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姉たちの喧嘩に巻き込まれている結婚式の話 【靴の底 #27】

結婚式が迫ってくる。
鎌倉への引っ越し、保護猫の預かりボランティア、妊活、そして結婚式。
鎌倉に引っ越してきてから目まぐるしく過ごしていたが、とうとう結婚式の準備に本腰をいれる時が来てしまった。

そもそも鎌倉という土地に興味を抱いたのも結婚式を挙げる目的だったりして、今年の私達のビッグイベントだ。
だが、義理家族の要望ですることになった式だけあって、私達の腰はピクリとも動かない。

毎月あるプランナーさんとの打ち合わせのために、準備を進めるが険悪な雰囲気が漂っている。

まずはじめに旦那の姉たちの喧嘩に巻き込まれた。

事の始まりは新年のお雑煮。
「お姉ちゃん、わたしのお雑煮は?」
「あんたんはないよ。みんな食べたさ」
お雑煮をみんなに食べられたことにより、三女がブチギレた。
そこからストライキが始まり、結婚式にも出ないと言ってきたのだ。

「あの子は雑煮ごときで、音信不通ってなに!?」
「そもそも、あんたがあの子の分のお雑煮食べるのが悪いんよ!」
「はぁ?私のせいなん!?」

長女と次女もこれに合わせてお雑煮事件の罪を擦り付けはじめ、式に参列するかもあやふやになり、親族が出ないのはおかしいや三女はどうしてる?まさか死んでる!?と義理家族は結婚式どころではなくなってしまった。

なんでお雑煮で喧嘩してんだよッ!!!!
もちろんブチギレるのは私だ。理由のわからない義理姉たちの喧嘩に巻き込まれ、結婚式の準備は左右に揺れながら船出をするしかなかった。
義理姉たちと私に挟まれて旦那も疲れ果て、私は「もう結婚式やめる!!!」と何度も大泣きする羽目になった。

ウエディングドレスの試着も前日の夜に泣きわめいたせいで、最悪なコンディションで挑むことになり、散々な日だった。

義理姉たちのワガママ発言を聞くたびに旦那にブチギレ、「結婚式なんてイヤだー!!!」と叫びながら、大波の海に船出していく私達。

そんな航海の日々に結婚式が目の前に迫ってきた。

代々徳島で農家をしている母方の家。徳島でゆずの生産をし、石鹸などの商品を販売をしている松山油脂会社に連絡したところ、ご厚意で商品ギフトを作っていただき、引き出物として出すことができることになった。

ウエディングケーキと引出菓子も馴染のフランス料理屋がご厚意で対応してくださることになり、しかもケーキは2つの作成してくださることに。

鎌倉の銘菓にも連絡したところ、快く商品を用意してくださったり、関わる人達から「おめでとうございます!」の言葉とともに、ご協力いただいている。

荒波をくぐるたびに、優しい誰かが船から落ちないように手を差し伸べてくれる。

上映動画の作成もはじめた。
小田和正ってやっぱすごい・・・。
小田和正の「たしかなこと」を流して、小さい頃の写真を載せれば、おかしいな・・・涙が流れてくる・・・。

あんなに「結婚式なんて本当はしたくなかったんだよ!!!!」と泣き叫んでいた自分が嘘のように、腹が決まり、準備を進めていくとゲストに楽しんでもらえるような時間にしようとがんばっている自分がいる。

「やっぱ、お色直ししようや」
直前になって、旦那が私のお色直しの提案もしてきた。
一着だけのはずだったのに、「きみのドレス姿はこれで最後かもしれんから、やっぱりもう一着着よう」と言ってくれたのだ。
お金のこともよぎるが、彼からの言葉が嬉しくてたまらない。

それと大きな出来事もあった。

「やっぱ・・・私も結婚式行く・・・」

お雑煮でへそを曲げていた三女から連絡が来たのだ。
正直、爆笑してしまったのだが、来てくれるならうれしい。

猛暑が続く鎌倉。
海の匂いが洗濯物からもするようになった。

さぁ、私達の結婚式。もうすぐだ。


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