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デジマの事件簿|解くべき"問題"じゃない問題

はじめまして。
よく食べる、よくしゃべる、よく笑うので、口が大きく成長しました、菱井(ひしい)です。
デジタルマーケティンググループに所属しております。

デジタルマーケティングの戦略を立て施策実行までご支援する仕事をしている中で、下記のようなご相談をいただきます。

「売上が低下しているため集客が問題だが、出稿している広告の成果がでない。」
「営業の業務効率が悪いことが問題で、システムを導入したがうまく機能しない。」
「商品が売れない。アピール不足が問題なので、メールやSNSで発信しているがやはり売れない。」

問題は設定できていて、解決策が間違っているのではと、お話されます。
でも実は、間違っているのは解決策ではなく、そもそも解くべき"問題"だとしたらー
今回は、問題を解決するプロセスにおいて特に大事な"問題設定"について、お話します。


間違った"問題設定"の実例

とある会社のWeb担当者Tさんから、ご相談がありました。
「Webサイトのセッションが落ちていることが社内で問題となりました。サイトリニューアルとシステムを導入することで、顧客満足度を上げたい。貴社でできることの提案がほしい。」
Tさんのお話を単純化してみます。

本当に「Webサイトのセッションが落ちている。」ことが問題でしょうか。
描く理想が「顧客満足度を上げたい。」のであれば、具体的な裏付けがあるか分かりませんが、現状は「顧客満足度が低い」状態にあるのではと想像できます。
理想と現状のギャップが"問題"ですが、今回はその"問題"が間違っているため、問題に対する解決策も間違ってしまっています。
今回のお客様は「サイトリニューアル」と「システム導入」ができそうな会社を複数探し、既に提案を受けていたそうです。全社なんだかしっくりこないと採用せず、さらに労力をかけてサイトができそうな会社やシステムを探していたとのことです。
現状と理想を捉えきれていないまま、問題設定を間違ってしまい、分かりやすい解決策にばかり目がいってしまうと、間違った方向へどんどん進み、負のループに陥ってしまいます。
では、今回の例ではどのような問題が考えられるか書き出してみます。

  • 問題① 商品の質が悪い。

  • 問題② 商品の提供スピードが遅い。

  • 問題③ スタッフの対応が遅い。

  • 問題④ 価格が高い。

  • 問題⑤ 商品の使い方が分かりにくい。etc.

今ある現状情報での列挙ですが、さまざまな問題設定のパターンが考えられますね。
このように問題をそのままうのみにせず、本当に解くべき問題なんだっけ?と、一度疑ってみることをおすすめします。


デジタルマーケティングにおいて"問題設定"が大事な理由

先ほど問題設定が間違った実例をご紹介しましたが、デジタルマーケティングの世界でなぜ問題設定が大事なのか。
いくつか理由はあれど「限られた資源で、最大の成果を!」に集約されると考えます。企業にとっての資源とは「ヒト、モノ、カネ」です。
特にデジタルマーケティングを推進する前に立てる戦略では、目的の明確化と現状把握がなくては始まりません。システムを導入しよう、Web広告出稿しよう、といきなり施策から着手し、解決すべき問題が曖昧なままプロジェクトを進行してしまうと、前述のような悲劇が訪れてしまいます。
一度立ち止まって「これは今解くべき問題だっけ?」と考えてみることで、ヒト、モノ、カネを無駄に投下せず、本来の問題解決へ向けて歩み出すことができるんです。


困ったときに意識する4つの視(よんしー)

さてさて、いきなり問題設定してみよう!と言われても、とフリーズしてしまうかもしれません。
多くの方は問題に問題があることを疑わず、答えを探し続けることの方が慣れています。
学生時代に受ける試験は「正解」「不正解」が存在し、1点でも多く「正解」を回答した人が評価されます。ところが、社会人になった途端「正解はないんだ!考えろ!」なんて言われてしまい、混乱しますよね。
そんな困ったときに、私が意識している「4つの視(通称:よんしー)」をご紹介します。

1. 視野を広げて現状を洗い出してみる

見えている範囲外のことは認識できません。
大前提自分は視野が狭いと思った上で、意識して視野を広げようと試みます。ウサギの視野の広さを見習いながら、全く異なる領域の仕事をしている人と話をしたり、ビジネスに関係のないことでも雑談をすることで、知らない世界を自分の範囲に段々と取り込むことができるようになります。

2. 視座を高めて事象を俯瞰してみる

高い位置から全体は見えますが、低い位置からは狭い範囲しか見えません。
「上司の〇〇さんなら、社長の△△さんなら」と、トリのように少し高い位置にいる上の人が考えそうなことを想像してみます。会ったこともない人を想像するのは難しいですが、身近な人であれば普段の会話、行動から自分と違う見方を観察しやすいのでおすすめです。

3. 視点を多角的に変えて範囲を絞る

一方向から見ているだけでは、問題を捉え損ねてしまいます。
猫がウロウロ歩くように角度をいくつか変えてみることで一方向では見えなかった側面が浮き彫りになります。その上で見る範囲を絞ることが大切です。私なりの鍛え方ですが、例えばテレビでお笑い番組を見ながらツッコミを考えたり、人間ドキュメンタリーでシリアスに取り上げられている人を実はこの人、空中ブランコが特技なんちゃうかと、本編とは全く違う妄想をしたりします。

4. 視力を上げて認識する解像度を高める

解像度が低いとぼやけたまま雰囲気で問題を捉えてしまいます。
大変危険です。結局問題なんだっけ?と振り出しに戻ってしまいます。
ダチョウの視力の良さがあればいいのですが、よく見えないのであれば眼鏡をかけるようにアイテムを使います。サイトの検索をしたり、ChatGPTさんに聞いてみたり、分かりにくいことを調べて、読んで、また調べて、を繰り返すといつのまにか解像度が高くなっています。


最後にひとこと、ふたこと

これまで"問題設定"についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
もちろん最終的な問題解決が大切なことは言うまでもないのですが、この記事を読んでその手前にある"問題設定"に少し目を向けていただけたのならうれしいです。その先にある問題解決編は?!というお声がチラホラ聞こえてきますが、それはまた別のお話。

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