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東大英語で学ぶ英文解釈(3) 解説(文型を使いこなす)

 2017年の東京大学の解説の続きです。

* 問題はこちらから☟

… ④We deny ourselves the benefits of solitude because we see the time it requires as a resource to use more profitably. ⑤These days, instead of using time alone to think (or not think), we hurry to fill it with some digital connection.

 ポイントは第4文でした。denyの用法です。denyを「否定する」だけで覚えていて,強引に通過しようとしてはいけません。

 ここで,

5文型を使いこなせているか


がポイントとなります。5文型は,Onionsによって提唱されたものですが,皆さんはこれを使いこなせているでしょうか。単に「SVOCをふることができる」というだけでは,使いこなせているとはいえないでしょう。

個別具体的に学んだことを一般化する


というのは,どの科目を学ぶ上でも重要なことです。

 たとえば,第4文型動詞の根っこにあるのはどのような意味でしょうか。第4文型動詞の代表は,"give" です。これを中心にして,3つほど例を挙げるので,どのような意味になるかを考えてみてください。

 give him a book
 buy him a book
 read him a book

 1つ目はもちろん,「彼に本をあげる」です。2つめは,「彼に本を買ってあげる」です。そして3つめは,「彼に本を読んであげる」です。

 さて,共通する意味はなんでしょうか?

あげる


です。第4文型動詞には,「あげる」という意味が内在しているのです。逆をいえば,第4文型だということがわかれば,「あげる」という意味で,たいてい通過できますし,下線部訳の問題だとしても,大きく減点されることを免れる可能性が高いということになります。

 では,「第4文型ということを見抜くには」という基本に立ち返ります。

① Vの後ろに,要素が2つある
② その2つはイコール関係にない

 この2つです。つまり,

 「V+X+Y」とVの後ろに要素が2つあり,かつ,「X≠Y」ならば,第4文型と判断できます。

 このとき,Vの意味がわからなければ,「あげる」で通過できる可能性が高いということになります。

 今回の英文を考えてみましょう。

 We deny ourselves the benefits of solitude …

 denyがV,その後ろには要素が2つ(ourselvesとthe benefits)あります。ourselves≠the benefits です。つまり,"deny" は第4文型と判断できます。だから,「あげる」で通過できるはずですが,今回はそれだけでは落とし穴があります。denyは第3文型で「否定する」です。だから,「否定」の意味も内在します。だから,「与えない」となります。『ルミナス英和辞典』(研究社)でも,

 They denied her any help.(彼らは彼女に何の援助も与えなかった)

とあります。やはり,「与えない」という意味ですね。だから,「自分に…の恩恵を与えない」となります。

 第4文型は,「与える」or「与えない(奪う)」という意味のいずれかになると考えておくといいでしょう。

解説③はこちらから☟




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