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子供たちから学ぶことはスキルなんて超越する

手っ取り早く稼ぐことは未来にながらない

スキルを手に入れて、苦しい生活から脱却したい。
このように考えて、スキルを手に入れた人は多いのかも知れない。
私もそうだった。
ただ、将来の不安であったり、経済的な苦しさから逃れたくて、スキルを手に入れようとした。
とにかく、生活が苦しい。
下手をしたら、ライフラインさえも止められてしまうような生活をしていて、余裕など持てようはずもない。
すると、とにかくこの地獄のような日々から抜けたい。
その思い一心だった。

早く稼ぐためには、早くスキルを手に入れなければならない。
自分の現状では、今の生活が精一杯なのだ。
これ以上を見込もうと思うのなら、今よりも自分のレベルをあげる必要がある。
しかし、私も最早若くはない。今の現状から大幅にアップすることは考えにくい。
そう考えると、“最短3ヶ月で習得”できるようなスキルはかなり有効な手段であるように思えてくる。ましてや、大金を注ぎ込めば注ぎ込むほどに、効果が上がってくるように感じるのは、人間の心理のなせる技だろうか。

その結果、短時間にも関わらず、大金を注ぎ込むような講座に申し込んでしまう。
短時間であることは、メリットであるように感じるが、それはデメリットでもある。
短時間で学べることが、この後、膨大な量の学びを産むと考える方が不自然だ。
「すぐに使えるものは、すぐに役に立たなくなる」
これは伊集院静さんの言葉だが、真理である。すぐに役に立たなくなる。
すぐに役に立たなくなるものに、私たちは大金を注ぎ込んでしまう。
それが、さも、当たり前のように受け取られる。

私にとっての大金と、それを生業としているような、大金を受け取ることが仕事の人では、“大金という価値”が違う。
彼らにとっては、“当然の対価”であっても、払う方は“清水の舞台から飛び降りる感覚”になるのだ。まさに死ぬ思いである。

それによって生まれるのは、「大金を払ったのにほとんど身にならなかった悲しみ」と、「大金を払ってしまった自分のバカさ加減」に対して自暴自棄になる。
「それは努力が足りないだけ」
大金をもらって、講座を開いた方はそのように宣う。
しかし、そうだろうか。
清水の舞台から飛び降りる覚悟で大金を払った人間が、「払ったら終わり」「努力なんてしない」という気持ちのはずがない。
必死で食らいつき、必死で現状から抜け出したいと思っている。
それなのに、抜け出すどころか、現状より悪化してしまう。
これは、本当に『致し方のないこと』なのだろうか。

そもそも根本的に、最初の出だしから考えてみよう。
「貧乏から抜け出したい」
という気持ちで、お金儲けを企てる。
このこと自体から見えるのは、【自分】と【お金】である。
それ以外は、そこに存在しない。
これでは、成功などするはずがない、と私は思う。
「人の役に立ちたい」
「社会を良くしていきたい」
そのように考えることが重要である。

「社会を良くしたい」と考えるためには、日本や世界の、これからの未来を考える必要がある。
おそらく私には、その点が欠けていた。
その理由は、私には子供がいなかったからだ。将来のことなど、考える必要もない。
自分さえ良ければいいし、自分が死んだら世界もなくなる。
だから、将来を考えることができなかった。
私にとって未来というのは、自分が生きている時間上の未来だった。
自分が死んだ後のことなど、考える必要がなかったのだ。
これが、『生態系に参加していない人間の考えの浅はかさ』だと思っている。
『生態系』というのは、地球上の生き物のすべてに課せられた使命である。
自分の子孫を反映させて、自分の生態系を維持することが目的だ。
このような『生態系』に参加しないということは、生きていること自体の意味がわからなくなることとイコールである。

自分の子供たちや、未来の子どもたちに向けて、明る未来つくりを積極的に行うこと自体が、本来の未来を形成することになるのだ。

私は、依然として自分の子供がいない。
しかし『放課後等デイサービス』で働くことによって、そうした自分の欠陥に気がつくことができた。
私にとって、何が欠けていたのかを、気づくきっかけをいただけた。
それによって、心から『人の役に立ちたい』と思うことができるようになった。
子供なんて嫌いだった。
うるさいし、汚いし、臭いからだ。
それでも、子供に携わることになった。
すると、携わることによって情が湧き、自分の子供時代を思い出した。
自分が子供の頃、十分に愛情をもらっていなかったことによって、自分が経験した寂しさを、情が湧いてしまった子供たちにはさせたくないという思いが、湧き起こってきたのだ。自然と、子供が愛おしく、麗しいものになった。

子供は汚くて、臭くて、うるさいものだ。
しかし、未来を担う彼ら、彼女らの未来を守りたい。
心から、そう思うようになっていた。

経済的に苦しくても、できることはあるはずだ。
そう、考えるようになった。
こんな私にしてくれたのは、汚くて臭くてうるさい彼らだった。

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