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売上は「入金されるまで」が大事です!

はじめに

こんにちは!SYNCA合同会計事務所 共同代表の吉井です。
前回は資金繰りについてお伝え致しました。
https://note.com/synca_group/n/na3b51675a813
今回はそれに関連して売上の入金管理についてお伝えできればと思います。


◆この記事を読んでほしい人

・売上が上がっているが、手元の資金がない方
・滞留債権に悩んでいる方
・資金繰りを改善したい方

◆この記事を読んでわかること

・入金管理の重要性
・滞留債権の税務への影響
・入金管理の方法

入金管理の重要性

私はクライアント様に対して「売上は入金されるまでが仕事ですよ」とよくお伝えしております。
せっかく苦労してお客さんを獲得して商品やサービスを提供したのに、肝心の売上が入金されずに窮地に立たされた方を何人もみてきました。

例えば、100万円の売上を上げるために、50万円の商品を仕入れて、10万円の人件費が掛かったとすると、ちゃんと100万円を入金すれば40万円の利益が経ちますが、入金がされないとなると逆に60万円の赤字となります。
これだったらむしろその取引先と取引しない方がよかったという話になりますよね。

また取引を始める際に、商品を引き渡してから代金を入金するまでの回収サイトについても注意しなければなりません。
現預金の残高は月商の3か月分あれば安全と言われていますが、現金商売の取引と比べて、掛け取引(1か月、2か月)は手元の資金に大きく影響してきます。
月商100万円の場合には、回収サイト1か月で100万円、2か月であれば200万円、現金取引に比べて手元キャッシュが少なくなります。

貸し倒れの要件は厳しい

お客様と打ち合わせをしているとこんな会話が繰り広げられることがあります。

税理士「社長、最近売掛金の金額が増加していますね。A社の売掛金1000万円はちゃんと回収されていますか?」
社長「あ~、A社さんね。あそこはルーズなんだよな。あとで電話して確認しておきますね。」
税理士「よろしくお願いします。」

~翌月~

税理士「社長、A社さんの売掛金が相変わらず回収されていないようですがどうなっていますか?」
社長「それがA社に連絡したんだけど社長が忙しいみたいで電話でなかったんですよね。」
税理士「そうですか、回収は大丈夫ですかね?」
社長「今度、A社に行ってみますよ。」

~翌月~

税理士「社長、そろそろ決算が近づいてきましたが、A社さんに行かれましたか?」
社長「先生!聞いてくださいよ!あれから連絡が全くつかず、A社に行ってみたんですが、荷物が全部なくっていまして、、」
税理士「夜逃げですかね、、、。」
社長「そうだと思います!この場合は1000万円は回収できていないので利益から控除できますよね?」

これは架空の話ですが、これと似たような話は何度も聞いたことがあります。
貸し倒れの要件は厳しく、法的に破産をした場合などであれば、もちろん税務上落とすことができますが、今回のように夜逃げの場合には、貸倒損失として計上することが大変難しくなります。
ただでさえ、代金回収がされずに資金的に厳しい状況の中、その分の税金も払わなければならなくなります。

入金管理の方法

上記で見たように、売上は入金までをしっかり管理しないと大きな痛手を負うことになります。
そこで入金管理を適正にするための方法をいくつかご紹介いたします。

①契約書をしっかり整備する

まず大前提として支払条件を明記した契約書をしっかり締結することをお勧めします。
たまに契約書を作成されていないケースが見られます。取引先とうまくいっている時は良いですが、なにかトラブルがあった場合に言った言わなかったとトラブルになるケースが多く、売上回収に無駄な労力を費やしてしまいます。
また、対消費者向けのビジネスの場合、消費者はかなり法的にも守られているため、さらに厳密に契約書を整備する必要があります。
特定の取引によっては、特定商取引上の書類の交付が必要など、これらを整備していないことによりそもそも契約自体が無効だと主張され、むしろ今まで払った分の返還請求をされるリスクもあります。

②催促をする

入金期限までに入金がない場合には、その旨をお伝えして入金を促しましょう。
もし多少遅れても何も言ってこないのであれば「ここはあまりうるさくないから遅れても大丈夫だな」とあなたの会社に対する支払の優先順位がどんどん下がってきてしまいます。
しっかりと督促をすることで「この会社はしっかり管理しているので、次回は遅れちゃだめだな」と思ってもらえます。
適切なタイミングで督促するためには、日々の入金管理が重要となってきます。

③前払金制度を検討する

これは業種によってことなりますが、
受注販売や金額が大きな場合には、代金を全部または一部を前払いで払ってもらうことも有効です。
代金を前払いでいただくことにより資金繰りが楽になることに加えて、途中でサービスの提供が頓挫しても作業した分の回収もれを防ぐことができます。

④集金代行を活用する

これも業種によってですが、毎月コンスタントに売上が発生する場合には、
集金代行をサービスを利用するのもよいでしょう。
口座引き落としなどの集金代行サービスを使うことによって、お客様側からも支払い手間を減らして、
売り手側も回収もれのリスクを減らすことができます。

最後に

いかがでしたでしょうか?
どんなに売上を上げても、最後の回収をしなければ意味がありません。
代金の回収が滞っている場合には、税金分の負担が増すことがあります。
売上を上げることは大事ですが、顧客と取引をするときは、しっかり代金を支払う能力があるか与信判断をして適正な入金管理を行いましょう。