【アルバム紹介-6】【シティ・ポップ】岩崎宏美/思秋期から...男と女
今回紹介するのは77年リリースの岩崎宏美の5枚目のオリジナルアルバム、思秋期から...男と女です。
ヒロリンの愛称で親しまれる岩崎宏美は75年にシングル曲「二重奏」でデビューしました。同期には太田裕美、岡田奈々など、後に昭和のポップスを牽引していく人達がいます。2枚目のシングル「ロマンス」で90万枚近くの大ヒットを出すと同年末の紅白歌合戦にトップバッターで出演します。77年には初のバラード「思秋期」がヒットし、第19回日本レコード大賞歌唱賞を受賞します。ちなみに大賞は沢田研二の「勝手にしやがれ」です。「勝手にしやがれ」が収録されたアルバム「思いきり気障な人生」は「サヨナラを言う気もない」、「サムライ」等他にも名曲が多く収録された名盤です。
また、アニメ「タッチ」の主題歌で有名な岩崎良美は実の妹で、80年にデビューしています。岩崎良美の81年リリースの3rdアルバム「Weather Report」は爽やかな歌声と大人っぽい楽曲で、来生姉弟が手がけた「CITY ポルカ」や「アビ・ルージュの息づかいで」など、合わせてオススメです。
メランコリーな表情の岩崎宏美がジャケットの本作「思秋期から...男と女」は、大ヒットシングル「思秋期」を含む12曲で構成され、ジャケットの通りほぼ全て寂しげな曲で構成されています。作曲には三木たかし、川口真、大野克夫らが4曲ずつ携わり、編曲を船山基紀と萩田光雄、作詞は全て阿久悠が1人で書き上げています。
【アルバム内容】
1曲目「思秋期」
悲壮感漂うイントロから始まるこの曲はこのアルバムの代表曲です。岩崎宏美はこの曲のレコーディング中に自身と重ねて泣いてしまい収録が中止になったというエピソードもあります。
2曲目「ランボルギーニが消えて」
車のエンジン音からスタートするこの曲も、1曲目と同様寂しげな曲です。(ちなみにファンから最初の車のエンジン音はランボルギーニではないと指摘が入ったそうです)
3曲目「男と女」
思秋期と併せてアルバム名になっているこの曲は軽やかな岩崎宏美の歌声と裏腹に大人っぽい内容の曲です。
4曲目「恋夏期」
思秋期に続き恋夏期です。素敵な言葉ですが造語だと思われます。自分はこの曲を聞いた時
の歌詞をみて大変驚きました。“死にたい”というストレートな歌詞は最近の曲では多く見られても、この年代の曲で見たのは初めてだったからです。阿久悠の歌詞は凄いですね。阿久悠は明治大学文学部卒なので、JR御茶ノ水駅の明治大学の校舎に「阿久悠記念館」があります。自分も1度訪れましたが、阿久悠の仕事場が再現されていたりと興味深い資料が多く揃えられており、とても楽しかったのでお近くに寄った方など是非オススメです。
8曲目「幸福号出航」
恋が終わり1人になった女が寂しい気持ちで取り残されているこの曲も、このアルバムらしい寂しい名曲です。
10曲目「ピアノ弾きが泣かせた」
当時この曲に泣かされた人も多いのではないでしょうか?ふと入ったBARで思い出の曲を聴いてしまい思い出してしまうこの曲は自分も大好きな曲です。
11曲目「BOO BOO」
アルバム最後のこの曲は、失恋して泣いていた女の子が前を向き、明るい自分を取り戻したとみんなに告げる曲で、アルバムで唯一寂しさが払拭された明るい曲と言えるのではないでしょうか?可愛らしい声と内容がマッチしており、とても好きな曲です。
【まとめ】
今回は岩崎宏美の「思秋期から...男と女」を扱いました。全体的に寂しげな曲が多いこのアルバムはシティポップかと言われれば胸を張ってシティポップだと言えない気もしますがどうでしょうか・・・?難しいですね。シティポップについてなにか具体的な線引きがある方の意見を聞いてみたいです。コメントにてお待ちしております。ここまで読んでくださりありがとうございました。
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