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ゲームの楽しさよりも知識を得る楽しさ

知識欲を満たす喜びとゲームをする喜びの違い

皆さんは、知識欲を満たす喜びを知っているだろうか。
知識欲を満たすことによって、「楽しさ」が副産物としてついてくる。
知識欲を満たすことは楽しいのだ。

私は子供の頃、『まんが道』という漫画が好きだった。
藤子不二雄が描いた漫画で、藤子不二雄という漫画家が誕生するまでの実話を元に、登場人物から出版社に至るまで実名で登場している。漫画家を目指す者にとってはバイブル的存在となった、藤子不二雄の代表的作品の一つである。
私はこの漫画を、文字通り擦り切れるまで読んだ。
戦後の漫画創世記と言われる時代の貴重な記録ともなっており、戦後を知らない私にも、どのような時代だったのかを手に取るように知ることができた。
中でも、主人公が夜寝る前に、あんぱんをかじりながら雑誌を読むことが楽しみだったと言う描写に、なぜだか理由もわからず魅了された。
好きだった本の内容というのは、私にとっては貴重な記憶となって残っている。漫画を読むことが苦手だった私にとって唯一、夢中になって読めたこの漫画は、出版社や作家というものに興味が注がれることになったきっかけとなったのは間違いない。そういった興味を持ったから読めたのかもしれない。

私は『まんが道』で得た読書経験が土台となり、ごく自然に出版社へ強い憧れを抱いていった。
漫画を読むことが苦手だった私は、この『まんが道』という作品が強烈に心に残っている。そのため、この作品の中で描かれていたことを、改めて考える事も多かった。
主人公が布団の中で、雑誌を「ムフフ」と言いながら読んでいたシーンを思い出し、当時は「雑誌を読むことがなぜそんなにも楽しいのかな?」と理由がわからなかったが、何度も擦り切れるまで読んだため、今になってみると、私の心の底に僅かに残っていた記憶を手繰り寄せることができる。
主人公が読んでいた雑誌というのは、当時貴重な海外の雑誌だった。戦後という状況の中、憧れでもあり、なかなか手に入らない海外の雑誌は、「ムフフ」に値するものだったろうと思われる。

日本は敗戦国となり、GHQによって国内の整備が行われた。その中でも、“検閲”は厳しかったといわれている。検閲というのは、思想や内容、表現を公な機関が強制的に取り調べることである。
こうした状況の中で、国民は“読みたいものを読む”ことが許されなかったという背景がある。
そんな中で、一筋の光となった“楽しみ”が検閲を逃れた海外の雑誌だったのだ。

楽しみが少ない中、一つの楽しみを原動力として、日々を頑張って生き抜く姿は、今にも通ずるところがある。
電車で通勤していると、60歳前後のサラリーマンがスマホでゲームをしている。脇目もふらず。ただ、画面だけを見つめる。一心不乱にゲームに夢中になっている。
そんな姿を見た時、戦後の若者ならどのように思うだろうか、などということを考えたりする。
「私たちは、こんな日本にするために、命をかけて戦ったのではない!」
と言って怒り出すかもしれない。
しかし、よく考えてみたら、やっていることは違えども、本質は同じであるように見える。

戦後という、激動の時代を生き抜いたからこそ、見える景色もあっただろうと思うが、現代だから見える景色もあるはずだと思うのだ。
“たった一つの楽しみを持つ”ことによって、どんな環境でも頑張ることができるのなら、そのたった一つの楽しみをより楽しくしていきたいと願うのではないだろうか。

こうした理解を深めたのは戦後の事を自分なりに調べたからだ。戦後のことを調べたのも、嫌々ではなく、『まんが道』という切り口を元に、自分で楽しみながら調べた。ここで言う「楽しく調べた」ことと、「雑誌やゲームの楽しさ」の違いは自分自身の成長を見ることが出来るか否かである。

「楽しい」ということを、雑誌やゲームのようなものとして捉えている人が多くいる。
しかし「楽しい」というのは、知識を得ることによってこそ、本当の「楽しさ」を得ることができるのだ。

それが、「ムフフ」と言って雑誌をながめていた『まんが道』の主人公だ。
彼は雑誌によって、知識を高め、自分自身に新しい体験を取り入れることで、自分の成長を感じていたのだ。

知識を得ていくことによって養われる、「楽しさ」というのは、自分の成長を喜ぶという点で大きな喜びとなる。
雑誌やゲームでも自分が成長することはできる。
しかし、「楽しい」だけでは成長できない。
海外の雑誌をながめ、想像を膨らませ、異文化を学び、知識を高めていく意識が必要なのだ。
知識欲をみたす作業は、自己成長が軸であり、結果的に「楽しさ」が副産物としてついてくるものなのである。

『まんが道』で編集社に興味を持った私は現在、ライティングを学んでいる。楽しい文章で伝えることにより、「楽しさ」を感じてもらい、結果として知識を得ることの楽しさを多くの人に抱いてほしい。
読者の皆さんが、大きく成長できる記事が書きたいと思っている。

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