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年号のない世界史の教科書に感動する。

高校時代のある時期、外語大を目指そうと考えた時があった。しかし、受験すらしなかった。というか受験できなかった。必修科目に世界史が存在したからだ。

どうしてもダメな教科だった。さっぱり理解できない。何が面白いのかさっぱりわからなかい。膨大な年号と人名を覚えるのが苦痛に感じた。

代わりに選択した地理は面白かった。国の産業、都市の構造、独特の地形を学ぶたびに、旅をしたくなった。世界史にはないわかりやすさがあった。インフラや都市計画の面白さに目覚めたのも、この時期だ。

社会人になり、英語を学び直し、海外の方と話すと、世界史の話が出てくる。時にはシェイクスピアや宗教の話題となり、何も語れない歯痒さを経験した。

対策として、山川出版の世界史を通読したが、やはりわからない。大人の学び直しとして絶賛された本であったが、ここにも無数の年号と登場人物がたくさん登場して、難易度の高さにまた挫折する。

そして今、この本に出会う。数年前のベストセラー。遅ればせながら読んでみた。素晴らしい。世界史を語る行為は、一種のストーリーテリングであることに、ようやく気づいた。僕が体験した世界史は、無味乾燥とした事実の羅列でしかなかった。かの世界史がこんなに面白いなんて。衝撃的な体験である。

著者は公立高校の先生であり、超人気YouTuber。驚くことに年号が全く出てこない。登場人物も最小限に留めている。筆者の意図だという。情報が最小限なので、世界史の大きな流れや骨子を大きく掴める。

高校時代にこんな本に出会っていたら、間違いなく通訳者や翻訳家を目指していだろう。そんな大袈裟な、という反論はあろうが、本当にそう思ったのだ。ただ一つだけ。表紙タイトルにはあるが、一度読んでも忘れる。そこまで、ぼくの頭脳は万能ではないので。そこだけは文句を言いたいw

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