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Bootleg

「Bootleg」海賊盤のことです。僕が最初に買った海賊盤はSex Pistolsのライブ盤です。

 これも高校受験浪人時代のことです。まだ洋楽を聴き始めたばかりで知識がまだ乏しかったのですが、Sex Pistolsを聴いてみようと思い、探しに出かけました。

 「Never Mind the Bollocks」が欲しかったのですが、僕が行ったお店にはその時はありませんでした。でもまったくSex PistolsのCDが置いてなかったわけではなかったのです。

 「Indecent Exposure」というタイトルのCDだけが置いてありました。「公然猥褻」というなんともPistolsらしいタイトルのライブ盤でした。

 Recorded Live at the 100club London Sept.24th.1976とありますからデビュー前のライブを収録した海賊盤でした。

 当時は正規の国内盤のCDを新品で買うと3000円が当たり前でした。輸入盤の方がはるかに安く2000円しないものがほとんどだったと思います。このCDは海賊盤だったからなのか1500円くらいだった気がします。値段も高くはないしこれで良いかと思い買って帰ったのでした。

 帰って早速聴いてみました。オーディエンス録りと思われる音源はあんまり聴きやすくなので、まだ耳の肥えていない僕には良さが全くわかりませんでした。「やはりBeatlesの方が良いわ...」そんな落とし所になってしまったのでした。

 今になって聴いてみると貴重な音源ですし、ベースもグレン・マトロックですから演奏も決して悪くありません。デビュー前のPistolsの勢いは十分感じられるライブ盤です。

 高校に入学後に「Never Mind the Bollocks」は聴く機会が訪れたわけなのですが、その頃はGuns N' RosesやMotley Cure等のHRに傾倒している時期で「パンクも格好良いな」ぐらいでした。そうだったのですが、いろいろなミュージシャンが影響されたとして挙げるので、その都度、聴き直してきました。結局は避けて通れませんでした。

 よく「〜前」「〜後」と言う表現でバンドが語られることがあります。日本の音楽だと「YMO前、後」「BOOWY前、後」「Blue Heart前、後」が代表格でしょうか。音楽シーンを変えてしまったミュージシャンの出現をそう表します。

 海外の音楽においては「Elvis Presley前、後」「Beatles前、後」「Bob Dylan前、後」「Jimi Hendrix前、後」そして僕はもう一つは「Sex Pistols前、後」なのではないかと思います。

 ロックギターの音としてスティーブ・ジョーンズの出す音は一つの完成形と言って過言ではないです。荒々しさがありつつも聴きやすいギターの音と思います。そして「Never Mind the Bollocks」は非の打ち所のない名盤です。衝撃を受けた人がたくさんいたことも頷けます。

 あの時、お店に「Never Mind the Bollocks」が置いてあってそれを買って帰っていたら、その後の人生は違ったものになっていたのではではないかと思うのです。

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