見出し画像

無肥料栽培を目指して、農業のど素人がまずやったこと

「わたしらって、環境負荷かけすぎじゃない?」

はじまりは、夫とのそんな会話だった。

我が家は、2歳の娘を含めてみんな大食いである。特に、お米と野菜が大好物。
(食物繊維摂取量が多いので、当然ウンコの量も3人とも多い。私は月に何度かトイレを詰まらせる。節水型トイレでは流れない。)

ほぼすべての人類は我々より少食だし、中にはまったく食べないブレザリアンという哲学的とさえ言える存在もいる。

「わたしらって、人類としてコスパ悪くない?」
夫と私はよくこういう会話をし、なんらかの策を講じられないか真剣に考える。

しかし、だいたいは腹が減ってきて、おやつを食べて「まーいーか。」という流れで終わる。

野菜をつくってみたかった

自分で自分の食べるものをつくれば環境負荷が減るのかといえばよくわからないが、私たち夫婦は自給自足生活にも憧れている。

人類は分業することで文明を築いてきたとはいえ、断食力もサバイバル能力もない我々は、あまりに自分の生命を他に依存している。

水道・電気・ガスなどのインフラ、家を作る技術、服を作る技術、食べ物を作る技術、すべてが欠けている。
職業という仕組みがなかったら、一瞬で死ぬ。

そういうわけで、まずはできることからはじめることにする。
家庭菜園である。

農家という尊い職業のことを調べてみると、暗い気分になることが多い。

重労働のわりに賃金が安く、職業として人気がない。
人口が都市に集中し、地方の農家では高齢化が進んでいる。

そして、環境負荷や健康上の問題についてもいろいろと課題があるらしい。

  • 化成肥料によって、土地がやせていき、さらに肥料なしでは育たない悪循環が生まれる

  • 品種改良で作られたF1種と呼ばれる種は、毎年種を買わないといけない

  • F1種の中でも「雄性不稔」というおしべが機能しないものが広く出回っている

ただでさえ賃金が安い農業を商業的に成り立たせるためには、機械化や野菜成長の効率化が避けられない。

オーガニックや自然農法などが注目されている一方、私たちのような庶民(かつ大食い)にはなかなか毎日買えるものでもない。

私たち消費者が農業をこんなふうにしているのだという自覚はあれ、安い野菜を買うことをやめられない。

家庭菜園は、そんな私たちがなんとなく憧れていたものだった。

無肥料栽培なるものに出会う

そんなある日、インターネットで岡本よりたかさんという人が無肥料栽培なるものを実践し、広めていることを知った。

彼は自然農法の大家である福岡正信さんの『自然農法 わら一本の革命』という本を読んで、無肥料栽培を選んだらしい。(参考リンク
私も図書館で借りて読んでみたけれど、耕さず、肥料も農薬もやらずに米と麦を育てる方法が書かれていた。

私も無農薬、無肥料で育ててみたい。
そして、F1種ではなく固定種と呼ばれる昔ながらの種から育てたい。
むくむくとそんな思いがわいてきて、岡本さんの『無肥料栽培を実現する本』を買って、まだ読んでいる最中だ。

彼の言う無肥料栽培というのは、作物を放置することではない。内容も奥が深くて、化学のこともいっぱいで、なんだかとても難しい。

まあでも、とにかくやってみよう。

庭に畑をつくる

先日、自宅の庭を造園業者さんに剪定してもらったのだけれど、そのときに小さい畑もつくってもらった。

さっそく、DIYからの逸脱である。すみません。

真砂土を入れてくれる予定だったのだけれど、(残念な)ご厚意で、鶏糞などの肥料を投入済みらしい。早く抜けますように。

さて、どうしたらいいのか。
次の一歩がわからない。

とりあえず、土の状態を良くしなくてはいけない。

無肥料栽培を実現する本』だけを頼りに、落ち葉と米ぬかを混ぜ込んでみることにする。(腐葉土をつくる)

ある晴れた日曜日。
夫にワンオペさせているあいだ、近所の散歩道で「ひとり地域清掃」を装ってせっせと落ち葉を集めてきた。
運動不足なので、これだけでかなり疲れた。

家に帰って水分補給と放尿を済ませ、ふと考える。

「おしっこは肥料にならへんのかな」
なんとなく、リンとか窒素とかが含まれていそうな雰囲気がする。

でも幼少期、庭で放尿する際におばあちゃんに「おしっこは植物が枯れるから、いらん雑草にかけといてや」と言われて、そうした記憶がある。

おしっこは肥料にならず、ウンコは肥料になる。
とっても哲学的である。

玄米30キロぶんの米ぬか

落ち葉と米ぬかを、苦労してふりかける。
この日は風が強かったので、米ぬかは3分の1くらいご近所に舞っていった。

そして、鍬でひたすら混ぜる。
造園業者の方がいい感じに作ってくれた畝も、めちゃくちゃになってしまった。

野菜がうまく育つためには、土の微生物が元気に働いてくれる必要がある。
その指標のひとつに、マメ科の植物がよく育つという項目があった。

我が家の庭にはマメ科っぽい雑草がほんのちょっと生えていたので、明らかに量は少ないが、ちょっとふりかける。

ちなみに、マメ科の植物の種を植える方法と、緑肥といって緑の草をそのまま鋤き込む方法があるらしいけれど、この場合にどちらを選択すればいいのかわからない。

とにかくトライあるのみ。

このあと、土の上に白い糸状菌が出て、さらにそれが消えたらたぶん苗が植えられるようになる。

ちなみにこの方法は、まだ何も植わっていないゼロ状態の畑の土づくりを前提にしており、本来は畑とは別の場所で作って、畑に鋤き込んだりふりかける材料(自給自足できる肥料みたいなもの)にするものである。

というわけで、土壌微生物との共生を目指して、農業も土壌微生物もド素人の筆者が奮闘する姿を定期的にお届けできればと思う。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?