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アドベントエッセイ(95/365) 飴色玉ねぎと、まとまる心

早いものでクリスマスまであと270日を切った。



どこよりも早いアドベント企画、95日目は「料理中の考えごと」の話。


外出自粛ということで、夜一人でバターチキンカレーを作った。


ルーを使わないレシピなので、玉ねぎのみじん切りを大量に炒めることから始める。


私は玉ねぎを炒める時間が好きだ。焦げ付かないようにヘラでかき混ぜ続けなくてはならないから、その間に色んな考えごとをする。


最近のことを振り返ったり、取りとめもないことを考えたり。木ベラがフライパンに擦れるコンコンという静かな音が心地よい。


20分くらい続けると、パラパラだった玉ねぎが、ペースト状にまとまって蜜のような甘い香りが漂ってくる。その頃には、何となく心もスッキリしている。


松任谷由実の「チャイニーズスープ」という曲がある。


”椅子に座って爪を立て

さやえんどうの筋をむく

さやが私の心なら

豆は別れた男たち

みんなこぼれて鍋の底

煮込んでしまえば形もなくなる

もうすぐできあがり”


この、とりとめもなく想像が膨らんでいく感じ、すっごくよく分かる。ユーミンの名曲のいくつかも、こんな何気ない時間から生まれたのかもしれない。


料理中の考えごとは、それ以外の作業ができないから、気が散らない。いつか終わりがやってくるから、深く潜りすぎることもない。


心と向き合うには、ちょうどいい条件が揃っているのだ。

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