祖父の冗談が笑えなくなった
3年ぶりに会った祖父はすでにかつのてような畏敬の念を抱く対象ではなく、哀れでどこにでもいる老人に成り果ててしまっていた。
祖父の人格は幼少期を満州で過ごした経験などからもわかるが、まさに戦時から戦後の混乱した世の中で形成された。そのせいか、家族内での祖父は強権的で私にとっては畏怖の対象でもあると同時に尊敬の対象でもあった。
祖父は私に会うたびに自身の人生で培ってきた経験や考え方を披露してくれた。
このような時間は私に鬱陶しさよりも祖父に対する崇拝にも似た感情を感じさせた。