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古典文学・古歌に関する趣味的執筆(たまに自作メモ)

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もともと古代和歌を研究していましたが、 研究以前に古文や和歌が好きなので、 ほぼ自分解釈で、感じるまま、楽しみで書いた文章。 短歌同人として活動した経歴もあり、現在、即興和歌を琴…
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2023年1月の記事一覧

かぐわしき 春の気配を ただよわせ
 寒さに冴える 睦月蝋梅

多くの命が、和歌となって生まれ出る、ささやかな響きを感じる。

あめの水音、こぼれる言の葉、琴の糸をはじくゆらめき。

今、我が身はほのかな魂のつぶやきに満たされている。

〜ささ風を 幸はへたまふ たまゆらの やまとことのは 追風用意〜

《追風用意》に憧れて

《追風用意》に憧れて

香りの嗜みに、「追風用意」という言葉があります。

『徒然草』第四十四段の描写に、
都から離れた山里で、さる宮様の仏事があるとのことで、
誰が見るともないのに、
田舎の畦道を、情趣ありげに笛を吹きながら、邸宅に入っていく、清らかな公達がいたり、
御堂では、

〜夜寒の風に誘はれ来る空薫物の匂も、身にしむここちす。
寝殿より御堂の廊に通ふ女房の、追風の用意など、人目なき山里ともいはず、心づかひしたり

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