ヴェストワンカップ9th 決勝戦自戦記(後編)
前編はこちら
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https://www.youtube.com/live/4EUSIp_X2mI?si=_Pk7QCpEKQ_VJofq
2回戦終了時のスコアはこちら。
トップの真田さんまで残り3戦で100ポイント差。ここで上の着順を取られるとかなり優勝はきつくなるので勝負の3半荘目。
3半荘目
もうトップを取らせてはいけない真田さんが5200、7700とあがってトップ目に。ピンチの中で入ったドラドラのこの手牌。78pがあるのでタンヤオよりは、ドラと4mのシャンポンを最終形に描いて7s切り。北は6mにくっついたときに落とせばよいかなと言う感じ。3s、9pと引いてイメージ通りの最終形に。山には北1枚だけでしたが、運よくツモれて2000ー4000。真田さんに親被りさせられたのはデカい。
次局、1枚目の白はスルーして、ツモ6p。この瞬間2枚目が打たれても鳴かないつもりでした。ドラ1あるのでリーヅモで満貫を目指します。
ここで選択。8s引いてたら4pを切るつもりでしたが、789が崩れたので、見た目枚数と自分目線で4pが3枚見えということで9p切り。
次巡親リーチが入るも、自分も聴牌。
上家4p→2pの切り順で3pなさそう、下家はマンズのホンイツということでカン3pでリーチ。僥倖の一発ツモで2000ー4000。2連続の満貫ツモで真田さんをまくることに成功。
親番で加点したものの、自分と下石さんの2件リーチの中、真田さんが満貫をあがって肉薄されます。この親番で加点されたらヤバイ、というところで真田さんが2副露
自身は役牌ポンしてカン3s聴牌。引いてきたドラをツモ切ると親がそれをポンして打1p。あがられたらさすがに決定打になってしまう3副露。自分の待ちは親に対して通りそうで自分に対して危なそうなカン3sなので、かなり両脇からの差し込みに期待できます(実際松本さんは6sを切って差しにきてる)。なので、そんなに簡単には降りられない手牌なんですが、そこにもってくる4p。ポン出しが1pなので、2pや3pが雀頭のケースかカン4pが読み筋に入ります。あとは聴牌からの待ち変え。聴牌からの待ち変えの場合は
13345p66m
13456p66m
13444p66m
あたりで、ポン出しの2つ隣が危険筋になります。
2pか3pが雀頭のケースとしては、7mを切ってドラを対子固定しているので
・シャンポン待ちの場合は、122p667mXXからドラを対子固定していることになるため、それはあまりなさそう→1pの方で対子固定しそう。
・両面待ちの場合、ソーズは不自然な両面固定が入ってないとならなくて、マンズはもう手の内にブロックがなさそう
ということでピンズ待ちにはなってそうだなーとなりました。リャンカンの場合の待ち取りは、聴牌確定の自分に対して5pが危険で1pは現物なので、まずカン4p待ちに取ります。ということで、さすがにこの4pで撤退。すぐ4pにくっつけなおして聴牌を取り直すも、最終手番で8pを持ってきたので一応オリて流局。真田さんがツモったら終わりの3副露してから流局までの数巡の時間がめちゃくちゃ長く感じた。
オーラスも真田さんに逆転の手牌が入るもギリギリ逃げ切ってトップ。なんとか望みを繋ぎました。
4半荘目
残り2回戦で80ポイント差なので、1つでも真田さんの着順より上に行ければ最終半荘を現実的な条件で迎えられます。逆に言うと、着順を上回られたらほぼ終わりという状況。最高位戦ルールはウマが10-30なので、1着順に2万点差がつきます。そのため、トータルポイントの差が△20ポイント~+20ポイントの間は結局着順が上の方が勝ちといういわゆる「着順勝負」となるため、トップラスを決めた後にさらに大きな素点差をつけるとかはそこまで意味がない状況です。
