片付け

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                          • バイプレーヤー。

                             「…どうした?」 とある会社。社長が若手の社員に話しかける。社長が若手社員に気軽に話しかけられるほどの小さな会社だが、大手企業とも取引もある、外からは、「少数精鋭」と評価される会社だった。 「なんでもありません」 若手がそう答えるが、明らかに不機嫌だった。「どうしたんだよ?」と社長が笑う。若手社員が、話し出した。 「今度、プロジェクトチームに配属されたんですけど」 「あぁ、A社との合同のだろ?前からお前がやりたがってた仕事じゃんか。頑張れよ」 「そうなんですけど…」 「なん

                            • 人は鏡。

                                 「あー、もう最悪!」 夕方。仕事が終わり、同じ早番のシフトに入っていた先輩と同僚と三人で、少し早めの晩御飯に来ていた。二人は、いつものように仕事の愚痴を吐き出し始める。 「さんざん試着して一着も買わないってどんな神経してんの」 「あのハデな女でしょ。見た目ハデなわりにケチですよねー」 先輩の愚痴に、同僚が同意する。先輩は「ほんとだよ」と吐き出した。 「…試着して、サイズ感見て、ネットで買うんじゃないですか?」 一応、そう言ってみる。 「それにしたって、うち

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                              • 愛情計。

                                愛情計  「博士が一番すごいと思う発明って、なんなんですか?」 とある研究室。助手の男が、自分の上司とも言うべき発明家に質問した。「鉄腕アトム」に憧れて発明家になったというこの男は、助手に自分の事を「博士」と呼ばせていた。 「時計だな」 「時計ですか?」 「アトム」を見て発明家になったにしては地味な答えだなと思い、つい、聞き返してしまった。 「もっと、テレビとか、スマートフォンとか、そういうのを答えると思ってました」 「いや、そんなものより、時計の方がすごいぞ」

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                                • 「さよなら」。

                                  「…ふぅ」 その日の全ての授業が終わり、理(おさむ)が帰り支度を始めていた。 「宗悟、なんか楽しそうだな」 クラスメイトの菜田仁(さいたじん)が加賀宗悟(かがそうご)という男子生徒に声をかけていた。宗悟は「おう、やっと今日から始まるんだよ」とワクワクした様子で答えていた。 「お、部活?」 「おう、すっげー楽しみなんだ」 そう言いつつ、机の上にまとめた空手の道着に手を触れた。 その会話を、理が何気なく聞いていた。 「じゃあ、行くわ!」 そう言って、宗悟が荷物を肩に担ぐ。

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                                  • ざんねん。

                                     朝。登校途中の晴香が、学校の近くの道で赤信号に捕まり、足を止めた。 「…まだまだ寒いな」 入学から少し経った、ある日の朝。四月だというのに朝はまだ寒く、晴香が白い息とともにそうつぶやいた。 「晴香!」 遠くから名前を呼ばれる。横断歩道を挟んだ向こう側の道で、ジャージ姿の宗悟が大きく手を降っていた。「あぁ」と小さく手を降り返す。宗悟が横断歩道を走って渡ろうとするが、信号が赤なのに気づきいて足を止め、信号が変わるのが待ち遠しそうにその場で小さくジャンプを繰り返した。  信号が青

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