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18回目のCity2Surf

毎年恒例のCity 2 Surf, 数えてみたら今回が18回目の参加だった。去年の記録は下のリンクから。

ざっと簡単にこのイベントを説明すると、毎年8月の第2日曜日に、シドニーの街から、ボンダイビーチまでの14キロを駆け抜ける、世界最大のランニングイベントだ。参加者数は、8-9万人だそう。

歩いてゆるーく参加する人も多いけど、僕はガチで走る組。ここ数年は60分を少し切るタイムでゴールしている。

ただ、もう半世紀を数年越している身なので、最近は老化との戦い。いつまでこの目標を達成できるのか…という不安との戦いである。

さて、今年は?

当日の体調は良好。天気も晴れた空がシドニーを覆っていて、絶好のラン日和。

スタート地点で友達と落ち合い、雑談をして号砲が鳴るまで時間をつぶす。

いよいよスタート5分前になり、簡単な挨拶と、国歌斉唱。僕はいちおうオーストラリア人なので、むにゃむにゃと口ずさむ(7割くらいしか歌詞覚えていなんだよね)。

さてスタート!波のようにランナーが走り出す。

僕も勢いよく走り始めたが…おや、ちょっと身体が重い?思ったほどスピードが出ない。

ランニングウォッチを見ると、げ、目標タイムよりだいぶ遅く走っている…これは、マズい!

とはいっても、最初の方は本当にたくさんのランナーに囲まれて走るので、自分のペースを作るのが本当に難しいのである。この写真を見てもらえば分かると思うけど。

これは困ったな…と思いつつ、時々出てくる下り坂を使ってスピードを上げる。でもまた上り坂が出てくるのでそこでペースは落ちる。

その繰り返しだが、だんだん目標のペースで走れるようになってきて、少しホッとする。

ちょっと焦っていたので、あまり周りの景色やランナーを見る余裕はなかったが、朝日に照らされて前を走るランナーが逆光になり、その影が揺れ動くのが美しかった。

気温も、この時期にしては暖かくなってきたので、ランナーの身体から湯気も立ち昇る。そういう細々とした情景を見ると、苦しい中にありながらも、走ることの喜び…みたいな気持ちがじわじわと湧いてくる。

6キロ地点からは、つづら折りの急坂、通称ハートブレイクヒルがやってくる。

もう何回も走っているので、分かっちゃいるが、キツい。もちろんペースはガクリと落ちる。

それは織り込み済みなので、とにかく粘る!ということだけを考えて、少し身体を前に倒し、重心も心持ち落とし、歩幅も少し縮め、じわじわと坂を攻める。

やっと坂のてっぺんが見えてきた。ここでズルズルとペースを落としてしまったらゲームセットなので、気持ちを入れ、ペースを上げる。

でも、この先も結構坂が多いんだ、これが。あのハートブレイクヒルを制覇して、かなり心身ともにダメージが入った後の坂は、ボディブローのように身体を打つ。

10キロ地点で、短いけどそこそこの急坂があり、ここでまたペースがぐっと落ちてしまった。これはあかん…。

気持ちが折れそうになった時は、とにかくポジティブなことを考えよう。

今回のイベントに際し、知り合いのNGOへのチャリティを募っていた。オーストラリアではこういうイベントに際し、参加者が寄付活動することを勧めているのだが、僕個人でなんとA$500ほどの寄付金を集めることが出来た。

「目標達成できた暁には、サブ60分でゴールします!」と宣言していた以上、死ぬ気で達成しなくちゃ!寄付してくれたみんなに申し訳が立たぬ!と気持ちを奮い立たせ、またペースを上げる。幸い、もう上り坂はないので、このまま突っ走っていけば…なんとか…。

また幸いなことに、前方にラン友が見えたので、頑張って追いすがり、息を切らしつつも「がんばろーぜ」と声をかけあう。不思議なもので、そんなちょっとしたことでも、お互いがんばらなきゃ、とエネルギーが湧いてくる。

残り3キロからはずっと、かなりな下り坂が続くので、重力に任せて、コケない程度に爆走する。

そして、眼下にボンダイビーチが見えてくる。沿道は観客で一杯だ。

あとちょっと…しんどい…

最後のターンを周り、ゴールのゲートまでは一直線。60分は切れるし、59分も切れそうではないか。

目標を達成できた嬉しさ、いや安堵感かな…が溢れてきて、派手なガッツポーズをしながら突き進む。

ゴール。公式記録によると、58分50秒だった。

メダルをもらい、ラン友と健闘をたたえあう。この瞬間が、一番嬉しいよね。

後日、大会ウェブサイトで自分の記録を見てみると、年齢別では51位に入っているし、全体の順位も後半につれて上がっているので、良いランニングだったと言ってもいいのだろう。

去年のタイムよりは10数秒遅くなっているが、まあ誤差の範囲ということにしておこう。

それにしても、今年もサブ60分を達成できて本当に良かったなあ…と思う。これがあとどれだけ続くかはわからないし、最近は本当に必死こいて走っての結果なので、正直レース中は、「楽しむ」なんてものじゃなくなっている。

もっと沿道の景色を楽しんで気持ちよく走りたいなあ、という気持ちも無いわけではないが、もう少し加齢に抗ってジタバタするつもりである。

そして、来月はフルマラソンが控えている!昨年は季節外れの暑い天気にも翻弄され、自己ワーストの時間でぼろぼろになってゴールしたので、その雪辱だけは果たしたいと思ってはいるが、はてさて結果はいかに?