「エビデンスベース」の重要性
「対面授業再開」および「オンライン授業継続」に関する議論は今年最後まで絶えない話題でした。文科省は「文科省に届くメールや問い合わせの『圧倒的多数』が対面再開を求めるものだった」ことを根拠に,大学側に対面再開を求めてきましたが,
各大学で,過半数の学生がオンライン授業の継続を希望している
ことが明らかになったようです。
「エピソードベース」ではなく「エビデンスベース」を
と記事にはありましたがまさしくその通りです。届くメールという「エピソードベース」での判断がこのような結果を招いてしまったのです。たしかに,「不満の声」とは共感されやすいです。そのため,とくに「エビデンス」がないまま問題として取り上げてしまったことに問題があったといえます。しかし,そもそも「満足」している層は,わざわざメールを送ったりはしないことを考えれば,これだけで判断するのは非常に危険だとわかります。また「不満の声」は共感されやすいことに加え,「確証バイアス」が働いたことも一因でしょう。
「確証バイアス(confirmation bias)」は近年大学入試の英語長文でも出題されます。近年では,2020年の慶應大学(総合政策学部)・弘前大学,2019年の北海道大学・日本医科大学,2018年の岩手医科大学・浜松大学などで出題が見られます。
「確証バイアス」とは,自分の信念を支持してくれるものを信じ,それに合わないものを例外とみなしたり,目が向かなくなってしまうことです。我々の脳はそのように捉えやすくできているそうです。
今回の件では「確証バイアス」が働いたのではないでしょうか。日本ではこれまで「オンライン授業」など行われてきませんでした。したがって,我々の頭には「やっぱり授業は対面だ」という考えに引きずられがちです。そこに「オンライン授業に対する不満」が入ってくれば「やっぱりオンラインはダメだ」という思考に引っ張られやすいということです。
何事も,きちんとした「エビデンス」に基づいた政策を行うことが重要だということを再認識しなければなりません。
* 参考記事はこちらです☟
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