この日、一番内容が悪かったのが4半荘目なのですが、この半荘のテーマの定め方に問題がありました。というのも、真田さんとのポイント差の方ばかりに気がいっていて、まだ現実的な条件を残している松本さんとのポイント差を意識していなかったのですよね。その結果、真田さんより上に行くことだけを意識しすぎて「松本さんより上に行って、最終戦に厳しい条件を突き付ける」という意識が薄かったのがこの半荘のミスの根底にありました。
自分的この日の大ミスが2つあるのですが、そのうちの一つ。
7mを切って即リーチをしてしまったのですが、1mを切ってタンピンを目指すのが正着です。上家の真田さんが仕掛けていて、「あがらせたらまずい!」と焦ってしまいました。これは反省。
次局、対面のリーチを受けているところでリーのみカン2pを聴牌。画面には映っていないですが、親の真田さんがリーチ後に上家から2つ鳴いてあがりに向かっています。松本さんに放銃になっても良いから2人がかりで親を止めたいということでカン2pで追いかけリーチを選択しました。リーチに対しては13pはセットで落とせそうなので難しいですが、迷ったら前向きな方を選択。
親番で加点できて、自分トップ目、真田さんラス目という並びが完成しました。ここで待ち取りの選択。普段ならシャンポンでリーチをするんですが、下石さんと松本さんが8sを切っていて、そこからリーチが入ったときに真田さんから直撃できるかもしれないのでカン8s待ちにしました。これは合ってるか不明。
その後下石さんと松本さんに仕掛けが入ったタイミングで5sを持ってきて、リーチが入ることがなくなったのでツモ切りリーチしました。仕掛けもケアして真田さんから8s選ばれないかなーと淡い期待をしましたが、流局。
この日の大ミスその2。
普段なら上家のカン2sをチーしてドラ切るんですが、真田さんが着浮上しづらいように下石さんにもう少し逃げてもらった方が良いかな、というのと、ドラを真田さんに鳴かれて復活されるのを嫌ってスルーしてしまいました。ただ松本さんが2着目にいて、ここにまくられると松本さんとも最終戦着順勝負になるので、もっとガツガツトップを目指すべきだった。
さきほど書いた「この半荘のテーマ」の定め方が良くなかったです。
ラス前、松本さんからリーチを受けて一発目に聴牌。14sがフリテンなので、聴牌を取るなら3sを切って2sと6pのシャンポン待ちにします。そこで、3sの危険度を考えます。リーチの河は5pから離れて3pが手出しで、宣言牌は7s。イーシャンテン系はくっつきではなくターツ×2のイーシャンテンぽくみえます。3pの手出しを考慮するとピンズの下とソーズの上の組み合わせのことが多そうです。3sは宣言牌7sの裏筋で、445567みたいな複合系だとヒットするんですが、今回は6sが3枚見えなのでそれもちょっと薄そう。ということで、結構通りそうな3sなので普段のリーグ戦なら多分3sをダマプッシュするんですが、トータルスコア的に放銃が最悪すぎるので中筋の6p切りとしました。これは今でもよくわからん。
松本さんにまくられた次局、Twitterにも書いたこの局面がむずかった。真田さんからリーチが入っていて、あがらせたくない。とっても。
要素としては、
・真田さんに満貫級を放銃して自分が着落ち、真田さん着アップとなるとほぼ終戦
・対真田さんとは現状2着ー4着なので、このまま行けば素点差込みで20ポイントちょっとくらいの差になって、最終戦ほぼ着順勝負。トップになっても並びで着順勝負になるので、対真田さんだけ見ると1着でも2着でもあんま変わらない。
・対松本さんはトップになると最終戦60ポイント差くらいになってかなり有利。
・現状真田さんと下石さんの点数差がそこまでないので、直撃して真田さんのラス率を落とせるのも結構偉い。
という感じで、リーチはかわしたいのでまだ押すつもりでしたが、終盤に持ってきた危険牌は止めたいのでダマテンを選択。
