Vanilla
もう少しだけと 唇のなかでつぶやく
動けないのは 見つめられてるからじゃない
暖かさを超えて 熱せられる水分
襟足をつたう 甘い視線
長く伸びる太陽を 白く染める季節
いっときの青空に 足先から浸かる
煙り始める爪先の雲に
どうしよう ときめいてしまう 風の波
あまい香りの誘い水
残り香を残す 焦げたキャラメルみたいな
スっと溶けていかない後口は
きっと君に夢中になった理由
ハイトーンで惑わせて 知らぬ間に煙になる
本の背表紙に そっと触れて確かめる
物語の余韻の そのちょっと先を
ワイドラインに 斜線を引いて
ライティングは 星屑が瞬くように
うっとりとする 月の陰に腰掛けて
遠くの星から吹く風を
ノートの隙間にしおりする
ゾーニングなんてされてない世界で
屈託なく笑える場所を見つけたい
空の色が示すのは 心模様
飲み込みきれない気持ちは 吸い上げられて
やがて雨になる 足元煙る 跳ね返り
えぇいややもして 温かいものも流れる
バスに揺られた いつかの風景
君のやさしさは Vanilla
とめどなく 甘いあまい
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