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ただ1人

11月22日。並木通りの中にただただ真っ黄色に孤立してる奴がいて、違う日にそいつがビルの隙間の太陽を一心に抱いていたことをしる。そいつは、緑の中で黄色に孤立して、そいつは、黄色の中で寂れていく存在である。12月1日、東京では3年ぶりの20度になって、冬の中で今日という日は孤立していた。道を行く人がジャケットを腕にかけて袖をまくった。地面の枯葉がうっとうしい。そいつは、今日という日は特別だと孤立して、そいつは、来月にはただの記録に成り下がる存在である。

わたしはそれらに同情しないしわたしはそれらに共感しない。わたしという存在が孤立していることを望まないし、自覚したくもなく、ただ皮膚という存在によってのみ外界と隔てられ、それでも呼吸を共にしていた。夏になるとたしか、汗と湿度が混じりあって、皮膚という存在すら外界を定義してくれなくなるから、冬の間だけ。わたしは他人の呼吸をすって、他人がわたしの呼吸をすった。

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