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第2回特許の鉄人、観覧メモ

note434にちめ。諸事情で夕方になってしまった。日曜にて日曜知財劇場、まんがはお休みで、本日は17日に参加した第2回特許の鉄人のことを。

特許の鉄人とは、
鉄人が25分で発明品のヒアリングとクレーム作成を行い、クレームの出来を競うバトルイベント。

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カジュアルかつ的確な解説つき。鉄人は弁理士、クレーム作成のプロフェショナルである。観客は鉄人の技巧にうなり、解説者や審査員の話にうなずくき。またときに鉄人の苦しむ姿に親しみを感じ笑う。

“クレーム”とは特許してほしい範囲のことで、特許されるとこれが権利の範囲になる。この範囲が広いほど、権利範囲としては広いがそれは特許になればの話で、当然特許されにくい。プロフェショナルの加減がみどころの一つである。

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第一試合 日用品対決
ユカイ工学のしっぽ振りロボットQooboがご登場、その触り心地に司会者が手放せなくなり抱いたまま試合が進行された。癒される司会者と癒しどころでない選手の対比が見事であった。

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「ものがシンプルで発明のポイントを特定しにくい」の解説どおり、発明品はわかりやすいが発明はわかりにくい。難しい。

ざわつく観客、テンポよく知財用語や状況をフォローする司会者と解説者、しかめ面で発明に対峙する選手。この混沌が好物でたいへんタノしい。選手にとっては厄介な環境かとご苦労を想像する。

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さて作成されたクレーム。
①“撫で”に対して作動部が動く、②作動部の動きが撫で方によってちがう、③天地によってちがう、がまずポイントとされ、

甲斐先生のクレームは、①、②、③がそれぞれ請求項1~3に書かれていた。

対する松本先生のクレームは、請求項1に①&②、請求項2にはすこし細かく②’加速度センサ&大きく撫でると大きく動く、請求項3に③と③’地方向には作動部が動かない、が書かれていた。

着目点は同じでどこまで書くかが異なる、おもしろい結果である。要素がすくないほうが権利範囲としては広いが特許にはなりにくい。どちらを評価するか、審査員も分かれるところ。

さらに甲斐先生のクレームは請求項4に⑤時刻によってちがう、請求項5に⑥癒し効果、が入っていた。とくに癒し効果は、松本先生は当然認識しながら「書かない」派で、構成で発明を示し、甲斐先生は発明者の思う効果を尊重して「書く」派と、両者のスタンスの違いが出た。

(蛇足)ワタクシの個人票は甲斐先生に投じました。③’が入っている、癒し効果は書かない、特許性から松本先生のクレームのほうが好みなのだが、大胆かつ顧客を思う姿にひかれてね。

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第二試合 ソフトウェア対決
発明品は、見覚えのある風貌の犬(のつもりの人という設定まで理解した犬に扮した人)による、ネットで送るには大きすぎるデータを記録媒体ごと安全に配達するためのセキュリティサービス。荷物の到着位置が正しい&受取人が正しい場合に、ロック解除のキーを受取人に教える。到着位置は位置情報で、受取人はパスワードで判断する。

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経緯と概要がサクサクと説明され、情報量が多い。ちょこちょこ提供されるユモアが恨めしい。

両選手ともまずはメモ書きのような形で情報整理していた。木本先生は4選手唯一のExcel使用、のちにひらりとWordに移行し、クレームを書き進めていた。普段見ることのないプロの作業、おもしろいね。

押谷先生は早送りかという速さで行を下にのばしていて、見るに爽快、なんだか笑ってしまいました。

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さて作成されたクレーム。
請求項1で、開封条件として押谷先生は位置情報を書き、木本先生はパスワードを書き、対照的な仕上がりになっていた。第1試合とおなじく、特許になりやすさと権利の広さをどう見るかが評価の分かれ目かと。

また押谷先生のクレームはあまり見慣れない様式で特徴的だった。両選手とも、プログラムクレームと装置クレームをそれぞれ入れたが、押谷先生はまずプログラム、木本先生はまず装置をたてたところもちがっていた。そうそう、この両クレームは一方を作ったあと他方をコピペ&調整で作るものだと思っていたので、木本先生の「(前述の)各手段を備えるプログラム」な書き方が目を引きました。

(蛇足)ワタクシの個人票は、タイミング悪くスマートフォンの不具合で入れられず。審査員票が真っ二つに割れたのが印象的であった。

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(新幹線で届けよう、が発明の原点)

以上、メモ羅列のつもりが文章型で長くなってしまった。

第1回から、そして第3回へ
第1回イベントと比べ、観客が手元で作成されたクレームを見られるようになり楽しさが増した。あと前回選手の審査コメントが聞けた点もよかった。クレームの書き方も興味深いが、知財部員としてはクレームの評価は悩みどころなのでいろいろな人の評価を聞きたい。

あとイベント後にSNSで何人か他の方が自作のクレームを挙げていて、イベント会場だけで終わらないところもおもしろい。

本イベントのプロデューサの加島先生によると、趣向を凝らし第3回以降につなげていくとのことで、期待大。ひとまず第2回ありがとうございました。つぎの開催を楽しみにしています。

……ト、長々お付き合いいただき、ありがとうございました。イベントに参加されなかった方にイベントが楽しそうな感じ、また知財とのかかわりがうすい方に特許のおもしろそうな感じが、すこしでも伝わったら幸甚です。

日曜知財劇場もかたちは違えど、知財の楽しそうな感じを伝えるものにしたいナア。


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