IDFAのオプトイン化が与える影響を解説します
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IDFAのオプトイン化が与える影響を解説します

正田 / α, inc

お世話になっております。
VRize改めαの正田です。

WWDCでAppleがしれっと巨大な爆弾を落としてきましたね。
IDFAに制限がかかるのはまだ数年かかるだろうというのが私含め周りの関係者の見立てでしたが、思いの外すぐにやってきました。
詳細はこれらの記事・動画を参照してください。


これ、あまりピンとこない人もいると思いますがモバイルのエコシステム全体を大きく変えるビッグニュースです。

影響範囲全部を話すと長くなってしまうので今回は私の主戦場であるアプリ広告周りに絞って解説・考察していきます。
まだ情報も少ないのでもし間違ってるところがあればご指摘ください。
※当たり前ですが、すべてiOSに限った話です。今のところAndroidには影響ありません。

IDFAに制限がかかり、何が変わるのか


IDFAとはiOS端末ごとに固有の広告成果をトラッキングするためのIDです。
今まではアプリが自由に取得し、広告配信に使うことができていたのですが、これを取得するためにユーザーの許可が必要となります。

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(出典: https://developer.apple.com/app-store/user-privacy-and-data-use/)

このようなダイアログで、データの利用目的部分のテキストは変更できるようです。
IDFAの活用がオプトインとなることで実質的に従来の方法では広告成果を追えなくなり、ユーザーの識別ができなくなるのでリタゲ・リエンゲージメント配信はもちろん、ユーザー属性を類推してのターゲティングも難しくなります。
アプリインストールの成果は、IDFAを使う代わりにAppleのSKAdNetworkという機能を使って計測ツールを介さず直接媒体に通知されることになります。

 広告主・DSPはどうなる

リタゲ・リエンゲージメントのキャンペーンはほとんど機能しなくなります。DSPのリエンゲージメント配信は事実上不可能です。

アプリ内のイベントとキャンペーンを紐付けられなくなるので、媒体ごとのROASやリテンションの計測も難しくなりますが、限られた範囲で計測はできるようです。(詳細は不明)
新規獲得への影響は比較的小さいですが、ターゲティング精度が下がることで若干のCPI高騰は避けられないかと思います。

ちなみに、IDFAの代替案に近いものとしてIDFVが使えるという情報が一部出回っていますが、IDFVは広告配信のターゲティングに使うことができません。

アプリ事業者・SSPはどうなる

eCPMは間違いなく下がるので、広告で売上を立てているアプリは軒並み収益が下がります。もちろんSSPもです。
Facebookの研究によると、ターゲティングされない広告はされた広告に比べ収益が50%以上下がるようです。実際にどれほどeCPMが下がるのかはメディアの特徴や保持しているユーザーデータ等によりますが、広告収益に頼っているアプリはダメージが免れないです。

プラットフォーマーはどうなる

GoogleやFacebook(Instagram)、Twitterなどの一部プラットフォーマーは元々計測ツールとはAPI連携という有利な立場にあり、それぞれが独自のルールの元にアトリビューションを取っていました。
API連携は明らかにフェアではなく、プラットフォーマーだけに許された特権ですが、第三者的立場である計測ツールがそれを許容していた理由はプラットフォーマーとの力関係にあります。
プラットフォーマーとの連携ができなくなると計測ツールとしての価値が大きく毀損してしまうため、特権的な立場を与えたとしても連携せざるをえなかったのです。

しかしAppleが独自でアトリビューションの計測を行うとなると、事情は大きく変わります。
まず前回の記事に書いたような各媒体ごとのアトリビューション定義という概念がなくなり平等になります。それによって、マーケターは本来の各媒体の成果を知ることになり、大幅なアロケーションが必要になります。
また、現状API連携媒体は、オーガニックを含めた全インストールのデータを受け取っています。これによって有効なデータ量が増え、ターゲティング精度を高めることができていましたが、計測ツールを介さなくなるとAPI連携媒体も自社がアトリビュートしたインストールのデータしか受け取れなくなるはずなので、今後徐々にターゲティング精度が下がります。
ただそれでも自社でユーザーのデータを大量に保持しているため、ユーザー単位でのターゲティングができなくなるDSP/アドネットワークに比べると圧倒的に優位な立場となります。IDFAベースでのターゲティングではなくユーザーIDベースでのターゲティングであれば、リタゲもそのまま可能です。ただし、リエンゲージメント配信は仕組み上できなくなる可能性が高いです。

計測業者(以下、MMP)どうなる

IDFAでインストールやリテンション・課金などのデータをトラッキングするという、大事な役割のひとつは失われます。
ただ、Appleからのインストール後データの収集は限定的になるので、より細かくデータを見る場合にはやはりMMPに任せることになります。
その場合はすべてフィンガープリントでのアトリビューションになり、IDFAほどの精度で測定はできないものの従来の役割はそのまま残ります。
す。他にもMMPにはフラウド検知やView-trhough計測などの機能があり、短期的には広告主がAppleのSKAdNetworkに完全移行するための機能が不足しているため、多くの広告主はそのままMMPを使い続けると予想しています。

また、インストールやその後の行動データを今まではMMPが集約していましたが、SKAdNetworkを使う場合は媒体に分散されます。
この媒体に分散されたデータを再度集約させることもMMPの新しい役目になりそうです。この機能についてはすでにSingularが発表しています。

Web面はどうなる

Web面には直接的な影響がありません。引き続き計測ツールのSDKを使ってフィンガープリントを継続することになります。
ただ、アプリ面配信でフィンガープリントを使うことになる場合は間接的な影響がでてきます。今まではIDFAのアトリビューションが優先順位や期間で優遇されていましたが、それがフラットになることで、相対的にWeb面の価値は高まります。IDFA有りのクリック・Viewに取られていたコンバージョンがWeb面の成果になるケースも出てくるので、CPIはやや下がりそうです。
また、アプリ面の広告効果が落ち、リエンゲージメント予算も激減するので、余った予算がWeb面に流れてくる可能性があります。

最後に、ユーザーへの影響

プライバシー的にはもちろんプラスになることは間違いないのですが、普段目にする広告も変わります。
ターゲティングできなくなるということは、裏を返すと配信の除外もできなくなるということです。フリークエンシーの制御も難しくなります。IDFAを使わずにフリークエンシー制御をする方法も幾つかありますが、精度は落ちますし、ユーザーを識別する技術なので今後規制されていく可能性は高いです。
リタゲをウザいと感じる方は多いですが、一方でターゲティングができなくなると自分とは関係ない広告が溢れ、かつ同じ広告を何度も何度も見せられることになり、さらに広告がウザいものと受け取られる可能性があります。
これがプラスとなるかマイナスとなるかは、正直わかりません。。

告知

今日6/25の22時から、stand.fmでIDFAのオプトイン化周りについてMoonshotの菅原健一さんと語ります!細かい話まだまだ伝えきれてないので気になる方はご視聴ください🥺

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正田 / α, inc
スマホアプリマーケティングの会社を経営してます。