シナリオメール施策にチャレンジ!CRMシステムベンダーが実施するBtoBリードナーチャリング【SaaSビジネス経験談 #3】
シナジーマーケティングのプロダクト「Synergy!❐」に関わる様々な職種のメンバーが、自身の経験を元に、ビジネスに役立つ情報をお送りします。 今回は、リードナーチャリングの一貫で取り入れた「シナリオメール」について、その作成手順や実践結果を弊社担当マーケターが公開します。
はじめまして!シナジーマーケティングの萩原と申します。
自社製品のマーケティングを担当しています。
今回は「シナリオメール」に関するお話です。情報の多様化、購買行動の変化に伴い、顧客体験を大事にしたマーケティング活動を意識したり、興味を持っている企業様は多いのではないでしょうか。弊社もその1社です。
弊社が提供するCRMシステム Synergy!にもシナリオメールの機能があります。自分たちもSynergy!を使ってやってみよう!ということで、「シナリオメールやってみた」についてこの記事ではお話したいと思います。
1. なぜ?シナリオメールをやろうと思ったのか
目的は「売上の向上」
ひとことで言うと、さらなる売上を作るために「リードナーチャリングをしよう」と意思決定したことがきっかけでした。
弊社で獲得したリードは大きく「いますぐ客」「そのうち客」に分類されます。「いますぐ客」に対してはインサイドセールスが電話や個別メールによる対応を行い、アポイントを獲得、営業へ送客します。「そのうち客」に対しては定期的にメルマガにてセミナーや事例、ホワイトペーパーなどのお役立ち資料を送ることで弊社の提供サービスへの興味を高めてもらうという関わり方をしています。
この状態でも新規リードからのアポイントおよび案件創出はできるのですが、さらに数を増やそうとした場合、手を付けていないリードリストへのアプローチ強化が必要です。
そこで、2つのリストに着眼しました。
「いますぐ客」としてインサイドセールスが対応したけれども、そのタイミングではご縁がなかったリスト
「そのうち客」としてメルマガを送っているだけのリスト
これらに対してアプローチを強化することで、さらなる売上を作るきっかけになるのではないか?と考えました。
手段としてシナリオメールを取り入れた理由
ではなぜリードナーチャリングの手段として、シナリオメールを採用したのか。すぐには引き上がらない顧客リストに対して、短期決戦のアプローチをしても意味がありません。再度検討をするであろうタイミングまで関係を続け、そのタイミングをキャッチすることが重要です。さすがに数万件あるハウスリストに対して人的フォローによりこれを実現することは不可能なので、メールを使ったリードナーチャリングをすることに決めました。
ちなみに、メールマーケティングの代表的な手法として以下の3点があげられます。
メルマガ(メールマガジン)
ステップメール
シナリオメール
参考までに、この3つの違いを簡単に解説しますね。
シナリオメールについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
シナリオメールは一見ステップメールと似ているようですが、“顧客の行動に応じてシナリオ展開が変わる”という点が1番の違いです。
弊社の課題に対する目的は「いますぐではなかった顧客に対して、その顧客にあった情報提供で検討度合いを引き上げる、かつそのタイミングをキャッチアップすること」でした。そのためには固定のスケジュールで送り続けるステップメールではなく、シナリオメールが最適でした。
シナリオメールをするには専用のシステムも必要です。余談ですが、弊社が提供しているSynergy!にも機能があったことは、進めるきっかけの1つになったのも事実です……!
2. 何を?具体的に実施したシナリオメール施策
いざ、シナリオメールをやろう!となったとしてもすぐには始められませんよね。そこで、私たちが実施したシナリオメール施策の、目標設定・ターゲット/コンテンツ整理・結果について、少しお話したいと思います。
始めに行ったことは目標設定
目的は決まっていたので、ゴールを決めるところから始めました。KGIとKPIの設定です。あくまで「売上を上げる」が目的ですが、目標は自分たちで追えるところにするべき、ということで以下の指標で目標設定しました。
KGI:シナリオメールきっかけでの送客(アポイント獲得)数
KPI:シナリオメールきっかけでの対応リード数
シナリオ作りはターゲットとコンテンツ整理から
具体的なシナリオを考えていくにあたり、まずはターゲットとコンテンツの整理を行いました。「誰に」と「何を」を整理していくと、シナリオは何パターン必要かが見えてきます。大枠が描ければ、カスタマージャーニーマップに沿って、それぞれにあうコンテンツとタイミングを整理していきます。
弊社では作成するシナリオを大きく2つのグループに分けて整理していきました。
CVポイント×利用目的で作る個別シナリオ
対象となるリストにはそれぞれ異なるCVポイントがあります。例えば資料ダウンロード、セミナー参加、ホワイトペーパーのダウンロードなど。また、弊社の場合はサービスを利用する立場も「自社利用」「クライアント様への提案」と大きく2種類に分かれます。まずは、CVポイントと利用目的を掛け合わせて、それぞれの内容にあった個別シナリオを作りました。
