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何でもない一日。
朝晩、時間も気にせず眠れることの幸せ。
雨多きこの時期は、太陽も起こしに来やしない。
今朝は一時間ばかり多く寝た。
目覚めれば昨日、寝る前に読んだ本が、変わらず、
開いたまま裏向きに置いてある。
一度寝返りを打ち、その本を読み始めた。
朝変わらぬ人も一時間ばかり多く寝たようである。
衣食住足りて、趣味もほどほど、さして人間関係も窮屈していない。
おまけに時間を気にせず寝ていられる。
これほどの幸福はあろうか。
だのに世の不平不満は雨のごとし。
衣食住足り、趣味もほどほど、それでもなお、求め続けている。
満たされえぬ渇望の最中、人々は振出しに戻る方法を忘れてしまった。
上がりのない双六の賽は振られ続け、昨日より今日と、求められるものは大きくなるばかり。欲望は膨れ上がる。
一度、振出しに戻れば、命はないと思っているかのようにうかがえる。
振出しとは、無くすことではなく、己の最小を知ることだ。
持ちすぎたものも、日々口に運ばれるものも、住む家も、さほど大きくなくても問題あるまい。
衣食足りて礼節を知る前に、礼節をわきまえ衣食足りることを知るべし。
己の最小を知れば、不平不満も最小になるのだから。
そうすれば、何でもないこの一日も、かけがえのないものにうつるだろう。
トップ画:ぶんかま(Twitter)
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