語源から広がる英単語の世界〜「人」を表す接尾辞について
英単語は,prefix(接頭辞)とroot(語幹)とsuffix(接尾辞)に分かれます。今回は,
suffix(接尾辞)
に焦点を当てたいと思います。中でも,「人」を表す suffix について考えます。「人」を表すsuffix(接尾辞)には,-er,-or,-ist,-an,-eseなど色々ありますが,どのように異なるのでしょうか。
"Practical English Usage"(Fourth Edition)によれば,
"-er" と "-or" は動詞につき,行為者を表す
ときに使います。たとえば,writer,driver,starter,editorなどがあります。これは,1番初めに習う suffix(接尾辞)といってもいいくらい有名です。
ところで,"-er" と "-or" はどのように異なるのでしょうか。これは語形成の成り立ちが異なります。いわゆる "back formation" です。日本語に訳せば「逆成」となります。"-or" で終わるもの,たとえば "editor" は,"editor" という名詞が元々あり,"edit" という動詞ができました。"writer" という動詞があって "writer" ができたというのとは逆の成り立ちなのです。"beggar" のような "-ar" で終わるものも "backformation" です。
では,"-ist" はどのようなときに用いるのでしょうか。同著によれば,"-ist" は "practitioner of" とあります。
"-er" の場合より専門的な場合に "-ist" を用いる
ことが分かります。pianist,scientistなどを考えると,たしかに専門性が強い語が多いです。
また "-ese" は "inhabitant of","-(i)an" は "supporter of","related to" と書かれています。しかし,これでは "Japanese" と "American" の違いがしっくりときません。もう少し調べてみると,『人や道具を表す英語の接尾辞について』(太田, 2009)という論文が見つかりました。本論文に書かれていたことを参考にまとめると以下のようになります。
"-ese" は "Chinese","Japanese","Taiwanese" など,アジアの国々の場合に用いられる。おそらくこの "-ese" には差別的ニュアンスがあり,欧米人のアジア軽視の意識が反映されている。一方,"-(i)an" には一種の優越感を感じ取ることができるかもしれない。
このように,同じ「人」を表す語でも,語尾によって微妙に使い分けがあることが分かります。「人」を表す単語を見たら,注目してみると面白いと思います。
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