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secret base世代、10年後の8月まだ来てない説 【アドベントエッセイ(223/365)】

早いものでクリスマスまであと142日を切った。


どこよりも早いアドベント企画、223日目は「10年後の8月」の話。


先日、友人と久しぶりのカラオケに行った折、「夏の歌」を選ぶ流れになった。


友人は、ZONEの「secret base〜君がくれたもの〜」を入れた。「君と夏の終わり 将来の夢〜♪」のアレである。



この曲のリリースは2001年。今、20代後半がドンピシャの世代で、近い世代の人とカラオケに行くと未だに高確率でこの歌が入る。


「おっ、いいねぇ」

「夏だねぇ」

「懐かしいなぁ」



などなど湧きながら、いつものように若いZONEと、2人の少年による夏の別れを描いたエモいPVが流れた。



君と夏の終わり
将来的の夢
大きな希望忘れない
10年後の8月また会えるのを信じて



私もいつものように「名曲だなぁ」と思いながら、ふんふん聴いていたが、2番目のサビを超えたところで、ふと気づいてしまった。



そういやこの夏、いつ終わるんだ?




2001年。私はこの曲を聞きながら「いつかこんな感じで、友達と切ない別れをする時が来るのかなぁ」「10年後の8月、僕は何をやってるんだろう?」と、歌詞に重ねていた。



2020年、この曲を聴くといまだに「いつかこんな感じで、友達と切ない別れをする時が来るのかなぁ」「10年後の8月、僕は何をやってるんだろう?」と思うのだ。あれ、おかしいな。


私はここで、「secret base世代、10年後の8月まだ来てない説」に思い至った。



大袈裟じゃなく、多分100回以上はこの曲をカラオケで聴いてると思う。そして、居合わせた同世代のメンバーはそのたびに

「おっいいねぇ」

「夏だねぇ」

「懐かしいわ」

と言うのだ。私だけじゃなく、この曲をリアルタイムで聴いていた人は皆、「いつまでも終わらない夏の終わりに閉じ込められてる」としか考えられない現象である。



人は青春時代のキラキラした体験や感情をいつまでも覚えている、とはよく言うが、その時流れていた音楽もまた、時を止めるスイッチになり得るのかもしれない。





さて、気づいたは良いが、10年後の8月は結局来た方がいいのか、このまま来なくてもいいのか。






暦の上では「20年後の8月」を来年に控えた私は、まだ答えを出せずにいる。

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