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体験談を語るということ。ママになった私が10年目の東日本大震災を振り返る

東日本大震災から今日で10年。

節目でもある今年はいろんなメディアが東日本大震災をとりあげています。普段は全く報道されないことも増えてきた東日本大震災。一定の時期だけ取り上げることに難色を示す人もいるでしょう。現在、微力ながらメディアというものに携わっている身としては、メディアがやっていることは真っ当な手法で、賛否はあれどそれを否定することはできません。風化させないこともまた大切だと思います。

今年で10年目というとで、いろんな方がインタビューに答えてくださり、そのインタビュー記事をたくさん読みました。

自分も体験記事を書いたので、体験したことを言語化し、他人に伝える作業は、人が思っているよりも困難で苦痛な場合があるということは理解しているつもりです。ましてや東日本大震災のような大きな出来事と向き合う作業は想像以上。それでも伝えなければ。とインタビューに答えてくださった方々の想いを考えると、読むたびに毎回涙してしまいます。
そしてインタビューを受ける側も相当な覚悟がなければその話を聞くことはできません。

大災害なのにどこか他人事だった

私は東日本大震災とは全く関係ない地域に住んでいます。東北に家族や親戚はいませんし、関東ではないので、帰宅難民や、計画停電は経験していません。
ただただテレビやネットで流れてくる情報を眺めては、心が痛む。何かできることはないかと募金に協力したり、融資の支援物資に協力しました。

今思えば、どこか他人事だったと思います。震災後の風景を見ておきたいと思いましたが「行ったら迷惑になる」と東北に行くことは避けていました。冷やかしで行くのは迷惑だと報道で見ると、ますます行きづらいと感じ、時間が経った今でも旅行先が東北になることはなかったです。

たくさんの映像やインタビューを見ても、自分の目で見ていない景色は自分事のように感じることができませんでした。

子どもを産んで感じる、防災への意識

東日本大震災からの5年後、出産し男の子のママに。出産前の5年間と産後の5年間では、子供を産んだことで災害に対する捉え方が変わりました。

乳児は食べられるもの、飲めるのもが限られています。今何が起きても大丈夫なように、ミルクやオムツなど常に準備し、備蓄に対して真剣に考えていました。それらがなくなれば、我が子の生死に関わるからです。
ただ、それは大人と同じものが食べられない2歳くらいまで。大人と同じものが食べられるようになると、備蓄も適当になってしまいました。今、インタビュー記事を読むと備蓄がいかに大切か伝わり、改めて考え直そうと思っています。

子供を守る。ママの強い気持ち

子どもがいない時は「自分の身を守ればいいだけ」で、周りへの防災への意識低く、あまり深く考えていませんでした。自分メインの考え方だったと思います。

子供が生まれると「私が守らなければ死んでしまう存在がいる」というのを毎日意識しながら暮らすことなります。子どものことが第一優先。もし地震が起きたら。もし津波がきたら。自分は子どもを守ることができるのであろうか。自宅や保育園のハザードマップを確認する機会も増えました。

平常時でも「事故に合わないか」「怪我をしないか」毎日心配ばかりしいるのに、あの非常時の中で子どもを守ったママたちが大勢いることをインタビュー記事でたくさん読みました。自分も同じようにできるのか。でも、やるしかなかった想いがインタビューからは伝わりました。

当時を振り返り体験を話すということ

不安で泣く子どもを自分も不安な気持ちのまま「大丈夫だよ」と声をかけ続けたママ。

子どもの安否がわからないまま探しに行くことすらできなかったったパパ。

きっとひとりひとりに物語があって、それは人に言えない人もたくさんいるだろうと思います。

そっとしておくのが本来の姿なのかもしれない。語りたい人だけ語ることが正解なのかもしれません。思い返すことで消化できる人もいれば、静かに暮らすことで落ち着いて生活できると人もいるでしょう。

特に大川小のようにたくさんのメディアで取り上げられた関係者は、メディア嫌いになってしまった人もいると聞きます。

子どもを亡くしたご両親の気持ちは計り知れないし、家族をなくした子どもの気持ちは考えただけで押しつぶされそうになります。子どもを産んだ今だからこそ、なおそれを感じます。辛いなか話をしてくださってる方の思いに答えるのは、ひとりひとりが防災への意識を高めること。それに尽きると思います。私達はそれを感じなければいけません。

自分の目で見る景色。子どもと東北に行きたい

子どもを産んで私は人生観が変わりました。産む前と産んだ後では見ている景色が全く違います。たくさんのインタビューを読んでも、産む前と産んだ後では命の尊さの感じ方が違って、日々の暮らしが平和であることに感謝する気持ちで溢れます。

コロナ禍で旅行に行くのは難しいですが、もし行けるとしたら子どもと一緒に東北に行ってみたいと思っています。
震災直後に東北に行きたい。と思っていた想いと、今東北に行きたい気持ちは根本的に違います。
あの時は東北に行くのを躊躇しましたが、今は、東北に行ったらメディアで見たどのインタビュー記事よりも、鮮明な景色を子どもと一緒にこの目で見てみたい。その時感じたことを体験談として書いてみたい。そう思っています。

東日本大震災の犠牲になったすべての皆様へ黙祷を捧げたいと思います。


読んでいただきありがとうございました。

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