伝統企業のDXを推進してみて

伝統的産業、かつ中小企業でDXを推進してみての今の所の阻害要因の所感と何をやったかを少し書きます。

阻害要因

日々日々DXというかIT化の阻害要因と戦う事が多いです。
主だったものを以下に挙げていきます。

①謎のIT持論

聞いたこともないITへの持論を持っている人が多いです。
例としては、エンジニアは必ず簿記資格が無いといけないとか、データ連携禁止とか。。

キーマンになるような役員陣だった場合、上から否定することはいけないので、とりあえず弱い同意をしてます。

DXでは、上層部のナレッジの量が重要だったりと言われますが、伝統的産業かつ中有小企業ではそんなこと言ってられません。態度変容を促すなんて絶対無理です。戦略とDXを繋げるとかも希望は持てません。
理屈や意義を滔々と説明したり、ではナレッジを蓄えてもらったりなんて確実に無理です。
で、色々と試したのが下です。

①謎理論や要求の延長線上で勝負する
②興味ありそうなケーススタディを持ってくる
③同業での先行事例を持ってくる
④権威っぽい人に話してもらう
⑤とりあえずプロトタイプを見せる

効果が強いのは確実に⑤です。
①--⑤のコンボが最強です。①で顕在ニーズを掴んで、⑤でプロトタイプを見せる。

④は理解してもらえないケースが多いです。
そもそも分かりやすく説明してもらえるのですが、裏にある流れを掴んでもらうのが相当キツイです。(アジャイルなんて無理な話です、アジャイルだったら⑤で実際に見せたりした方がいいです)

②③は効果が低いです。そもそも「出来ている」「それは他社でしょ?」になりがちです。

②とりあえずコード凄い、エンジニア万能説

何でもかんでもコード書けると凄い人のようです。コードにはExcel関数も含まれます。
それが出来れば立派なエンジニアです。
コードが書ければWebマーケも出来るしFaxの故障も全て直せます。
そしてマクロやExcelが管理されず氾濫します。

とりあえず、ことあるごとに自身の業界での分業を例にして話します。また、レベル感も自身の業界に照らし合わせてイメージできるようにします。
丹念にやっているせいか、なんとか理解してもらえているかな、ぐらいにはなりました。
特に上流での作業は、説明が難しいところではありましたが、工数やタスク、成果物含め全部可視化しています。(「そこまでやる必要ないだろ」と言われがちなプロセスですが、しっかり毎回丁寧にプレゼンしているせいか幸いそういうことは言われていないです)
なんか特殊な技術が必要で工数がかかるんだなくらいの認識は得ています。

③属人化?

脱属人化、標準化しなくてはならないことは分かっていますが、どんな状態が属人化かという基準がかなり曖昧です。
マニュアル、プロセスの定義など無しでも、しっかりやっている(感じがすれば)属人化していないという判断です。口伝での引き継ぎ、指導が行われていますが、指導が継続されているため、属人化していない。
まあ、管理職としても、自分の持ち場が「属人化」してるというのは相当な不名誉になってしまうので、基準が甘くなっているのか、そもそも一般的な属人化ってどういう状態かという定義が無いようなものなので、状態を定義できないのか。
こちらも関わる時は、ドキュメント見せつつ、マニュアルも作るなどして、「いけてるな」というアウトプットを見せています。ある程度、あるべき姿が共有できている気がします。
派生系で、失敗がプロセスやシステムではなく、人に起因されます。こればっかりはまだどうしようもできていません。失敗が起きると、人に原因を求めると改善プロセスが回らず相当キツイ。。。

とりあえず、やってみて分かったのは
「動くプロトタイプ」だったり、「それっぽいドキュメント」を積極的に見せていくのが相当強いです。

あと、サッカーマンガ「ブルーロック」で主人公潔が言っていましたが、
「どれだけ他者の心をノックしても人は他人を変えることは出来ない」というのが真理だなと思います。DXについてトップを含め偉い人たちが熱意や知識を持ったり、「とりあえずDXやっといて」を無くすのは無理な気がします。
じゃあ、彼らがやりたいこと、利益になることをITで実現するしかないです。彼らがやりたいことを実現するために彼らが自分をバックアップしてくれるような状態に持っていくためにバックアップを頼んだり権限を要求したりするしかないような気がします。潔が馬狼を利用したように、彼らを変えていくのではなく、偉い人と利用して利用される関係性を作るのが今のところの答えです。



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