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「ファンタジースプリングス」より楽しみな「星野リゾート」の話。

東京ディズニーシー待望の新エリア「ファンタジースプリングス」のオープンがいよいよ1か月後に迫ってきた。
「ひろはオープン日に行くの!?」と、嬉々として訊ねてきてくれる友人には申し訳ないが、正直この新エリアへの入場は、人混みが落ち着いた1年後、2年後くらいでも構わない。

そんな新エリアよりも、もっともっと期待している別の新施設があるのだ。

そう、「ファンタジースプリングス」のその裏で建設が進む、舞浜初の「星野リゾートホテル」、その名も「1955 Tokyo Bay」である。


おそらく本ホテルが開業した1週間後には、旅行系インスタグラマーやインフルエンサーの餌食となって、瞬く間に予約困難なディズニーパートナーズホテルとなってしまうことだろう。(言い方)

なんでも代替可能な「可愛い~」「やばい~」「エモい~」のひと言で片付けられてしまう前に、わたしのやかましい妄想をふんだんに織り込んだ、本ホテルの期待を今ここに書き記しておこうではないか。

「星野リゾート」に特別な思い入れがあるわけではないが、あまりに最高過ぎるコンセプトを叩きだしてきた本ホテルに、今わたしは素直にトキメイテいる。


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1955年

1955年と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるだろう。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公のマーティ・マクフライがタイムトラベルする時代でもある、1955年。
アインシュタインが逝去し、原子力基本法が成立する裏で、冷戦は激化する、何とも目まぐるしい時代であるが、ここで何よりも皆さんにお伝えしたいのは、あのカリフォルニアに、世界初となる「ディズニーランド」がオープンした年、それこそが1955年であるということだ。

本国は来年で開園70周年。


そう、来る6月20日、あの星野リゾートが舞浜(浦安)に初めてオープンするホテルのコンセプトとして採用したのは、この「1955年」という時代そのものなのである。

「OLDIES GOODIES」をキャッチコピーに、初めてディズニーランドが誕生した1955年頃のアメリカへ、ホテルステイを通じてタイムスリップすることを主なストーリーとしているようだ。なんという粋な演出。なんというワクワク感。

まさにこの世界観。


これはあまりにコンセプトが優勝しすぎているではないか。。。
むしろ東京ディズニーリゾートが開園してから40年余り、なぜこれまで誰も「1955年」という本国ディズニーランドパークの開園年に着目した施設がなかったのか。

ちなみにディズニー公式ホテルである「ディズニー・アンバサダーホテル(通称:アンバ)」。
こちらも「時代」をコンセプトとした最高のホテルではあるのだが、アンバの時代設定は「1930年代のハリウッド黄金期」である。ここではウォルトが、ハリウッドで自身の映画スタジオを設立し、そのアメリカンドリームを掴んでいく過渡期を存分に味わうことができ、これはこれでディズニーらしい"オフィシャル感"を体感できるため、実に素晴らしい演出だ。
だが、いわゆる「OLDIES(オールディーズ)」と呼ばれる、ややクラシカルなアメリカの雰囲気を象徴するであろう「1955年」という設定は、我々日本人にとって妙にリアルで、しかし非常に輝かしい夢の具現化を実現できる、とにかく絶妙な塩梅の設定だと感じられる。この"ありそうでなかった"センスにこそ、ディズニー周辺の施設コンセプトとして、わたしはオープン前から惚れ惚れしてしまったというわけだ。

ちなみに1955年に公開したディズニー映画は『わんわん物語』。わたしはこの映画が大好き。


「アメリカっぽい~!」という単なる雰囲気重視ではなく、明確に「1955年」という年号を出すことで、その裏で起きた出来事のリアルさを肌で感じながら、すべての始まりともいえるカリフォルニア アナハイムの「ディズニーランドパーク」に思いを馳せることができるだなんて、まったく贅沢の極みでしかない。

ディズニーランドという夢の世界と、日常生活の現実世界、その狭間で架け橋となるリゾートホテルのコンセプトとして、これほどまでに完璧な設定はないだろう。


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2nd Room

ところでこのホテル、これまでのディズニー周辺ホテルと比較して、圧倒的に違う面白ポイントがある。
それが「2nd Room」の存在だ。

それぞれの客室とは別に、24時間使えるパブリックスペース「2nd Room」があるというのだ。

どうやらこのスペース、大きく3つのエリアに分かれているようで…
それぞれ、①仕切りのない大広間②カーテンで仕切れる個室③ミッドセンチュリーのデザイン家具が集められた半個室、という、否が応でも人々の交流を促すであろうデザイン設計を見ることができる。