シナリオメールを送り続けるだけでは顧客の引き上げのタイミングがわからないため、行動へ誘導するCTAも必要です。資料ダウンロードの場合は30分オンライン相談の申し込みリンク、セミナーの場合は類似テーマの見逃し配信へのリンク、比較サイト経由の場合は比較表のダウンロードリンクなど、個別シナリオごとに内容と頻度を設計します。
ゆるく長くつながるための基本シナリオ
一方、この個別シナリオで反応がなかった顧客については「長期的にゆるくつながっていくこと」に狙いをシフトします。そこで登場するのがこの基本シナリオです。個別シナリオを無反応で送り切った顧客には、自動的に基本シナリオリストへ切り替えます。今すぐにサービスの利用や相談はまだ検討していないけど、マーケティング界隈の情報には興味があるターゲットと捉え、弊社が提供するコンテンツを1・2か月に1回、半年ほど送るシナリオを用意しました。
基本シナリオは名の通り、「ゆるいリストに対する基本となるシナリオ」と定義し、ベースとなるシナリオを先に作ります。弊社の場合は例えば「CRM」「メールマーケティング」「アンケート」などのようにピンポイントのニーズでCVをするケースもあるため、そのテーマに合わせてクリックポイントを差し替えることで基本シナリオを複数パターン作成しました。
メルマガとの差別化ポイントも考えました。メルマガでは比較的「最新情報」が送られることが多いので、新しさにこだわらず、人気のあるコンテンツを案内する方針です。また、徐々に関連テーマの情報に触れてもらう中で、最後のメールが届くまでに再度CVしてほしい……という願いと期待を込めて、最終メールには製品資料のダウンロードをCTAに置きました。
3. どうなった?シナリオメールに取り組んだ結果
結論、KPIとKGIとして定めていた指標を達成する成果がでました。現在も日々改善、PDCAサイクルの真っただ中ですが、ワンサイクル回った時点での成果をご紹介します。
シナリオメールから自動でアポイント獲得
マーケティングをオートメーション、といっても実際最後は人力で引き上げることになるんだろうな……なんて思いも実はあったのですが、なんと、シナリオから自動でアポイントが獲得できました。しかも、1、2件ではありません。多いもので配信リストの10%強、アポイントにつながったものもありました。
パターンとして多かったのは以下の2点です。
1通目においた「アポイント予約URL」経由でのアポイント獲得
1通目から複数のCTAをクリック、3・4通目という個別シナリオの終盤でのメール返信による個別問合せやアポイント予約
メール自体に返信してくださった方もいましたが、アポイント予約用のURL経由の登録が多数ありました。リードを獲得した際はまずインサイドセールスにて架電を行うのですが、その電話が接続しなかった場合に、個別シナリオを送信しています。電話のタイミングが合わなかった人や、電話には出たくなかった人がシナリオの1通目に反応してくれました。また、個別シナリオでは初動対応をしたインサイドセールスの名前を差出人とし、かつ本文にも埋め込んで配信をしていたため、受け手は自動で配信されているメール、と感じづらかった可能性もあります。
初回接触から約9か月後の製品資料ダウンロード
こちらは基本シナリオからの成果です。上述している、最後のメールに期待を込めて……のCTAから意外と製品資料ダウンロードが出ました。配信母数が多いため数値で行くと1%程度ですが、資料ダウンロードは弊社にとってお問い合わせに続いてハードルの高いCTAです。中には当初ホワイトペーパーをダウンロードし、シナリオを読み進めて製品資料ダウンロードまで引き上がったリストもあったため、長期的な引き上げに成功したと言えるでしょう。
▼Synergy!レポート画面ではこのように引き上げ結果が分かります
4. 最後に
今回は弊社が実際に実施をしたシナリオメール施策についてご紹介しました。この記事がご検討いただいている皆さまの参考に少しでもなれば幸いです。
シナリオメールに関わらず、何か新しい施策を始める際にはぜひ実施いただきたいことが1つあります。それは「社内への共有」です。
シナリオメールを実施することを社内で共有すると想像以上に他部署の方が興味を持ってくれました。
お客様に提案するにあたり、事例として詳細を知りたい
前後工程、うちのグループと一緒に考えない?
マーケ部の皆さんって他にはどんなことやってるの?
こういった声掛けをきっかけにディスカッションをすることで、自部署では思いもよらなかった視点の意見が集まってきます。実際、コンテンツのブラッシュアップや運用改善を部署横断で行ったり、自部署だけでは成しえなかった成果を得ることができました。
身近な取り組みの1つから、「社内への共有」を試してみてくださいね。
「シナマケのプロダクト」ではSynergy!にかかわるさまざまな業種の視点で、ビジネス上“役立つ”ノウハウを展開しています。他にも読み応えのある記事が多数ありますので、ぜひ他の記事ものぞいてみてください。
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