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捨てる神があれば、拾う神あり

「生きる覚悟を決めた夏合宿」
八月には毎年、伝統の夏期合宿を、20年間続けてきました。
 さすがに今年は、この病気とコロナ過という状況で開催は不可能 だと思っていましたが、自分は敢えて決行すると決めました。
 もしかすると、弟子たちに何かを伝えるのは、これが最後になるかも知れない、であるならば覚悟を決めてできることだけでも、行いたい。
弟子のみんなは、自分の覚悟を感じ取り参加を希望してくれました。
 二泊三日の強化合宿、健康な人でも音をあげる地獄の稽古を 次々とこなしていきました。
 天候に恵まれず九十九里の外房海岸が嵐が吹き付けていた「お前はこの試練を乗り越えられるのか」と言われている気がして、ずぶ濡れのなかで、海岸を走り基本稽古や海に向かって突き進む移動稽古を、体力の続く限り行いました。
 二日目には人気格闘イベントRIZINで活躍しているシビサイ頌真さんが共に参加をしてくださり、何時間も続く体育館の稽古を共に鍛錬してくださいました。

RIZINで勝利するシビサイ頌真選手
死を覚悟した夏合宿


 最終日には故大山倍達総裁が山籠もりを決行された清澄山、清澄寺に登山を行い、山の上で稽古を行いました。
 清澄寺の山門近くに樹齢800年と言われる千年杉が植わっています、参加者は全員その大杉を触らせていただき、大木の「氣」を感じる修行を行います、5分も手の平で、ふれているとこの木が人よりも永い年月を生き抜いてきたことを感じる。
 「清澄の千年杉様、自分は千年なんていう寿命は要りません、せめて、せめて後十年は活かしておいてください」と念じた。
 心が澄んで行くのが感じられた、自然は人にはない力をもっているのでしょう。
 人にあって、自然にはないもの、恐れ、不安、空虚、虚像や疑い、それらの毒が身体から流れ出すような気持ちになれました。
最後の修行は「地獄の階段登り」
 寺の後方にある日蓮像までの階段は108段、人の煩悩は108個あると言われ、その煩悩を踏みしめてこの階段を上る、それも百往復、都合一万段の階段登りである。
目眩とふらつき、微熱をかかえながらもこの、荒行に挑戦した。
階段を一歩一歩踏みつけながら考えた。
人の煩悩は108もある、癌になるのは生活習慣です。
酒は余り飲みませんが、コーラが大好きで、若い時は、毎日2リットルは飲んでいました、強靱な身体を作るために一回2000から3000カロリーの食事、都合一万カロリーの消費、それも一度では食べられないので、一日8食、プロティンやサプリメントを大量摂取、睡眠時間は一日三時間、毎日都合何トンにもなるダンベルを何万 回挙げてきたか、最悪の生活習慣を三十年以上続けてきました。
これで病気にならないはずがありません。
 病の原因は自らの煩悩、食欲、性欲、自己顕示欲、物欲から金銭欲に到るまで、すべて煩悩のなせる技でありました。
階段を踏みつけながら、ふっと感じました。
「いま、自分のなかの癌が微笑んだ」
そうか、もうすぐ死にゆく奴を笑っているんだな。
今度は自分の頭に不思議な声が聞こえてきた。
「お前がそんなに生きたいならば、行き続けろよ」
「生きるのも死ぬのもおまえの心次第だ」
とても不思議なことだが、間違いなく、そのように癌が伝えてくれました。
合宿の皆がそれぞれの目標を達成し、頂上の銅像の前に集まりました。
「今から、八百年以上も前の鎌倉時代、世は飢饉、疫癘で多くの人達が亡くなったらしいです、その時代、その民衆の苦しみの先頭に立ち、救済のための祈りを初めて発したのがこの場所だそうです、今はコロナで世界中の人達が苦しみ、亡くなっています、今日ここで修行したみんなは、この先少しでもこの時代を変える主体者になってほしい、自殺したいという友達がいたら、希望の言葉をかけてやろう、元気のない人がいたら、どうすれば、元気を出してくれるか真剣に考えよう、自分たちの力は小さな力だけど、いつかその「愛」という名の「勇気」が時代を変えていくかも知れない、それこそが自分からのみんなに伝える最後の遺言です」
参加した弟子達全員の顔が夕陽を浴びてキラキラと輝いていました。

こんな、駄文を読んでくださり貴方は仏様ですか?