詳しくは上記の公式サイトに飛んで行ってもらうとして、わたしが心奪われたのは、③ミッドセンチュリーのデザイン家具が集められた半個室というスペースだ。

ミッドセンチュリー家具…おしゃい。


ここではお茶やお酒を持ち寄って団らんすることが許されているようで、それはずばりホテル併設のバーやカフェテリアに近い雰囲気を持つのだろう。
しかし特筆すべきは、「半個室」という作りである。

あくまでも旅をともにする仲間内での楽しみを邪魔されたくはないが、でも他のゲストが楽しんでいる雰囲気も味わいたい。あわよくば隣のグループの面白おかしいトークに耳を傾けてもみたいし、でも自分たちのちょっとプライベートな話にも花を咲かせる時間にしたい。ある種そんな旅の醍醐味ともいえる、"お喋り"の希望をすべて叶えることができる(かもしれない)「半個室」という作り。ディズニーランドという旅の前後で、人々の交流を促進する魅惑的な場所だとは思わないだろうか。

これくらいのスペースなのでは?と思っている。(※勝手なイメージ)


「ちょっと2nd Roomで話さない?」
古き良きアメリカの時代に沿うように、そんな粋な台詞がホテル内で聞こえてくるのならば、酒がなくともそれだけでほろ酔いできること間違いなし。

むしろそう言って、このパブリックスペースをスマートに使いこなしたいがために、本ホテルに行くまである、とわたしは思う。


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いかがだろう。
「ファンタジースプリングス」で、ディズニーディズニーしたキャラクター全開の世界ももちろん楽しみだが、この小洒落た程よいオールドアメリカンな世界、というのも「大人なディズニー」らしくて素敵ではないだろうか。

奇しくもオープン当初、そのコンセプトに「大人」を携えた「東京ディズニーシー」が、「子供らしさ」を兼ね備えたキャラクターありきの新テーマポートをオープンするという時に、「大人も子供も楽しめる」日本屈指のリゾートホテル「星野リゾート」が、"大人志向"全開で真っ向勝負を仕掛けてくるこの構図。

6月6日オープン。
6月20日オープン。


時代の流れ、と大きな主語を使うことは憚られるが、こと日本におけるディズニーパークの流れは間違いなく「キャラクターありき」「キャラクターコンテンツ」を主導としたコンセプト設計にシフトチェンジしている。それはつまり、時代背景や意図、いうなればコンセプトそのものを、仮に無視したとしても楽しめるエンターテイメント、と言えるわけだ。


これはどちらが良い悪いではなく、それぞれに違った良さ、楽しみ方があるというだけの話なのだが…わたし個人の気持ちとしては、張りぼての中に見る本物(つまりは歴史や時代の面白さ)を可能な限り感じ尽くしたいと思ってしまうため、今回のような施設設計は非常にわくわくするものだ。
とはいえ、いちディズニーファンとしては「ファンタジースプリングス」こそキャラクターコンテンツは表面上のもので、まだ誰も気付いていない奥深ストーリーがあると信じて止まないため、新エリアを否定する気はまったくない。
だがそういうわけで、ディズニー公式ではない、こうした外部施設からも、リゾート全体が盛り上がっていく様を、わたしは常に見ていたいと思うのである。少なくとも「ディズニー」「星野リゾート」「1955年」というキーワードにトキメキを抱かないほうが難しい。

冒頭お伝えした通り、おそらくこのホテルも、ディズニーパーク同様に激込みの予感しかしないが…
どうか素敵な紳士淑女の皆さまが、東京ディズニーリゾートで、ファンタジースプリングスで、1955 Tokyo Bayで、小粋な休日を過ごせたら良いなと、ひとりのやかましいディズニーオタクは願っているのである。

兎にも角にも、楽しみ。
これに尽きるという話、それだけである。

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「ファンタジースプリングス」への過度な妄想については、ポッドキャストでもお話しています。お耳が暇でしたら是非。


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