見出し画像

マーケティングと営業の関係性について

シュガーマンのマーケティング30の法則を読んだ。

この本の著者はジョセフ・シュガーマン。ダイレクトマーケティングの分野での先人である。天才広告マンであり天才セールスマン。

その著者の実体験をベースに30個のマーケティングの法則が解説されている。そしてそこで出てくる実体験がいちいち面白い点が、この本が売れている理由の1つでもあるだろう。

一般的に職種としてマーケティングと営業は分離されているものだが、この2つは切っても切り離せない関係にあることが分かった。


営業である僕の立場でこの法則が、どのように活かされていたのか一部本書を抜粋しながら説明する。

無意識の内にやっているのと言語化して自分のスキルとして身に付けているのは大きな違いである。本書を読んでこの法則を自分の中で落とし込むという目的で、非常に意味のある一冊であった。

★まずマーケティングとは

商品が大量かつ効率的に売れるように、市場調査・製造・輸送・保管・販売・宣伝などの全過程にわたって行う企業活動の総称。市場活動。販売戦略。

とされているが、僕としての理解は、どのように物を効率的に大量に売るかとしている。

つまり営業的な立ち位置で言うと、

どのように効率良く売上げを上げて成果を上げるかとする。それはお客さんとの関係構築も然り。

マーケティングでよく言われるのが、その製品が真に持っている価値は何かという点である。

タバコを購入する人々は、何を求めているか。人々はニコチンを求めている訳でも、周りから煙たがられる時間を欲している訳でもない。

一人でリラックスできる時間、世知辛い世の中を一瞬でも忘れられる時間、反対にマイノリティの立場を誰かと共に経験する時間。これらを欲している。

このように商品の真の価値を見出して、効果的に消費者に訴求することがマーケティングだと認識している。これを認識しているかいないかでも営業としての動き方は変わってくる。

少し話がズレるが、よくお客さんと煙草を吸うことは営業として効果的な動きであると言われる。ただしこれを頭で理解してやるのと、ただお客さんと煙草を吸って雑談をするのでは大きな違いである。

お客さんと煙草を吸うことはたしかに有効な手法である。では、どのように有効か。営業として煙草の真の価値は、顧客とマイノリティな立場を共有できる点である。

これが分かっていると煙草を誘う時間は、昼休みにするべきか、勤務時間にするべきか。建物内の喫煙所で吸うか、近くのコンビニまで抜け出して吸うのか。

どちらが有効かは一目瞭然である。よりやってはいけない事を一緒にやっていると感じれる方が良い。

つまり、勤務時間中に「一服行きましょうよ」さらに「ここの喫煙所だと誰かに見られるので、近くのコンビニまで行きませんか」と。このように、よりマイノリティで後ろめたい状況を演出することが重要なのである。

ここまでやれば後は簡単。相手も善悪のハードルがだいぶ下がっているので、僕にとって有利な情報から人事情報までポロリポロリと出てくるだろう。

ここで説明したのは、1つ1つの行動の意味を理解して、どうのようにすれば最大化できるか考えることが重要であるという例です。


ではさっそく本書の法則を抜粋して説明していく。

法則A:隣人の急死

シュガーマンの顧客に、保険のセールスマンであるハワードがいた。シュガーマンの会社で物を買いに来る度に、ハワードは「保険に入るべきだよ」と言い残す。その度にシュガーマンは「今は必要ないよ」と答えていた。何度も何度も物を買いに来てはそのやりとりがあった。

そんなある日、シュガーマンの隣の家からサイレンが聞こえてきた。なんとまだ40代である隣人が急死したのである。その出来事をきっかけに、シュガーマンはその保険のセールスマンの基で保険に入ることになった。

ここで、はっとシュガーマンはハワードのマーケティング戦略を知った。

どのようなマーケティング手法かと言うと、数多くの広告をより親密に打ち続けることで、保険の「必要性」に気付いた時に、誰に任せるべきかを気づかせる種を頭の中に植え付けるというものである。

保険に入るべきだと思うきっかけがあった瞬間に、すぐに頭に浮かぶように常々広告していたのである。

ハワードがしたことは、一般的に使用するものをシュガーマンの店で買う、そして常々広告をする。そして後は「必要性」が発生するのを待つ。今回で言うと、隣人の死により発生した保険に入る「必要性」を待つだけで良かったのだ。


これを営業的な立場で実感した瞬間があった。

うちのシステムは他社と比べて高いが、サポートが良いという特徴があった。操作的な質問を受けた際やシステムでエラーが発生した際のトラブル対応はすごく早い、すぐに営業とSEが現場に向かい全社的な対応を行う。

顧客より冗談ぽく高い高いと文句を言われた時も、常々「普段のサポート体制からトラブルの際の対応にも力を入れているので、どうしても金額が上がってしまうんです」と説明していた。
そのタイミングで特にお客さんは納得していない。

