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税制改正とは?

はじめに

初めまして。SYNCA合同会計事務所の税理士の細見と申します。
私は2023年に税理士登録を機にSYNCA合同会計事務所に入社いたしました。入社の背景として、SYNCA合同会計事務所が中小企業支援を得意とする専門家(税理士・中小企業診断士)が揃っていることが一番の理由でした。
私は中小企業の成長をサポートし、経済に貢献できる税理士として、SYNCA合同会計事務所での活動を通じて、信頼と実績を築いてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
簡単ではございますが、まず初めに私のプロフィールをご覧ください。

出身:京都府

年齢:20代後半

性別:男

職歴:大手税理士法人3年半(相続税申告業務を経験)→大手税理士法人2年(法人顧問業務を経験)→SYNCA合同会計事務所

得意分野:法人税申告業務、相続税申告業務

趣味:息子と遊ぶこと、野球、ボーリング、ダーツ

本ブログをお読みになっているの皆さまへ、今回は「に関する情報をお届けします!

◆この記事を読んでほしい人

・税制改正に興味がある方
・税制改正の概要、スケジュール、目的を知りたい人
・設備、人的投資を検討されている方

◆この記事を読んでわかること

・税制改正の概要、スケジュール、目的
・令和6年度の税制改正大綱の情報


税制改正の概要

よく耳にする税制改正大綱とは「翌年度以降の税制改正に係る要望や検討事項をまとめた文書」で政府が毎年12月下旬に発表されています!
そんな税制改正大綱が発表され、実際に税制改正が施行されるまでの流れや目的についての概要解説をします。

税制改正のスケジュール

1.税制改正要望の提出(8月)

国民や各組織からの税制改正に対する要望を募り、8月末までにそれをまとめて財務省に提出します。これは、翌年度以降の税制改正に向けた提案のスタートです。

2.与党の税制調査会で議論(11~12月)

提出された要望をもとに、与党内で税制改正の項目について具体的に話し合います。この段階で、具体的な改正方針が決まります。

3.税制改正大綱の閣議決定(12月下旬)

12月中旬に閣僚会議が開かれ、税制改正の大まかな方針が確定します。これに基づいて、国税と地方税の改正法案が財務省と総務省によって作成されます。

4.税制改正法案の提出・審議(1~3月中旬)

提出された法案は、1~3月に国会で審議が行われます。まず、法案が提出された議院で審議が進み、財務金融委員会(衆議院)または財政金融委員会(参議院)又は総務委員会での審議を経て、最終的には本会議で可決されます。その後、もう一方の議院でも同様のプロセスを経て可決されます。

5.税制改正法案の成立(3月下旬)

通常、毎年3月末に税制改正法案が正式に成立します。これにより、新しい税制がスタートします。

6.税制改正関連法の施行(4月以降)

成立した改正法案は、法で定められた日から施行されます。具体的には、4月以降になり、改正内容が実際に適用されます。

税制改正の目的

1.税率の変更

所得税、消費税、法人税など、各種税の税率の引き上げや引き下げが行われることがあります。これは経済状況や財政政策に基づいて決定されることが一般的です。なお、令和6年度税制改正大綱においては、税率の変更はございませんでした。

2.税制の改革

税制のあり方や仕組みを変更することで、税の公平性や効率性を向上させることを目指します。例えば、所得税の控除や免除の見直し、税制の合理化、節税手段の規制などが含まれます。

3.税制の拡充または縮小

特定の分野や産業における税制の変更が行われることがあります。特定の業種や地域に対する税制優遇措置の導入や撤廃が含まれることもあります。

4.税制の簡素化

税制の複雑さを減らし、納税者や企業の負担を軽減するために、申告手続きの簡素化や税制の明確化が行われることがあります。

5.財政政策への適合

政府の財政目標や政策に合わせて、税収の増加や支出の抑制を目指すことがあります。これは国の経済状況や予算に基づいて決定されます。

6.税制改革の促進

法人や個人による節税回避行為や不正な税務行為への対策強化、税務行政の効率化など、税制改革を促進するための措置も含まれることがあります。

令和6年度税制改正大綱の一部をご紹介

1.個人所得課税

  • 所得税・個人住民税の定額減税

令和6年分の所得税と住民税について、定額による特別控除が実施されます。

  • ストックオプション税制に係る要件の緩和

権利行使時に経済的利益が非課税となる税制適格ストックオプションの要件が、緩和されます。

  • 子育て支援に関する政策税制(住宅ローン控除等)

子育て世帯に対する支援策として、住宅ローン控除と住宅リフォーム税制について一定の拡充が行われます。令和6年度のみの暫定措置で、令和7年度以降については、次年度の税制改正にて検討が行われる予定です。

2.資産課税

  • 住宅資金贈与の非課税措置延長

住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置等について、3年間延長されます。

  • 法人版事業承継税制の特例承継計画の提出期限延長

非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予の特例制度(法人版事業承継税制)について、現行では2024年3月末までである特例承継計画の提出期限を、2026年3月末まで延長されます(適用期限は令和9年12月末のままです)。

3.法人課税

  • 賃上促進税制(大企業・中堅企業・中小企業向け)

大企業・中堅企業・中小企業向けの人材促進税制について、一定の見直しが行われます(適用期間:令和6年4月1日~令和9年3月31日)。

  • 特定税額控除不適用規定の見直し

大企業向けの特定税額控除不適用規定について見直しが行われます。

  • 中小企業事業再編投資損失準備金制度の拡充

中小企業事業再編投資損失準備金制度について、現行制度に新制度を追加して、適用を令和9年3月末まで延長されます。

  • 国内投資促進税制(戦略分野国内生産促進税制・イノベーションボックス税制)

戦略分野国内生産促進税制・イノベーションボックス税制が創設されます。

  • 交際費の損金不算入制度の除外措置拡大

損金不算入となる交際費等から除外されるいわゆる5,000円以下飲食費(社外との飲食に限る)の範囲について、金額要件を1人当たり5,000円以下から10,000円以下に引き上げられます。

  • 外形標準課税制度の対象拡大

外形標準課税制度の適用対象法人の範囲について、現行の基準(資本金の額が1億円超の法人)を維持したうえで、範囲が拡大されます。

4.個人的に気になる改正

ストックオプション税制に係る要件の緩和措置では、ストックオプション(株式購入権)を行使した際に税優遇を受けられる権利行使価格の上限を現行の1,200万円から2〜3倍の年2,400〜3,600万円に引き上げられます。これにより、スタートアップなどが人材を確保しやすい環境を整え、成長を税制面から後押しされるものと考えられます。

まとめ

税制改正は、要望の提出から施行まで半年以上の期間を要します。令和6年度の税制改正大綱が発表され、多くの注目すべき改正が予定されていますが、実際の施行は今年の4月以降になるため、改正の詳細や具体的な影響については、政府の発表や税務関連の情報を注視することが重要です。

参考サイト