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ずっと綺麗だったよ

百舌鳥の群れが

うわのそらの ぼくの瞳に映る

愛のかたちなんてやっぱりよくわからなくて

映画館のスクリーンに問いかけた

『泣けなくなったら帰っておいで』

家猫が うちを出ていくとき

止めるべきか迷って 手を振った


空の青さを怖がる 死を知る人よ

野いちご色の頬の その子の夢を摘まないで

横に流れるチャップリンのメロディーは

心を深く揺さぶるから 今も使われるの

画素数の粗い レトロに取り憑かれるのも

おおかた同じ理由で

虹に近づきたいからなんだと思う ぼくは


サルーンシートの 煙草みたいな匂いが

横に倒れるナラ枯れを酷くさせるから

なるべく吸い込まないように

ライラック色の風をそっと 風船に詰めた

爪を塗る女の人の悲哀をぼくは抱えきれない

減速してもいいんじゃない? 迷ったなら

ルーブル美術館に飾れない その涙をすくう


ぼくが喉を枯らして叫んでも

靴を脱ぎ捨てて海に飛び込んでも

膿疱は その色でしか癒せないんでしょ

皆と同じじゃ嫌なのに皆と同じ位でいたいの

疑問だらけの 彼女の憂いは

画素数が高すぎて ついていけない

わかった振りなんてしないから 安心してよ



ささくれも綺麗だったよ あなたは











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