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就活生よ。大手IT営業の実態を語る。

今回は、就活生にはIT企業とはどんなものか。それを正しく理解した上で、企業選択をしてもらいたいな。ということで書きました。


一口にIT企業と言っても、いくつもの種類がある。

その中でも今回は

メーカー系のSIer(システムインテグレーター)かつ営業

というところに絞って、私の実体験を基に良い点・悪い点を説明していく。


まず私が勤めていたのは日本では割と名が知られているメーカー系のSIerである。
おそらく名前を聞いて知らない人はいないだろう。


そしてネットで検索して所謂SIerと区分されている企業のほとんどに当てはまると思う。それを前提に読んで欲しい。


★メーカー系のSIer(システムインテグレータ)とは

企業名から見た方がイメージが湧きやすいだろう。

企業例:キャノン・日立・NEC・富士通

ハードウェアを製造しているメーカー由来の企業を意味しており、メーカーのある部門が独立してSIerとなった経緯からメーカー系と呼ばれる。

簡単に言うと、自社のサーバやパソコンと組み合わせて、顧客の要望に沿ってシステムの提案・構築を行う。いわゆる巷にあるようなパソコンメーカー。

まずは会社名を見て頂いて、なんとなくメーカー系とはどんなものか分かったはず。


ではさっそく良い点・悪い点に移っていく。


①良い点

・会社が安定している

上記でも分かる通り、名だたる企業が並んでいる。
資本力、ネームバリューどちらも日本で非常に高いところに位置している。

これはサラリーマンをやっていく上で非常に安心できる点である。地元の友人から合コンで会う子達まで、会社名を知っているというのは非常に誇らしいことである。


・社員に優しい

社員の待遇にあまり差をつけずに、どんな人にも優しい。
最近まではほとんどリストラがなく、窓際俗にも優しい。


・一次請けだからこそできる金額の大きな仕事

IT企業は、1次請け2次請け3次請けと顕著に多重下請け構造になっているのは周知のこと。

1次請け企業が、顧客と金額の交渉、契約を結ぶ。

そこから実務を複数の2次請けに「この作業をこの金額でやってください」と振っていく。
更にそこから、2次請けが3次請けに「これをやってくれ」と振っていく。

つまり下に行けば行くほど、安い金額で作業を実施していく構造になっている。

逆に言うと、金額的には、一次請けが一番大きな金額を扱うことができる。そして営業として大きな財布の中から、どこの会社にいくら払うかのお金を自由にコントロールをすることができる。

このようにプロジェクトを支配できる点が面白い。


・1次請けの責任感のある仕事

顧客との契約元。
その責任はとてつもなく重く、そしてやりがいになる。

下請けのミスは1次請けのミス。
問答無用で管理責任を問われることになる。

1つのプロジェクトで下請けの数は多数。
何十社が絡む際は、本当にキツイ。

常に各社の進捗状況や課題を確認し、トラブルを未然に防ぐほどの管理能力と調整力が必要となってくる。

顧客からはあくまで一次請けしか表には見えていない。

逆にプロジェクトが成功した際は、顧客から真っ先に感謝されるのも一次請けの営業である

もちろんプロジェクト完遂までには1年程度の長く険しい道のりが。(プロジェクトによるが)

トラブル⇒お叱り⇒解決⇒トラブル⇒・・・

この無限ループ、極度のプレッシャーの先に最高の達成感が待っている。
ドMの僕には、たまらなかった。24時間テレビのマラソンでゴールする時はおそらくこういう感覚なのだろう。


・頑張らなくても仕事はある。

圧倒的ネームバリューのため顧客に困ることはないだろう。
数々の有名なクライアントを抱えており、1から新規開拓をする事は滅多にない。ひたすらテレアポを取らされたりなんてすることはないと思って良い。


②悪い点

・信頼のおける古い仕組みのシステムを安全に

新しい仕組みのシステムや、取り組みに非常に消極的なのである。
なぜなら、大きな顧客に対して大きなプロジェクト行うということは、裏を返せば、失敗した時の影響度は大きすぎるということ。下手したら新聞沙汰。最近起こった東京証券取引所での障害をイメージしてもらうと分かりやすい。


死んでも安定したシステムを導入する必要がある。

そのため、下記のような思考が会社全体として根付いており、過去に使いふるされた実績のあるシステムを導入しがちになる。

・古くて実績のあるもの=安心
・新しいもの=リスク

最先端なことをやりたい。という人にとっては物足りないだろう。


・平均年齢が高めで時代遅れ感が否めない

良い言い方をすれば古き良き会社。とにかく年寄りが多い。何故か社内に蔓延った縦社会。例え仕事をあまりしないおじさん方も先輩様々。

若い時からイケイケどんどんでやってきたい人にとっては、やりづらいかもしれない。


・決裁スピードが遅すぎる

企業が膨張しすぎて決裁がとにかく多い。
見積1つ出すにしても膨大な決裁がある。

そして今日は上司の誰々が不在等で、押印がとにかく遅い。

スムーズに押印をしてもらうためだけに社内での調整が必要になる。

スピード感を持って、営業活動に集中したい方は、不満を抱えながら働くことになるかもしれない。


③結論

結論としてトータルで見てメーカー系のSlerは、一般的に良い企業が多いでしょう。

ただし上記①の良いとされる点を、必ずしもメリットと捉える若手ばかりではないのも事実である。

大手IT企業はそのネームバリューが故に優秀な人材を簡単に呼び込むことができるが、
皮肉にも優秀な人材ほど社員に優しいであったり、安定していることには興味がない。

それよりもデメリットである古くスピード感のないところに不満を感じることになる。


ある人にとって良い会社がある人にとっては不満がある。その逆もまたしかり。


結局は自分に合った企業と上手くマッチすることができるかが問題である。


そのため、就活生にはこれだけは言っておきたい。


私も学生時代には糞くらえと思っていた「自己分析」が非常に重要になってくる



自分が本当に大事にしたい軸は何か。


安定

社会に影響を与える

やりがいのある仕事

なのか。



そして例えばやりがいのある仕事に軸を置く場合、自分はどういった時にやりがいを感じるのか。


そもそもやりがいとは何か?
面白いと思えること?
仕事してるぜーという充実感を感じること?


では、今までの人生何をしてる時が面白かった?
未知の経験を積んで刺激を感じている時?
1つの作業に没頭している時?
たくさんの人間と協力して何かを成し遂げたとき?


そんな感じでガンガン深堀して、自分の奥深いところにある気持ちを探し出す必要がある。




本当はなぜこんな記事を書いたか。



3月末で今の会社を辞めることで、就活本に書いてある糞糞ありきたりことも、あながち間違っていなかったなと痛感したからです。


では。

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