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贅沢な不安

最近、君がやさしい


今までは

一生懸命話した内容も

2人きりで会話した内容も

まるでそんな話していなかったかのように

すぐに忘れ去って

ぼくを悲しませていた君が


会話の内容を覚えている

ぼくの反応を覚えている

話している内容に意見してくれる時すらある

驚いて声も詰まるくらいだ。


声のトーンが いつもよりやわらかい

笑顔や笑い声が いつもより多い

相づちに いつもと違う親しみを感じる

わかれ際の会釈が そんなにそっけなくない

いつもならしない 声掛けや気配りをする

ぼくは胸が詰まってきた。


更に言えば

君は最近 特に横顔がきれいになった

声も ワントーンあがることが多くなった

足取りも 軽いような気がする

春が来たからという理由では

片付かないくらいに

肌も髪も ツヤめいている気がする

ぼくは君が好きだから気付いてしまう。


そんな君には はじめて出会って

ぼくの心は ものすごくそわそわしている

そして

とてつもなく 恐ろしい不安を感じている


ぼくは不安でたまらない

君がぼくにやさしくすると

君に好きな人か恋人が

できたような気がしてしまう


ぼくは恐くてたまらない

君がぼくにやさしくすると

ぼくにすら やさしくなった君は

好きな人や恋人の前で

ぼくには想像もできないくらいの

やさしさを振り撒いているんじゃないかって


勝手な想像してごめん

でも、そんなこと思うと

すでに少し泣きそうだ


君のやさしさに もっと触れたいのに

そんなこと考えてたら

君がこれ以上やさしくなっていくのが

こわくて つらい

こんなのは贅沢な不安だ。


でも、お願いだから

気付いたら君の隣にいる

アイツの紛らわしい名前は

どうかつぶやかないで

それはますます ぼくの勝手な不安を煽る。


君がぼくにやさしくすると

ぼくはとても不安だ


とんでもなく贅沢な不安だ。

やさしい君が とても好きなのに。

こんなに好きなのに。










 




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