結局、この後親の松本さんからも追いかけリーチが入り、ダマテン続行するかツモ切り追っかけするかという選択も迫られるのですが、ダマ続行。
松本さんからあがって微差トップ目でオーラスを迎えます。あがりトップのテンパイを組むも、松本さんにまくられて2着。
5半荘目
最終戦は真田さんと松本さんの二人と着順勝負、松本さん目線は真田さんと約40ポイント差なので、2着順もしくは1着順と素点20000点差が優勝条件となります。
東4局、松本さんが少し抜けた展開で、さらにリーチが入ります。自分の手牌はドラなしの良くて平和がつく程度の手牌なので普段はオリの一手。ただ、優勝しか意味がないこの局面で、着順勝負の相手にここでもう1回あがられるときつくなるので、気合を入れてまっすぐ4pプッシュ。解説のお二人もこれにはびっくり。ワイかてこんな手から両無筋押したくないて。
2sを引いて聴牌。場に1枚切れのちょっと場況良さそう程度のカン8mですが、聴牌外しよりもこれがアガリ率最大と見て追いかけリーチとしました。
結果、そこに3件目で追いついた親の真田さんにリーチダブ東ドラの満貫を放銃となってしまい、この局が真田さんの優勝を決定づけるアガリとなりました。ただこれは今見ても同じにしてしまいそう。「たられば」を言うと、4半荘目にもっと松本さんとの差を意識してトップを取りにいく選択をしていたら、こういうリスクを取る選択にならなかったかもしれないので、敗着をあげるなら4半荘目だったと思います。
自分の条件はかなりきつくなってしまい、松本さんと真田さんの一騎打ちの構図となりました。ただ、まだ自分は親番が残ってるので普通にあがりに向かいます。
南1でこの手牌。中をポンしていて、ドラの両面ターツを払い終わった後、8sを切って満貫聴牌。
そこに対して、真田さんがリャンシャンテンながら6sをプッシュ!結果、タンヤオで仕掛けて自力でライバルの親を落としました。
これはマジで痺れた。現状のライバルは松本さんなので、自分にあがられても最悪ではないけど、放銃は痛いという中で、勝負を先延ばしにせず、もらったチャンス手でしっかりとあがり切る。タイトル戦で優勝する人はこういう局面で腹を括ってしっかりと押せる人なんだろうなーと思います。本当に素晴らしいあがりだった。かっこよかったなー。
そんなこんなで、初のタイトル戦決勝は3位という結果になりました。
最後のインタビューでもしゃべりましたが、本当に楽しい5半荘でした。
決勝に残ったメンツを見て、「なんでこんな強い人が揃ってんねん!」と最初は思いましたが、よく考えてみたら自分は強い人たちとこういう舞台で麻雀が打ちたくてプロになったんだったわ、と思い出しました。目がなくなった最終局を見守りながら、「なんか男版のシンデレラみたいだなー」なんて思いました。普段は賑やかなカフェの端っこで天鳳を打って一喜一憂したり、雀荘でみんながワイワイ楽しそうに麻雀してる中、難しい顔をしながらスマホと睨めっこして検討したりしているような陰の人間が、こんなにスポットライトを浴びせてもらって、いろんな方に応援してもらいながら麻雀を打てるとかね。魔法は解けたので、またいつもの陰の生活に戻ります。ただ、舞踏会の会場への行き方は分かったぞ。次はGoogleマップなしでも行けます。
「良い経験ができましたー」ではあるんですが、ただ、やるからにはもちろん目指すのは優勝なので、次のチャンスが来ることを信じて、麻雀の勉強を続けます。続けている限りは可能性はゼロにはならないので。もし何かで勝てたとき「あの時の敗戦があったから優勝できました」と言える日が来ると良いなー。
いっぱい応援コメントもらえて嬉しかったです。応援したいな、と思ってもらえるような麻雀プロになるために、これからも精進します!
最後にベスト16終わりに撮ったおまけの写真を貼っておしまいにします。
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