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モノクロ写真、その変遷 -02

前回からの続き。

FUJIFILMのX-T3で撮影してきた写真の振り返りまでが前回の内容。少しずつモノクロ設定で撮影を始めて、今のスタイルに近づいてきた時期。

丁度写真を撮り始めて1年が経った頃だったか、僕はカメラをフルサイズ機へ切り替えた。
その機種はLUMIX S5。
今まで換算50mm位のレンズを使用してきたが、切り替えたタイミングでレンズも24-105mmに変更した。
撮影体験として何が変わったのかを集約すると
・手ブレ補正がついた
・画角の選択肢を得た
・暗所撮影にも対応しやすくなった
この3点くらいだろうか。

カメラを買ったなら、直ぐにでも撮影に出かけたくなるのは誰もが同じだろう。
今では僕の定番ルートである、東京駅〜新橋駅間のスナップをしたのもこの時が初めてだったと思う。

定番スポットの東京国際フォーラム

ど定番のスポットってのは誰が撮ってもそれなりの撮れ高があるからど定番な訳だけど、この写真を撮った時に僕のテンションはめちゃくちゃ上がったのを覚えている。実際は環境(光の入り方や人の配置)が良かっただけの話だけど、機材を変えてすぐの撮影だった事もありフルサイズすげぇ…!ってちょっと感動したりもした。
この写真がきっかけにハイコントラストなモノクロ表現に魅力を感じ、現像もそこを意識したものへと変わっていく。

品川駅にて、ここは良い光が入るからよく通う
投稿する度に何人か目をやられるやつ

このハイコントラストの世界観から、ファインアートへの興味が生まれて少し調べてみたりしたけど、結局今時点でもいまいちその概念を理解出来ずにはいる。
また時間作ってゆっくり学んでみたい。

象徴

Twitterで縦画像がしっかりと表示されるアップデートがはいってすぐ、縦3段組で見せる写真が少し流行り、僕もしっかり流れに乗り沢山3段組を作った。
その中で唯一今でも好きだなと思えるのが上の写真。
日本(東日本か)を象徴する富士山、東京タワー、スカイツリーを並べた写真。余白部分のグラデーションや被写体の捉え方などはそれなりに考えて配置した。
被写体が持つパワーの恩恵を存分にいただいた写真だけど、自分の中では、中々良い作品になったのでは…?とちょっと甘めの評価をしてる。

この3段組のブームが終わる頃、僕にとっての停滞期がやってくる。

霧がかる東京、僕の思考とリンクした

撮りたいイメージが湧かなくなってしまった。
今までSNSでカッコいいと思っていた写真達を見ても以前の様に感情が振れない。
光と影と人と、そんな写真に何ならちょっとした嫌悪感の様なものすら覚えるようになった。
スランプなのかも知れない、そう思った。
今まで好きな景色を好きな様に撮ってきたけど、そろそろ何かを変えるタイミングなのかも知れない。
そんな事を思いながらも、淡々とSNSには写真を投稿を続けていて、いよいよもう限界かなぁと思い始めた頃にこんな投稿を見かける。

「ストリートフォトは死んだ」
少しニュアンスは違ったかも知れないが、ストレートかつシンプルな言葉で綴られていたその投稿に僕はとても腹が立った。

ふざけるなよ、ストリートフォトが死んだなんて。
僕の写真はもう死んでる、価値のない物だと言われている様なものじゃないか。そんな風に感じた。

今思えば、その投稿した方は僕なんかよりよっぽど写真に精通していたし、もしかしたらSNSの現状を嘆いたのか、過去の先人達が残したストリートフォグラフィーの作品から大きく流れが変わる事もなく撮られ続けている、この停滞感に危機感を持っての発信だったのかも知れない。
直接本人から真意を聞いた訳ではないから、憶測でしかないけれど、何となく明確な意図があったのだろうと今は思う。

ただ当時の僕はただ怒りを覚え、それを写真にぶつける事しか出来なかった。
程なくして、僕はSNSを一時休止する事にした。
自分に纏わりついている停滞感と、頭に残っているストリートフォトは死んだという言葉をどうにか振り払いたかった。
SNSからのインプットをやめ、偉大な写真家と呼ばれる人達の写真集からのインプットをやめ、僕が撮りたい写真を模索した。
新たに撮るだけでなく、過去の自分の写真を振り返りながら、何故撮ったのかを明確にしていく。
SNSの評価なんてものは排除して、ただただ自分の写真とだけ向き合う期間だった。
何となく、自分の写真表現の傾向は掴んだ。
嫌悪感の理由も自分なりに飲み込めた。
2、3ヶ月の後、SNSに投稿を再開し始めた。

復帰の際に投稿した写真。
1回目のnoteにも書いた、僕なりのモノクロで写真を撮る意味、そのイメージ。
伝わっているのかどうかはわからないけれど、僕の中ではこのタイミングから明確に撮る写真のイメージは変わったと思っている。
ストリートとは少し離れたジャンルの写真を撮る事も増えたのもこのタイミングから。

少し長くなったので、今回はここまで。
あと一回で終わるかどうか少し不安になってきたけど、もう少しだけお付き合いいただければなと。

それではまた次回。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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