それでも事あるごとに「うちはサポートに力を入れている」とアピールしていた。

ある日、他社のシステムでトラブルが発生した。しかし営業もSEも現場に来ない。サポートセンターに電話しても~~を試してください。と客側でのトラブルシューティングが求められたそうだ。

そこで発生したのがサポート体制の「必要性」

実際そこでうちは何もしていない。しかし自然とうち信頼度が上がった。

僕がしたことはただ1つ、常々サポート体制を広告していただけ。そしてそのサポート体制の必要性がくるのをただ待っただけ。

この他社でのトラブルが発生して以来、僕への値引き交渉が少なくなった。仮にされたとしても今までと同じように「うちはサポートに力を入れているから高いんです」ですぐに納得してくれ、不要な値引きをする必要がなくなった。値引きをしないことは営業として成果を上げる上で非常に重要なことである。


法則B:ベンツを買う人はなぜ買うのか

商品を購入する人は、無意識にその商品を所有する人々の仲間入りをしたいと思っている

マルボロを吸う人はマルボロの広告代理店が作り上げた西部の荒々しいイメージが好きな喫煙者グル―プに属したいと無意識に思っている。

ベンツを買う人の多くは、ベンツに乗っている裕福な成功者達が構成する特別なグループに属したがっている。
だから他の車よりほんのちょっと優れているかもしれないだけの車に大枚をはたくのだ。

このような帰属欲求を満たすような形で商品をマーケティングして売ることが非常に重要なのである。


営業をしている中で、これが顕著に出た例がある。

僕の会社では1年に1回、システムを導入してくれている企業のトップを招待してパーティをするというユーザ会があった。そこでは新商品の紹介であったりの時間もあるが、お客様にとっての一番の価値は、そこに招待されている他企業のトップとのコネクションができることだ。

当時商談中で、他社のシステムかうちのシステムを導入するか決めあぐねているお客様がいた。

本来システムを導入している方向けのユーザ会であったが、例外としてそのお客様も招待させて頂いた。

そこに来たお客様は、そのパーティで名だたる企業のトップと交流をした。うちのシステムを導入した会社のトップだけが属することができるグループに無理やり入れたのである。

この手法はとても上手くいった。お客様の欲求を上手く駆り立てることが出来た。またこのパーティに参加してこのグループに属したいと思わせることに成功した。

結果としてキーマンであるそのお客様の決裁により、うちのシステムの導入が決定した。

製品自身の価値がどこにあり、そしてどの価値が最もお客様に響くかを見極めて行動に移した例である。


法則C:愛とキャンパス売春婦

シュガーマンが大学時代に実践した手法である。
大学内で最も人気の無い社交クラブを選んで、一番人気のクラブに成長させようと挑んだ。

一番人気を「最も多く入会者をGETする社交クラブ」と定義づけた。

新入生が何を求めているかを考えて下記の二つを実施した。

1.とびきり美人でセクシーな女の子たちが、所属していること
2.仲間同士が、とても仲の良いこと

当たり前と言えば当たり前であるが、シュガーマンはそれをシンプルで具体的な施策に落とし込む。

1については、近くのストリップ劇場から美人ストリップ嬢を4人雇って、女子学生になりすませて親睦会に参加させた

2については、新入生にメンバーを紹介する際、自己紹介ではなく、仲間を紹介し合うというものにするようメンバーに徹底させた

仲間の肩に手を回し、隣にいる仲間がどれほど素晴らしくて尊敬できる人間かを紹介したのだ。

簡単なことではあるが、シュガーマンはこの施策を実施し、大学史上最多の入会者を獲得した。


これはつまり、客が真に求めているものを理解し、それに向かってピンポイントで施策を実施することの重要性を意味している。


私が営業活動をする上で気を付けていることがある。それは相手によってアピールするポイントを変えることだ。

例えばシステムの更新の提案をする際、通常の流れで言えば、まずは事務方に向けて提案を開始する。そしてその提案を事務方がトップ層に挙げて決裁を取る。

初め事務方に提案をする際、事務方が求めていることは何か。

それは事務方自身が如何に楽をできるか。自分が労力をかけずにシステム更新を完了できるか。

それが求めていることだ。

もちろん金額や使いやすさもそうだが、それはその人自身が求めていることと言うよりは、ただの上へ説明するにあたって必要な事項だ。

だから事務方と会話する際は、話の節々でこう言う

「全部うちがやるので心配しないでください」全部というのは、事務方が上へ説明するにあたって必要となる資料も、もちろん作る。本来お客さんが調整するべきこともやる。文字通り全部だ。

逆にトップの経営層が気にすることは、金額。

余分な出費を避けたいのが経営者の性。経営者と会話する際は、如何に値引いたか。値引きの理屈づくりに力を入れて説明する。

このように同じお客様でも、求めていることは様々。そこを見極めて提案することが、スムーズな受注において不可欠である。



以上マーケティングと営業は切っても切り離せない関係にあるという話です。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?